わたしに反抗期がなかった理由

 このあいだ、実家で母と小一時間喋っていた。母とは喋りだすといろんな話が飛び交うから、かなり時間が経つのが早い。その中でわたしを含む妹、弟に反抗期がないことが話題に上がった。母は「なんでだろう?」と困っていたが、わたしは何となく理由がすぐわかった。
 母は何でもわたしを優先してくれる。小さい時から物を選ぶときはわたしから、妹ができた時も絶対に妹優先にせず赤ちゃん返りもなかったし、可愛がってくれた。だからといってああしろ、こうしろと言われた覚えはなく、「あなたの好きにした方がいい」とばかり言われた。母は自分のことを客観視した育児に『母性がない』と本気で悩んだこともあるらしい。
 反抗期がくるのは人間の作り的に決まったことなのかもしれないが、わたしが思うのは親にああしろこうしろと言われていたことがある日を境に自我が芽生え、反抗したくなるのではないだろうか。子どもであっても1人の人間で、親とは別の人間である。似ているところはもちろんあっても、あくまで別人。わたしの母は自分の価値観や考え方を強くぶつけてきたり、押し付けてきたりしない人だ。かといって放置もしすぎない。悪いことはちゃんと悪いと言ってくれる。当たり前のように感じていたが、アルバイトをしたり、社会に少しずつ出ていくうちに母の育て方のありがたみに気づいてきた。
 否定されなかったことが大きいのだろう。わたしが〇〇する!したい!と言ったことに対して、母は絶対に否定してこない。たまにアドバイスをくれるぐらい。だいたいは「いいんじゃない?」と背中を押してくれる。わたしは一生母に頭が上がらないと思う。そのぐらい、大事な時にはいつも母が支えてくれたから。たくさん褒めてくれたから。母はちゃんとあなたのことを見てるからねと、言わずとも伝えてくれる。「頑張れ」よりも「頑張ってるね」、学校もお仕事みたいなもんだからねと言っていつも励ましてくれた。
わたしは外で母が褒められることが多いし、嬉しい。「いい親御さんのもとで育ったんだろうね」とよく言われる。そんなこと意識はしてなかったが、わたしの奥に母が見えているのならば嬉しいし、誇らしいし、わたしも恥ずかしいことはできないなと思う。
 長くなってしまったが、結果わたしの母はすごい。母の育て方が良かったから反抗期がなかった。以上。

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