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note勉強会に学ぶ、書いて生きる道

「書いて、描いて、生きていきたい」、そう言葉にするのは、いつまで夢を見ているの、と言われるんじゃないかという躊躇があった。
だが、そう言葉にしてからも、さて、どうしたらよいのだろう、と逡巡していた。

ひたすら、noteに文章をたくさん書いていけばよいのか、何かセミナーにでも申し込んだ方がいいのか、文章術の本でも買おうかと考えていたところに、2つのnoteのイベント案内が目に飛び込んできた。

ひとつは、料理家の今井真実さんをゲストに迎えたトークイベント「こうして私は料理家になった」、もうひとつは、映画ライターSYOさんのイベント「人を動かす映画レビューの書き方」である。

noteにレシピを書くことで料理本を出版することになった今井さんと、映画ライターとして書くことを生業にしているSYOさん、それぞれの文章の書き方、キャリアの築き方にももちろん興味があったが、料理と映画は私の趣味でもある。今後のために学びたいという気持ちとともに、単純に面白そうだなという興味もあって、イベントに申し込んだ。

そして、先週、今週と立て続けにイベントに参加した。1時間半という時間がとても短く感じるほど、興味のあることを学ぶのは楽しかった。もちろん、ただ楽しいだけではなく、自分に引き寄せて考えると、自分の足りないところ、甘いところも見えてきた。イベントの最中に書きなぐったメモと、イベント後にぐるぐると考えたことをそのままにしておくのはもったいない気がするから、ここに学んだこと、考えたことを記しておく。

いつもは、だれかのためになればいいなと思いながら書くが、今回は99パーセント自分の頭を整理するために書く。


SNSの発信から出版への道ー今井真実さんのお話

3月25日(金)に開催された、今井真実さんのトークイベントは、スープ作家の有賀薫さんが聞き役となって、前半は今井さんからレシピのこだわりを、後半は今井さんの担当編集者から今井さんの魅力を語ってもらうというスタイルであった。

以下、今井さんや編集者の方々のお話から学んだキーフレーズを箇条書きで示した後、私が今後書いていくうえで参考にしたいこと、どうやって学んだことを取り入れていきたいかを語る。実際のトークが、アーカイブとして残っているので、気になるフレーズがあった方は、そちらを参考に。


楽しいオーラを纏う、今井さんのレシピ

・楽しいオーラ

・「余白」を残すことで、みんなを参加者に

・バズも狙う、映えも狙う、でも狙っていると思われない

真摯に、衒いなく
ー編集者が語る今井さんの魅力

・つくってみたときに驚き

・素材の合わせ方や工程の新しさ

・レシピそのものにストーリー

・タイトルのつけ方に一工夫

・忙しい編集者に刺さる、手軽だけどちゃんとしたごはん

・真摯に、衒いなく

・質だけでなく、量も

・+αの強みーレシピだけでなく、文章も、写真も

◇学びの活かし方ー私の場合

・魅力の掛け算
料理は好きだけど、料理家にはなれそうにないや、とこのイベントに参加する前から思っていたが、先週の金曜日にイベント参加した直後にその気持ちが強くなった。私は、レシピを見て学んで、おいしく作れたらそこで満足してしまう。料理に関しては、かなり保守的で、新しいレシピにはそれほど興味がない。だから、今井さんのような新しいレシピを考案し続ける料理家にはなれそうにない。

けれど、ちょうど今週から夫との二人暮らしが始まり、毎日料理を作っていたところ(恥ずかしながら、今までは両親がつくったごはんを毎日食べていた)、少し自分の料理観が変わってきた。限られた予算で、買った食材を余すことなく使い切りながら、朝、昼、夕とごはんを作り続けていると、必然的に今まで作ったことのない組み合わせで料理することになる。自ずと新しいレシピも生まれるし、自分の考案したレシピもなかなかおいしいじゃないか、と思うこともあった。
 
じゃあ、料理家を目指すかというと、そうではない。
絵も描きたい、文章も書きたい、それに加えて料理も本気で取り組むとなったら、私はまちがいなくパンクする。

料理家になるぞ、と意気込んでいる訳ではないのだが、今回のお話を聞きながら、料理を自分にとっての「+α」の魅力にしていくという方法もあるかもしれないと思った。

今井さんのレシピは、レシピそのものが新しさとおいしさがずば抜けていることに加えて、旦那様の写真の魅力、ストーリ性のある今井さんのエッセイという「+α」の強みがかけ合わさることでより魅力的なものとなっている。
そして、その魅力が、読者にとってだけでなく、編集者にとっての魅力にもなっているという。料理本という、フルカラーかつ料理の撮影・スタイリスト代などの諸費用がかかるのに、安価でなければ売れない媒体においては、自前で撮影してくれる、文章も書けるということが大きな強みになったという。

私も料理にまつわるエッセイを書く、絵本のようなレシピ帳をつくってみるのもいいなと思った。文章力や画力を磨くと同時に、自分の好きなことを掛け合わせる方法も模索していきたい。


・出版という目標

私は、書くことを仕事にしたいな、と漠然と思いながらも、そのゴールが正直あまり見えていなかったことに、今回のイベントで思い至った。

私は、これまでnoteにはそれなりの数の文章を綴ってきたが、その内訳をみると、日常のエッセイのようなもの、美術評論のようなもの、本や映画の感想文のようなもの、絵本のようなもの、マンガのようなものなど分野がさまざまであるばかりか、それぞれに「のようなもの」と付けなければならない中途半端な代物である。

それでもnoteでは読んでくれる人がいるが、このnoteを見ても出版しようと声をかける編集者の方はいないだろうな、と冷静に自身のnoteを見返して思った。掛け算の魅力をどうのこうの言う前に、一冊の本にできるだけの根幹になるものが、私のnoteには今のところないのである。

いや、「ない」と言い切ってしまうのはちがうかもしれない。
たぶん、根幹となりうる「芽」のようなものがいくつかある。
その芽を、まだ十分に育てられていないのだ。

たぶん、芽を育てるのに必要なのは、「量」なのだと思う。
文章の量。
そして、熱量。

量といっても、やみくもにただ多く書くのではなく、本にするくらいのまとまりのあるものをつくってみたい。熱量を込めて。

これまでのように雑多なことを書くことを完全にやめるわけではないが、自分の主軸としたいものをもう少し見極めていきたい。


映画ライターとして生きる道ーSYOさんのお話

今井さんのトークイベントの3日後、3月28日(月)に、私は映画ライターのSYOさんのトークイベントに参加した。

今井真実さんとSYOさんのトークを立て続けに聞いたため、SYOさんのトークイベントが終わってからは、二人が共通して語っていたことが強く印象に残るとともに、二人の間の相違点についても考えた。

二人が共通して語っていたことは、文章を書く人みんなにとって、大事なことなのだと思う。
二人の相違点については、どちらが正しい、とか、どちらの方が優れているというものではなく、どちらを選ぶのかということであって、私自身はどちらを目指すのか考えさせられた。以下、二人の共通点、相違点について語る。

書く人にとって、大事なこと
ーSYOさんと今井さんに共通していること


・熱意

SYOさんは映画に対して、今井さんは料理に対して並々ならぬ情熱を持っている。SYOさんは、映画の面白さをたくさんの人に届けたいという思い、今井さんはおいしく楽しいレシピをみんなに届けたいという思いが根底にある。

SYOさんの話で印象的だったのは、文章を書くのはつらくて大変なことだということ。様々なメディアで活躍しているプロのライターのSYOさんでもつらいのか、と驚くとともに、正直に言えば、ちょっと安心もした。「良い文を書いても読まれないという現実もある」とSYOさんは語る。だけど、落ち込んでも、そのたびに自分の心にある原点を思い出しているのだというSYOさんの言葉に私もつらくなったときは原点を思い出そうと思った。

誰に届けたいかを考える
映画レビューといっても、誰に向けて書くのかによって、文章は大きく変わる。まだ映画を観ていない人に向けて書くのか、すでに鑑賞済みの人と盛り上がるために書くのか、それとも自分の頭を整理したいのか。SYOさんは、常にだれに向けたものなのかを意識しながら文章を書いているという。

その話を聞いていたら、今井さんのレシピ本を出版した編集者の方の言葉を思い出した。今井さんのレシピのファンになった一つの理由として、今井さんの手軽でありながらおいしいレシピが、常に忙しい生活を送る編集者たちに響くものであったということを挙げていた。

ただ自分が書きたいものを書くだけでなく、誰に届けたいのかを意識することで、人の心に響く文章が書けるようになるのだろう。

・共感
SYOさんが、最近の映画レビューの傾向は、「批評型」→「共感型」へとシフトしていると語っていた。限られた専門家が、専門的な知識を披露していた時代から、だれもが発信できる時代へと変わったことで、いかに「それな」と思えるかが指標になってきているのだという。

今井さんは、自身のレシピの特徴として、アレンジのしやすさを挙げていた。レシピを一方的に発信するのではなく、レシピを見た人が自由にアレンジできる余白を残す。

自分が情報を提供するだけでなく、いかにして人に共感してもらい、人を巻き込んでいくのかが、これからの発信のカギになるのだと思う。

何を書くかーコンテンツを紹介するのか、コンテンツをつくるのか

SYOさんと今井さんは、文章を書く分野が、「映画」と「料理」とで違っているのだが、私が感じた一番大きな違いは、他者がつくったものを紹介するのか、自身がつくったものを紹介するのかという違いである。

SYOさんは、他者がつくった映画を紹介する。映画そのものをよくすることではなく、映画のよさをわかりやすく伝えることが求められる。

SYOさんは、掲載するメディアに合わせて、文体を変える。映画の愛好家が見るウェブページなら落ち着きのある文章、文芸誌なら堅めに、週刊誌ならキャッチ―に、とそれぞれの媒体に合わせた「服を着る」。自分の色を頑なに貫くのではなく、求められているものを提供する。

今井さんはレシピそのものをつくる。今井さんのレシピには、今井さんらしい色が求められる。

そうは言っても、SYOさんの文章にSYOさんの色がないわけではない。文章のスタイルが変わっても、核となる映画への思いは変わらない。そして、SYOさんが会社員としてではなく、フリーの個人ライターとして自分の名前で書くことを選んだのも、クリエイターと同等の立場で個人として繋がれるからだと話す。

「作品を一生懸命つくっている人たちがいる。だから、ライターも”削らないと”。」と話すSYOさんに、ライターとしての誇りを見た気がした。


◇私は、どんな書き手になりたいのか

今井さんとSYOさんのお話を聞いてから、私はどんな書き手になりたいのだろうかと考えていた。

料理も、映画も好きだが、私には、お二人のような情熱があるかというと、そうとは言えない。

けれど、二人の話を聞いていたら、私も料理について、映画について語りたくなった。

私自身の文章を書きたくなった。

私には、今井さんやSYOさんのような、強みとなる分野はまだない(美術については、すこしは詳しいという自負はあるが、強みと言えるほどの自信はない)。

だけど、私には、私の色がある。

SYOさんもこう話していた。
「自分の感性を信じて、楽しく書いていこう」と。

私には、まだ強みと言えるものはないけれど、まずは自分のことを信じて、自分の色を押し出していこうと思う。


何を書くのかも、どう書くのかもまだ曖昧だが、お二人のお話から、どう頑張ればいいのかが少し見えてきた気がする。

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