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友情結婚と妊活(出産編)

つわりが終わって気持ち悪さは軽減したものの、妊娠後期にはお腹も大きくなって動きづらいし、すぐ体重は増えるし、胃が圧迫されるからか食べ過ぎると気持ち悪くなるしと、快適な妊娠生活というわけではありませんでした。
けれど、会社側の配慮でほぼ在宅勤務をさせてもらえるようになり、通勤時間がないだけでもかなり楽になりました。少し具合が悪くなっても、楽な体制で仕事ができるのもとても助かっていました。

出産は、地元に里帰りすることに決めていました。
自宅では育児を手伝ってくれる人がおらず、日中は一人になるという状況で、産後に不安があったからです。高橋さんも母子の心身の健康が一番と考えてくれ、快く送り出してくれました。
実家では家事は家族がしてくれたため、ほとんどゴロゴロのんびり過ごしていました。この頃になるとお腹もとても大きくなり、動くのも一苦労だったため、とてもありがたかったです。

そうしているうちに予定日になり、数日超過して夜中に破水しました。
痛みはほとんどなく、夜中に何か液体が「じょろっ」と出ました。半分寝ぼけていたため、尿漏れ?と思ったのですが、また何か出てきます。慌ててトイレに行って、破水だとわかりました。
寝ていた母を起こし、産院に電話をして、すぐ入院することになりました。この時もまだ痛みはなかったため、用意していた入院セットを何度も確認したり、もう生まれるんだねーとのんびり話していました。

産院について内診をしてもらったところ、子宮口はほとんど開いていませんでした。まだだろうということになり、一旦部屋に戻って眠りました。
朝になると、少しずつ陣痛が起きてきました。朝食は食べる元気があったのですが、昼前頃になると波のように痛みがきて、出された昼食は食べられませんでした。ぎゅーっと陣痛が来ると喋るのが辛いのですが、1分程で痛みが収まり、何事もなかったかのようになります。そして5分~10分後にはまた痛みがやってくる……というのを何度も繰り返します。
少しずつ子宮口が開いてきたので、部屋を出て陣痛室でひたすら産まれるのを待ちました。波のように痛みがきて、痛みがふっと無くなったら気絶するように寝る、というのを繰り返していました。
助産師さんが腰を押してくれるのが絶妙にうまかったこと、「この痛みは一生続くわけではない、1分耐えたら収まる」とわかっていたこともあり、比較的冷静に陣痛を耐えることができました。痛みがあるときは、ただ細く、長く息を吐くことに専念していました。陣痛の痛みは、内臓をぎゅーっと絞られる感じでした。

しばらくすると、所謂「いきみ」たい感じが出てきました。助産師さんが押してくれ、数回いきみを逃すと、子宮口も全開になり、分娩室に移動となりました。
分娩室では、助産師さんの合図に合わせていきみました。この時には不思議とあまり痛みはなかったように思います。とにかく、出てこい!と思いながらいきんでいました。
そしてしばらくしてから、無事に我が子が誕生しました。

よくドラマで、妊婦さんがベッドの上で汗だくで叫んだりしていますが、私は「そこまでは…」という感じでした。こればっかりは個人差が大きいと思います。
陣痛はずっと痛いものだと思っていたのですが、実際は痛いときと、全く痛くないときとの波があります。全く痛くないときは普通に喋ったり、飲み物を飲んだりもできます。いつかこの痛みは治まると冷静に考えていたので、叫んだりはしませんでした。

里帰りをしていたので、高橋さんは立ち会いをしませんでした。もし恋愛結婚していても、私は立ち会いはお願いしないだろうなと思います。自分がきつい時に、何もできない相手を見たら(仕方がないことなんですけど)、あなたは楽でいいわね!と思ってしまいそうなので…。あと少し恥ずかしさもあります。

ともあれ、無事に産まれてきた我が子ですが、生まれてくるまではホルモンバランスの影響もあってか、高橋さんに抱っこさせてあげない、と思ったことがあります。
私は10ヶ月も自分の身体を気遣い、好きなことも、食べ物もセーブして、吐きながら仕事に通い、痛みに耐えて子どもを産んで…それに対して高橋さんはそれほど苦労していないのに、可愛い子どもを簡単に抱っこできて、ずるいんじゃない?と思ったんです。
生物学的に仕方ないこととはわかっているんですが、なんとなく気持ちがスッキリしませんでした。ずるいな、男は楽でいいな、と思っていました。

でも、子どもが産まれて、高橋さんが初めて抱っこして、その嬉しそうな顔や高橋さんの腕の中にいる小さな赤ちゃんを見ると、あぁ抱かせてやって良かったな、と思いました。
この気持ちの変化はよくわからないのですが、高橋さんが素直に子どもを可愛がってくれたので、私の頑張りが報われたような気持ちにもなりました。

そうして、私たちの生活が再スタートしました。

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