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産業廃棄物に20年間携わってきた私が、ものづくりをはじめた経緯 その3

その3について

 これまでに、産業廃棄物処理業に携わっていた私が、ものづくりに踏み込んだ経緯について、また一歩踏み込んだつもりがまた同じモヤモヤにぶつかった内容についてお話ししました。
 今回は、さらに奮起し、現在の取組みに至った経緯までをお話いたします。

影響が大きかったメタン発酵での地産地消エネルギー事業検討

 その2で登場したHiKEY(使い捨てない価値創出を目指したPloject)の取組みを開始するまで、岩手県大船渡市でメタン発酵による地産地消エネルギー事業についての検討を行っていました。

 地域で集めたメタン菌が好む餌(食品系の廃棄物がメインです)を回収し、発酵→メタンガス回収→発電を行い、発電時の余熱を地域で活用できないかという検討です。

 結果的には、地域で回収できる(処理費用をいただけるもの)メタン菌の餌の量が不足するため、事業化は厳しいという結論に至りました。
地域の皆様にはかなりご協力をいただいたので、何とかしたかったのですが・・・非力でした。

 実はこの時の調査で、食品系の副産物などの賦存量を把握していたことが、次の展開に大きく影響しました。

モヤモヤの先に

 メタン発酵事業検討での賦存量調査において、ヒアリングを重ね、実際にその「餌」を拝見する中で、これを廃棄するのは「もったいない」というものが多く、まだまだ価値が引き出せるのでは、と考えていました。

 そして、こういう価値観も重要ではないかと思い始めていたのです。

 そのような過程で「もの」だけではなく、日本が古くから大切にしてきた価値観を継承することを大切にしようと決めました。

「もったいない」「余すことなく使う」という価値観が該当します。

ちなみに「もったいないもの」についての定義をすると(私的にです)
 ・企業の生産活動でLOSSになっているもの=廃棄物
 ・地域で全く活用されていないもの=未利用資源
 ・本来の価値相当に扱われていないもの=低(ゼロ含む)価値資源

「余すことなく使う」はそのままです・笑

 まとめると

「もったいない」状態の原料を「余すことなく使う」ものづくりを始めました。

 もったいない状態の原料=食品副産物が中心です

例えば「おから」。豆腐を製造する工程で余る副産物です。水分が80%と高く傷みが早いため、すべてが流通していません。食物繊維が豊富、栄養価が高い。いいことづくめなのですが、お豆腐屋さんにとって収入につながっていません。また食品ロスにもつながっているものです。

このような原料から商品開発を行っています。

教訓から

これまでのモヤモヤの教訓をいかすために、
 ・最低限加工だけでも自社で行う(いずれ製造までしたい)
 ・商品は自社で販売する

ことを前提としています。

あたらもの(可惜物)

 「あったらもん」という方言としてまだ使われている地域もあるようなのですが、もったいないの古語にあたる言葉です。
あたらという言葉は、源氏物語などでも使われており、惜しむべきといった意味合いなのですが、立派なものに対して、その価値相当に扱われないことに対する残念だという感情を表す表現です。
 万葉集では「あたら夜」という「明けるもがもったいない夜」という表現で登場したりもします。(辞書引きしました)

取組みを通して思い描く社会

 大量生産大量消費時代には、ものがあふれ、修理するよりも新しいものに買い替えたほうが安いという使い捨ての社会でした。
 物がない時代から高度経済成長期を経て、利便性を手に入れ、私たちの欲求は満たされてきましたが、その代償として蓄積された環境への負荷は大き過ぎたと感じています。

もったいない状態の原料も、一つの資源として当たり前になっている社会。
また同時に、ものづくりの企画段階から原料の循環方法までDesignされていることで、“あたら”な資源こそが希少性を持つ社会になってほしい。

 そういう想いを込めるのにふさわしいと思い、この事業で創り出す商品は、あたら(ATARA)というブランド名で展開することにしました。

もう一つ大切なこと

 あたらなものづくりをする際に、現時点では化石燃料を使用しています。
今後、徐々に自然エネルギーに転換していくことを目標にしています。
これも当たり前になってほしい。

効果・効能

・地域における資源効率の向上
 現在、廃棄物/未利用/低価値な状態の資源を原料とするため、地域における資源効率の向上を目指します。

・地域における経済波及効果を生みだす
 現在、コスト/ゼロ価値/低利益な資源を原料として購入するため、地域における経済波及効果につなげたい。

 取り扱える量はかなり少ないので、大きなことを言っていますが、まだまだ地域への影響力は小さいです。ただ、その積み重ねを大切にしたい。

SDGsターゲットとしても、7、9、12を目標としています。

現在進行中

 事業として様々な要素で持続可能であることを目指して運営を始めています。実際に投資もして、事業として現在進行中なのですが、新たな壁にもぶつかっています。

そういったお話しも含め、少しタイトルを変更して、次回以降にお話しできればと思います。

 出張をはさむため少しお暇を頂戴いたしますが、ここまで稚拙な内容にお付き合いいただき、ありがとうございました。

少しですがnoteの扱いもわかってきました・笑

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