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楽器の演奏が国語と理数系の科目の成績向上に

 初回のノートでご紹介した、「ホランド先生の作品」では、感動の最終シーンが実は、先生所属のハイスクールが予算削減で科目から音楽を無くすという断腸の思いの設定でありました。米国では実際にそんなことがあるようです:

カナダでの研究ですので、基本、国語=英語です。仏語もあるにはありますが引用元は、ブリティッシュ・コロンビア大学なので英語ですね。

"子どものころから楽器を演奏してきた人たちなら、もしかすると数学や英文法のパターンを見出すのが得意だと気づいたことがあるかもしれない。また、外国語の発音やリズムを真似るのが上手な人たちも多いことだろう。音楽はそれ自体、われわれの生活を豊かにしてくれるものだが、子どものころから長いあいだ音楽を演奏してきた人の脳は、学習面においても思いのほか旋律の恩恵にあずかっている可能性がある。"

 はい。形式知である楽譜から表現すべきイメージを読み取って膨らませ、実に数学的な和声、旋律、リズムの三要素を駆使して表現できる子供は、確かに上記のように他の教科でも特徴抽出(笑)、抽象化(一般化)、具体化の能力を楽々と駆使して、良い成績をとることでしょう。優れた耳があれば、外国語ネイティブの発音を母国語流のフィルターを通して聴くことなく、ありのまま捉え、把握し、記憶することができます。そこから高度なパターン、法則を掴みとるのも間違いなく早いでしょう。

 北米の小中高校で音楽を「割愛」するのは、より大事な国語(英語)、数学、理科に重点教育をするためらしい。しかし、上記を考えれば、根本的な間違いを犯している可能性があります。これらの優先科目の学習にとって音楽が有害だと考えている人も多いらしいのです。
"(音楽の授業を廃止する)理由のひとつとして、学生たちが音楽に夢中になると、英語・数学・科学の成績が落ちるという一般的な“俗説”がある。"

 驚きですね。さすがに日本ではこんな俗説は聞いた覚えがありません。

"公立高校の生徒たち約11万3,000人を対象に、音楽教育がほかの教科(数学、科学、英語)に及ぼす影響を調査"
凄い人数です。統計的有意性、期待できます。

"比較対象となったのは、高校最後の3年間のうちに一度でも音楽のコースを終了した学生13.7パーセントと、音楽を選択しなかった学生86.3パーセントの、数学・科学・英語の成績だ。対象となった音楽コースは、コンサートバンド、コンサヴァトリー・ピアノ(検定試験有りのレッスン)、オーケストラ、ジャズバンド、コーラス、ヴォーカルなどで、これらは単位をとるために数年の経験と一定条件以上のスキルを要求されるものだ。"

 本格的な演奏の修練ですね。

”音楽で高成績を収めたか音楽を長くやっていた学生は、すべての科目で試験のスコアが高くなりました。そしてこれらの関連性は、声楽よりも楽器のほうが顕著でした” 

「楽器の弾き方の習得や合奏には多くを要求されます。楽譜の読み方を覚えたり、目や手と脳の協調性、また鋭いリスニング力も必要です。合奏のためのチームスキルや、練習習慣も身に付けなくてはならないでしょう。こうした学習経験はすべて、子どもの認知力と自己効力感を高める役割を果たしているといえます」

"楽器の演奏は、多方面の能力に働きかけ、音楽以外でも発揮できる多くのスキルを培うのだろう。それは学業成績という側面においても、目に見えるような違いを生み出すことが明らかになったのだ。"

 この翻訳記事には、具体的な数値やグラフがなく、少し不満。Journal of Educational Psychology 教育心理学学会誌の原論文には数字があります! こんど精読してみたいと思います。

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