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5月21日の日記「神は男女の天秤を均すか」


 Kindleで漫画を買って読んだよ。



 Twitterでイラストや漫画をよく見かける人。端正かつ可愛らしい女の子のイラストも魅力的だけど、この人の漫画を読んで自分が一番に思うのは、「こんなにも男に都合のいいシチュエーションあっていいんですか!?!?」ってこと。「昔ちょっと話したことがあるだけの友人の妹が実は自分に好意を寄せていて、人気美人コスプレイヤーに成長して付き合ってほしいとグイグイ押し掛けてくるんだが……(なお彼女は未だ恋愛経験なし)」のような、胃もたれしそうなくらいに男の妄想マシマシ麺硬めの設定が目白押し。この漫画みたいな夢を見たら一瞬で夢だと気づいて、「俺、ここまで現実と向き合えてない人間だったんだな……」と凹むレベル。ここまでシチュエーションが現実離れして突き抜けていると、逆に面白いですよね。ビジュアルはもちろんいいし、世界観も基本的に優しい(甘い)し。コミックスでもずっと、同じようなテンションの物語が続く。タイトルもすごいわね。


 興味深いのは、この漫画の作者が女性だってことです(顔出しもされてた)。作者が男性だったら「わかるけど、加減しろ馬鹿!!」みたいな気持ちになるけど、女性だと解釈が難しい。……いちおう言っておきますけど、作者の性別で作品の善し悪しを判断しようとしているわけじゃないですよ。ただこの作者が、どういうモチベーションでこういうシチュエーションを書いてるのかな、というのに興味があるだけで。「男の子はどうせこういうの好きなんでしょ?」みたいなメタ的な視点で書いてるのかな。それとも男性的な妄想(あるいは、欲望)に共感できる人なのかな。読んでる感触だと結構ノリノリで書いてそうで後者っぽく感じるけど、ときおり違う意味で男がドキっとする、リアルな女性の眼差しも作品の中にはあって。確か百合作品も書いていたと思うんだよな、この人。性別という境界を跨がって、色々な視点で作品を書ける人なのか。それともそういう境界なんて関係なく、自分の視点で自由に作品を書ける人なのか。どちらにせよ、すごい才能だ。




 自分はたまに小説を書く。そしてたまのたまに、恋愛を扱った小説を書く。恋愛小説ではない。恋愛経験がスーパーペーパーマリオのキえマースくらいに薄っぺらい(この例えって伝わるの?)自分に、リアルな恋愛小説は書けないからだ。言い方は悪いけれど人を、物語を動かすために、恋愛まがいのものを書いている。そのとき自分が意識しているのは、女性が男性の都合のいいように動いていないか、ということ。この女性がこの男性に好意を向けるのに、充分納得できる理由は作れているか、みたいなことを論理的に考えようとしている。自分が男だからこそ、意識的に女性の方の器に重りを多く乗せようとしているのだ。それでも、ちゃんと天秤が水平であるかどうか、常に不安なのだけど。


 そして、天秤を均そうとするこの行為は、言ってしまえばただの自己満足に過ぎない。恋愛において両者の天秤がぴったり釣り合うことの方が、なんなら現実離れしている(気がする)し、こういう明確な理由があったからこの人を好きになりました、みたいなものでもないんだろう(たぶん)。気のせいとかたぶんとかばっかだな。だから天秤を均すことで物語としての説得力は上がったとしても、恋愛を描いたものとしての説得力は損なわれていく。自分はうわっつらのコンプライアンスを守ろうとしているだけなのだ。ならばいっそ上記の作品のように欲望に忠実なシチュエーションを描いた方が、現実にも、自分にも誠実であるような気は、最近している。でもなぁ、それをさらけ出す勇気が、なかなか出ないのよねえ。




 あとちょっと話変わりますけど、恋愛経験豊富って表現、よく考えたらおかしくない? 人間って(道徳的な意味じゃなく)ガチのマジで一人一人違うわけだし、aとbが付き合うプロセスと、xとyが付き合うプロセスは、恋愛という言葉は同じでも本質はかなり違うわけじゃんか? 本質的には全然別の事象を、恋愛っていう雑なカテゴリてくくって同一のモノとして経験値の計算するの、ズルくないか? バントとカーブ投げるのは上手いけど、守備と走塁はやったことすらない人間が「野球得意です」って言ってるようなもんよ? これ、納得できなくないですか?



俺の頭の中の俺「aとbは違う人間だが、aとの恋愛経験を活かしてbとの恋愛を成功させることが出来た場合、そこには二つを貫く何らかの論理がある。その後c、d、e……と恋愛を経験し、そこから自分なりに恋愛がうまくいくための方程式を導き出せた者が、俗に言う恋愛経験豊富な人間なのだ。お前の捏ねる屁理屈よりよっぽど論理的ではないか。あと、下手な例えはより話をわかりにくくするだけだからやめろ。そしてとりあえず野球で例えるのもやめろ。お前がダメなのはほんと、そういうとこだからな」



 ……すみません、自分の頭の中の自分に完全に論破されてしまったので、今日の日記はここまでです。love,dream&happiness……










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