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生誕祭の幕開けの裏で


2022年10月10日 中目黒SPARK JOY
Taishi Nomura Birthday Free Live「楽園」

無事終演いたしました!!

ご来場頂いたみなさま。

出演して下さったミュージシャンのみなさま。

会場である中目黒SPARKJOYさん。

そしてこのイベントのテーマ楽曲「eternally」への投げ銭を通じてこのイベントの開催を支援してくださったみなさま。

心より感謝申し上げます。

終演から数日が経過した今でさえ、

「あれは現実だったのかな?」

そんな風に思えて仕方がありません。

まるで夢でも見ているような時間。

それは準備の期間も含めて。

怖くて怖くて仕方ありませんでした。

無名のこの僕の生誕祭ライブなんかに、誰が来るんだよ?と。

ガラガラの客席を前にして

「無料の価値さえない自分」

というものと対峙しなければならない。

そんな覚悟を密かに固めていました。

開場の1時間前。

僕は中目黒駅の改札の前にいました。

やれることは最後の最後までやろう。

そう思って僕はイベントのチラシと看板を持ち、中目黒駅前で呼び込みをしていました。

「フリーライブがあります!ぜひ起こしください!!」

勇気を出し、とりあえず声を張る。

当然、誰も僕なんかに興味を示すことはありません。

それでも、諦めたらダメだ。

そして人混みにかき消されそうなそのチラシを、ふっと手を伸ばして受け取ってくれた方がいました。

「今日このライブ行こうと思って中目黒駅までは来たんだけど、そっからどう行ったら分かんないから、君がいてくれてよかったよ」

「ありがとうございます!会場まで案内します!!」

その方はこのイベントに出演してくれたソロピアニスト杏優(あゆ)ちゃんのファンの方でした。

彼女は今年の3月に音大を卒業したばかり。

さあこれから!という時期であったはずのこの3年近く、彼女の表現の場はインターネットしかありませんでした。

彼女はYouTubeなどでもおなじみの「弾いてみた動画」に一生懸命取り組み、インターネットを通じて多くのファンを獲得していました。

そんな彼女が

「生でライブをやるらしい」

ということでこのイベントに来てくださった。

よかった。

本当によかった。

せっかく来てくれたのに、会場の場所が分からなくて会えなかった!

そんなのは寂しすぎるから。

「やっと会えたね!!」

そんな出会いの役に立てたことが本当に嬉しかった。

ビラ配りしにいって本当によかった。

イベントの開場から開演までの時間(30分くらい)。

わざわざ早くから来てくれたお客さんはきっと開演までヒマになっちゃうだろうし、僕は前座としてアコースティックギターで弾き語りをすることにしました。

「そうだ!どうせならステージにあぐらで座り込んで、路上ライブのときと同じスタイルでやろう!」

「自分の曲だけじゃなくて、大学の軽音楽部で友達とコピーしてた曲とか、今日出演してくれるミュージシャンのあいつが好きな曲をサプライズでやってみよう!」

そんなことを思い立って、イベントの前座の準備を始めたとき、不思議と僕の集客に対するプレッシャーみたいなものは少しずつ失くなっていきました。

「ずっとお客さん0人でやってきた」

「路上でひとり立ち止まってくれたとき、どれだけ嬉しかったか?」

「ライブハウスで音楽がやれる幸せを噛みしめるんだ」

そんな気持ちで、イベントの開場15:30。

僕はみんなの前座としてステージに上がりました。

当然のことながら、その時点でお客さんは誰一人としてまだ入場していません。

でも僕がステージにあぐらで座り込んで、そして見上げた客席には今日出演のミュージシャンたちが全員、この「ライブハウスでの路上ライブ」を見つめてくれていました。

無我夢中で歌う。

アコギ一本。

身体に馴染んだ自身の曲とは違う。

その時の気分で、そのときに本当に歌いたい曲を、お手製の歌本を見ながらの演奏。

譜面のもう少しむこうの方に客席の前方まで来てカメラのシャッターを切る男性が視界をよぎる。

顔なんて見えない。

確認する余裕なんてない。

でも僕にはそれが誰かなんてすぐに分かった。

何曲か歌って、ようやく少し落ち着いて顔を上げ客席を見渡す。

おいおいなんだよ?

なんでこんなにお客さんが入ってるんだ?

まだ今日のライブはまだ始まってさえいないんだぜ??

そこから先は夢みたいな時間でした。

いや、今年の4/2にこの生誕祭の開催を決意してからずっと。

本当に苦しかったけれど、プラマイゼロどころかプラマイプラスになった。

赤ちゃんやお母さんが、本当に苦しんで苦しんでこの世界に産まれてくることの意味を、ほんの少しだけれど教えてもらった気がする。

それを教えてくれたのは、このイベントに関わってくれたみんな。

関わってくれたみんなが、絶望を希望に変えてくれた。

みんなすごいよ。本当にすごい。

そして幕が開いた。

そこから先はまるで夢みたいだった。

ああそうか。

そういうのを「夢中」っていうんだな。



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