烙印

「しんどい 苦しい 辛い」

そんな言葉たちは決して呟けない。

この世界に、誰にも平等に与えられた

「自由な表現の場」とやらでは。

いつもいつも強がってうまくいっているフリをして

そして私は

「君を守る」

と歌う。


じゃあ私を守ってくれるのは誰?


「最高です最高でした」

「自由な表現の場」とやらは

いつのまにか「自分がどれだけ出来損ない」かを確認する場になった。


「みんな成功してますよ?

ダメなのはあなただけ」


「この状況を抜け出したいなら、

この商品を買いなさい

ええ、高いですよ?


でもみんな、それを乗り越えて成功を手にしているのです」


流れるタイムラインには

「最高でした」

のオンパレード。


次は私の番。

私に評価が下される。


「最高」って言ってもらえなかったらどうしよう。

「価値のない人間の烙印」を押されるのだけは嫌だ。


それでも私はステージに上がりたい。

たとえステージを降りた瞬間に、「笑いもの」になるとしても。


いつしかわたしは

「なにもしない日々」

を夢見るようになった。


それでも、この青い空を見上げて考えた。


そうやって「苦しめることさえ幸せなこと」なんだ。

そう考えたら少しだけ楽しくなった。


私の家にテレビはない。

私の手元にあるスマホは、

私が聞きたい情報だけを選んで私に届ける。

「安さ」だけを頼りに入った居酒屋のテレビで、世界の姿を知る。


そうしてわたしは

今わたしの中にあるこの命に

感謝出来ずにいる自分に気づく。


さあこれから何処へ行こうか?

どうせならば

ゆけるところまで。















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