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From Nom 2021.05.20   バイクの森復活のきっかけは、なんとコロナ禍でした

2008年に閉館した町営温泉「クアパレスおがの」の施設を利用して、2009年5月のゴールデンウイークの最中にオープンし、翌年の9月30日に残念ながら閉館した「バイクの森おがの」。

世界的にも希少な往年のヨーロッパ車を中心としたミュージアム、温泉施設の「般若の湯」、そしてレストランやミュージアムショップも併設していました。

筆者は、オープンした翌日に、その頃携わっていたバイク雑誌のユーザーミーティングをバイクの森おがのの駐車場で開催し、その後もミュージアムの所蔵車を紹介する連載記事を作るなど、この施設とかなり深く関わっていたひとりでした。

それだけに、閉館の報を聞いた時は非常に落胆し、ライダーが集まって楽しめる場所がひとつなくなってしまったことをとてもとても残念に思ったものです。

それから12年の年月が経過し、再び「バイクの森」という言葉を目にしたのは今年のゴールデンウイーク直前でした。

秩父でお弁当屋を経営していた「バイク弁当」(当時は大滝食堂という名称でした)が移転し、さらにアライヘルメットの展示ブースもオープンするというではないですか。

いても立ってもいられなく小鹿野町に行ってきました

この話を聞いて(見て)、現状をこの目で早く見たくて埼玉県小鹿野町をおそらく10数年ぶりに訪れてみました。

バイクの森に行く前に、小鹿野町が「バイクで町おこし」事業に積極的だった当時、ライダーが多数集まっていた「レストランイデウラ」で食事をすることにしました。

当地の名物である「わらじカツ丼」や「ポークソテー」が人気メニューであるイデウラの駐車場には、びっくりするくらいたくさんのバイクが停まっていました。

バイクの森が復活したからなのか、それとも現在も「ウエルカムライダーズおがの」という活動を地元有志が続けているからなのか、いずれにしてもまだ小鹿野町は多くのライダーが訪れる町であるのだと感じました。

イデウラからバイクで5分あまり。バイクの森は、当時と同じ佇まいでそこにありました。

ただ、なんの看板もなく、バイク弁当の幟が数本立っているだけ。

アライのヘルメットを多数展示しているブースも無人で、入り口右手にあるバイク弁当もその日の営業を終了していました。

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上)アライヘルメットのブース

下)バイク弁当と関係の深いモリワキのZ1(カワサキ・Z1、クロスビー車)が展示されている

本当に久しぶりに訪れたバイクの森おがのの建物は当時のままでしたが、大きく違うのはバイクファンなら必ずや目が釘付けになってしまう往年の名車が、当り前ですが1台残らず消え去ってしまっていたこと。ミュージアムが閉館せざるを得ない状況に至った経緯はある程度は聞いて知っていて、ほかに選択肢はなかったのですからいくら残念がっても仕方ないことですが、やはり寂しさがこみあげてきました。

とはいえ、バイク弁当とアライミュージアムという、ライダーが目的地にしたい施設がふたつ入ったバイクの森はとても興味深かったし、今後どうするのかとても気になりました。

数日後、バイクの森の建屋の所有者である小鹿野町に電話をしてみると、バイクの森に関する案件の担当者は、ボクが以前、大変お世話になったS氏でした。

S氏によると、長い間、町にとっては遊休施設であったバイクの森おがのを有効活用してもらうべく、民間の事業者に有効活用してもらおうとプロポーザル方式で事業者の公募を行い、小鹿野町で数軒の旅館や民宿を営む「梁山泊グループ」が選定されました。バイクの森のすぐ近くに旅館・梁山泊を経営しています。

町に提出した事業計画では、梁山泊グループが経営する旅館・民宿に宿泊する団体や企業、学校などが会議室やレンタルルームとして使用することが主目的だったそうです。ところが、町と契約した直後に起きたコロナ禍で、グループが経営する宿泊施設のお客さんはほぼゼロになり、1年余り、この施設に何も手をつけず(つけられず)過ぎってしまいました。

そんな中、秩父で営業していたバイク弁当の大滝食堂が、コロナ禍で席と席の間にスペースを取ることが必要になったのもあり手狭になったため、移転することを決め、バイクとかかわりの深い小鹿野町で出店できる場所を探していたのだそうです。

小鹿野町に場所が欲しいバイク弁当、コロナ禍で計画が進まず遊休施設を持て余していた梁山泊グループ。互いの課題解決策として、バイクの森にバイク弁当が出店することになったわけです。​

秋口を目安にバイク施設をさらに充実させるそうです

以前のバイクの森おがのを訪れたことがある方はご存知でしょうが、あの建物は3階建てでスペースはとても広い。バイクの森おがのは、1階が温泉、2階と3階がミュージアムで、その空きスペースがレストランやショップになっていたのですから、バイク弁当だけでは手に余る広さです。

そこで、小鹿野町と同じ埼玉県に本社のあるアライヘルメットに前述のウエルカムライダーズおがののメンバーのひとりが人づてに出展を打診。それに、以前から小鹿野町のバイクに対する取り組みを知っていたアライヘルメットが呼応する形で、ブース出展が実現したのだそうです。

梁山泊グループ代表の柴崎さんによると、当初はまったく考えていなかったバイク関連事業ですが、いまだに昔来た場所を懐かしく思って訪ねてくるライダーも多く、バイクの聖地的存在であることに気がついたといいます。加えて、バイク弁当とアライヘルメットミュージアムができたことで訪れるライダーはどんどん増えていて、これから本格的にバイク弁当とアライヘルメットミュージアムのある2階部分をすべてバイク関連施設として整えていくとのことで、すでにほかのバイク関連の事業者とも話をすすめているといいます。

また、新しい「バイクの森」のロゴマークもウエルカムライダーズのメンバーのデザイナーに依頼済みだそうで、ロゴマークができたら看板も設置シ、ウェブサイトも公開するとのこと。すべて整うのは秋口くらいになるようですが、再びバイクの森が「聖地」として多くのライダーを集めるようになるのは間違いないようです。

事実、今年のGWの間、バイク弁当を求めて開店前には毎日、大勢のお客さんが列をなし、12時過ぎには当日分が売り切れになるほどの盛況だったそうです。GW明けの土日も同様の状況とのことですので、時間に余裕をもって行かれることをオススメします。

また、バイクの森の前にある駐車場では、4月11日に「KAWASAKI Z900RS JAPAN」のオーナーズミーティングが開催されました。以前と同じように、ライダーが開催するそういうイベントも積極的に応援していくとのことですから、使用を希望される方は、バイク弁当の横田さん(連絡先はTEL0494-26-6819)に問い合わせをしてみてください。

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