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デジタル時代の戦略提携入門「成功するアライアンス 戦略と実務」を出版しました

お久しぶりです。GLOBIS CAPITAL PARTNERSの野本です。

この度、日本実業出版社より、デジタル時代における戦略提携に関する入門書「成功するアライアンス 戦略と実務」を出版させていただくことになりました。自分としては初めての単著となります。(入門書といいつつ、ページ数との関係で3,500円を超えてしまっております。すみません。)

スタートアップ業界でもDX領域が盛り上がってきていますが、新産業を創るには、これからは「Disrupt」の姿勢ではなく、既存のプレイヤーやルールとうまく馴染んで一緒に新しい価値を創出していくことが重要なのではないかと考えています。そのときの戦術オプションの一つが、戦略提携・アライアンスです。現に、直近の一週間でも、ここでは紹介できないほどの多くの提携や事業統合に関するプレスリリースが出されています。

大企業側とスタートアップ側(に挟まれて?)、両側を経験してきた身として、戦略提携やアライアンスのノウハウを体系化して共有することで、スタートアップ業界、ひいては日本の産業の底入れ・成長に僅かながらも貢献できるのではないかと思い、本書の執筆に至りました。

本書は必ずしもスタートアップのみに向けた内容ではありませんが、(自分の仕事柄)以下のようなスタートアップのみなさんに是非読んでいただきたいと思っています。

・事業会社ラウンドを考えている or 意識しはじめた
・PMFしたので or しそうなので、グロースのための経営資源の補完を考えている
(PMF前での提携は、コア事業がブレるので基本的におすすめしません)
・DX領域に取り組んでおり、大企業との協業は避けて通れない
・ミドルステージ以降の成長戦略やR&Dとして、M&Aや出資を考えている

とはいえ、上記の説明だけではどんな内容か伝わりにくいと思うので、参考までに、本書の「はじめに」を以下に転載いたします。

*****以下転載*****

 インターネットやITの発展により、企業を取り巻く競争環境の変化は激しくなる一方です。このような競争環境の変化に対応し、持続的な成長を実現するために、大手企業においては新規事業の立ち上げ等の取り組みのみならず、「オープンイノベーション」や「事業共創」と呼ばれるようなベンチャー企業とのアライアンスを通じて新しい技術やビジネスモデルの取り込みを行い、事業の「脱皮」を図っていく必要があることが強く自覚されつつあります。
 他方で、GAFAMに代表されるようなグローバルプラットフォーマーの影響力は日に日に増大しています。日本の未来の産業を担うと期待されるベンチャー企業はもとより、日本のイノベーションをリードしてきた大手IT企業でさえも、単独での事業展開ではグローバルプラットフォーマーには対抗できないため、アライアンスを通じて他社の経営資源を活用して、自社の事業にレバレッジをかけていくことが求められています。
 このように、大手企業もベンチャー企業も、自前主義を捨て、アライアンスを通じて事業を推進しなければ生き残れない「借り物競争(共創)」の時代に突入しており、この傾向は今後ますます加速することが予想されます。
 このような時代背景もあり、大手企業とベンチャー企業のいわゆる「マッチング」は活性化しつつあります。一方で、大手企業もベンチャー企業も、マッチングしたその次のステップとして、どのようなアライアンスを実現すればよいのか、どのような点に注意してどのような手順でアライアンスを進めればいいのかについてのノウハウを十分に有していないのが現状なのではないでしょうか。
 そこで本書では、以下を対象読者として、アライアンスを成功に導くためのアライアンス戦略・交渉・契約・実行のポイントを一気通貫で整理することとしました。

・大手企業の戦略・経営企画/M&A担当者
・大手企業の新規事業/オープンイノベーション担当者
・ベンチャー企業経営者

 本書は、経営資源を獲得するためのアライアンスプロセス全体をカバーする入門書的な位置づけのビジネス書であるため、戦略・交渉・契約・実行の各項目に関するより詳細で専門的な解説は、それぞれの専門書を参照していただくことを想定しています。本書はむしろ、戦略と交渉・契約とを橋渡しすることに重きを置いており、戦略・経営企画業務の担当者としては、交渉や契約におけるポイントを戦略と関連づけて把握することができ、また、契約・法務担当者や法律専門家としては、その前提となる戦略との関連性を理解することができるものと考えています。
 なお、本書の射程はオープンイノベーションにおけるアライアンスに限ったものではありませんが、昨今増えている大手企業とベンチャー企業とのアライアンスに関する記述を意識的に取り入れています。また、さまざまな産業がデジタル化されつつある昨今の状況も踏まえて、ソフトウェア産業・デジタル産業を意識した具体例を多く採用しています。加えて、大手企業とベンチャー企業とではその保有する経営資源も立場も異なることから、可能な限り、それぞれの視点からの解説を加えるようにしました。
 本書が、日本におけるアライアンスの成功確率の向上、オープンイノベーションの推進、ひいては産業の強化・発展の一助となれば幸いです。また、本書を執筆にするにあたり、多くの方々からご指導・ご示唆をいただきましたことにつきましても、ここに感謝を申し上げます。



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