PUBG GLOBAL CHAMPIONSHIP 2019 チームとグループ分析

 中国のWEBサイトで各チームの戦力を数値化している企画があったり、グループ①が死のリーグという声が多かったので、本当にそうなのか検証してみました。 

 PGCでは、各地域で独立して闘うチーム同士が一堂に会するため、今までのスタッツ等にあまり意味はありません。キル数や生存時間は、特定のリーグでの成績であって、今大会で同じように収束はしないです。
 例えば、プロ野球で打率3割のバッターがメジャーリーグに移籍したとして、同じ打率にはならない。というのと同じことになります。

 とは言え、まったく推測にならないかというとそうではありません。そこで当記事の中で、かなり無理やりなやり方を用いて各チームの得点期待値を推定してみます。そしてその結果、PGCのグループステージがどのような結果になるかをシュミレーションします。あくまでも特定の前提を固定した場合のシュミレーションであって、実際の結果はそうならないことをご了承下さい。特定のチームを上げたり下げたりする意図はまったく無く、こういう試合の見方もあるんだな、くらいに捉えて欲しいです。僕は日本のチームを猛烈に応援しています。

①得点期待値の考え方

 ここでの得点期待値とは、1ROUNDにおける獲得ポイントの期待値を指します。例えば、6ROUNDで36点獲得した場合、得点期待値は36÷6=6となります。

 そして、PGC以外でも国際大会は存在するため、一部の国際大会の成績を用いてリージョンごとの得点期待値の修正を試みます。例えばEUチームとKRチームが闘った国際大会AでEUチームが平均7点、KRチームが平均6点を取っていた場合、KRチームのKRリーグの得点期待値を6/7することとします。

 国際大会は、FACEIT・MET・GLL・NATIONSCUPの4をサンプルとして利用します。
 理由は、FACEITとNATIONSCUPは全リージョンが参加しており、METはKR・SEA・台湾・中国・南米・日本、GLLはEU・OC・NAと参加チームが綺麗に分離されていたからです。

②FACEITでの、リージョンごと得点期待値

 計算方法としては、各チームの得点期待値を同じリージョンの場合全て足し合わせ、最後にリージョンごとの参加チーム数で割るという方法を採用してみました。
 例えばEUのチームが3チームいて、Aチームは7点、Bチームは3点、Cチームは5点の得点期待値だった場合、(7+3+5)÷3=5点がEUリージョンの得点期待値とします。

 実際にFACEITのリージョンごと得点期待値は下記のようになりました。(SEAは東南アジア、TAは台湾、SAは南米、OCはオセアニアです)

EU 7.4
KR 6.5
NA 6.6
SEA 6.4
TA 3.1
CHI 5.3
SA 3.9
JP 4.7
OC 4.9

FACEITでは、平均して欧米のチームの成績が良く、次に韓国と東南アジアの成績が良かった。ということになります。

③METでの、リージョンごと得点期待値

KR 6.7
SEA 6.6
TA 4.5
CHI 5.8
SA 5.0
JP 4.7

METの参加は6リージョンで、またもや韓国⇒東南アジアの順になりました。FACEITの成績と同じく、台湾リージョンのチームの得点期待値がもっとも低いです。

④GLLでの、リージョンごと得点期待値

EU 7.6
NA 4.9
OC 4.7

GLLでの参加リージョンは3チームで、FACEITの成績と同じ順番になりました。EUとOCのチームは、FACEITの時とほぼ同じ得点期待値ですが、NAは6.6⇒4.9と大きく調子を落としています。

⑤NATIONSCUPでの、リージョンごと得点期待値

EU 5.5
KR 8.2
NA 5.8
SEA 6.6
TA 6.1
CHI 5.8
SA 4.7
JP 4.6
OC 4.1

KRの得点期待値が8.2と異常値を叩いています。KRリージョンは韓国代表のみで、韓国ホームだったということも強く影響していそうです。EUやNAは、FACEIT時と比較すると大きく調子を落としているのが分かります。これは欧州と韓国では時差が大きく、気候もまったく違うため、パフォーマンスに大きな影響を与えていると考えられるかもしれません。

⑥各リージョンの期待値合計

さて、②~⑤を合計してみます。
ただしNATIONSCUPはゲーミングチーム同士の戦いではなく、国別対抗の代表戦であるため、影響度を下げて1/3扱いしています。

EU 16.80
KR 15.95
NA 13.45
SEA 15.23
TA 9.64
CHI 12.98
SA 10.46
JP 10.90
OC 10.99

 下記のような結果になりました。まずこれを見て驚きなのは、東南アジアってPUBG強いんだ…ということです。
 しかしこれには理由があります。サンプルであるFACEITとMETにおける、東南アジアリージョンの参加チームは、ArmoryGamingただ1チームでした。そしてNATIONSCUPのタイ代表は、主にArmoryGamingのメンバーで構成されています。要するに東南アジアが強いというより、ArmoryGamingが特別強いということになります。

 さて、長くなりましたが次項で結論が出ます。最後に各リージョンにおける各チームの直近の実績に、上記の数字を当てはめて補正します。
 今回はEUリージョンの数字が最も高かったため、16.80を分母とします。例えば、KRリージョンのとあるチームの、直近の得点期待値が5点だった場合、5*15.95/16.80=4.75点が補正後の数字となります。

⑦各チームの補正得点期待値 GROUP1

EU FaZe 7.75
KR SKT 7.08
SEA Armory Gaming 6.91
OC Vendetta 6.74
EU NaVi 6.73
NA Tempo Storm 6.24
CHI Infantry 6.21
KR Gen.G 6.17
--グループステージ突破ライン--
EU G2 5.98
JP Rascal Jester 5.60
KR Entus Ace 5.56
SA RED 5.54
NA Team Envy 5.49
NA Ghost 4.37
TA Global Esports Xsset 3.61
CHI VC gaming 2.68

シュミレーションの結果、Gen.Gまでがグループステージ突破、G2以下が敗者復活戦行きとなりました。そしてやはりFaZeの補正値は断トツのトップとなっています。Gen.Gですらぎりぎりの値というのは、やはり世界大会の厳しさを感じさせます。ちなみに、KRリージョンのチームは直近の48試合を採用しています。

⑧各チームの補正得点期待値 GROUP2

KR Entus Force 7.72
EU Liquid 7.44
EU TSM 7.06
SEA Sting Divine Esports 7.01
KR Afreeca Freecs Fatal 6.65
EU Ccrowd 6.44
OC Athletico 6.41
CHI Four Angry Men 6.21
--グループステージ突破ライン--
KR DeToNator.KOREA 5.97
NA Lazarus 5.62
NA Genesis 5.52
JP SunSister 5.13
CHI QM gaming 4.97
SA WClick 4.89
TA ahq e-Sports Club 4.84
NA The Rumblers 4.78

 Four Angry Menまでがグループステージ突破、DeToNator.KOREA以下が敗者復活戦行きとなりました。そして重要なのが、GROUP①の方が低そうという前評判は、特定の見方をすればそうでもないということです。どちらのGROUPでも補正得点期待値が6を越えない限り、突破となりません。①のGen.Gは6.17、②のFour Angry Menは6.21と、わずか0.04の差しかありません。
 上記だけ見ると、GROUP格差は無さそうに見えます。逆に補正得点期待値が7を超えているチームはGROUP②の方が多く、下位チームにとっては降下箇所は要注意になりそうです。

⑨シュミレーションの盲点

 日本チームとDTN.KOREAのグループステージ突破が危ういという結果になってしまったので、最後にこのシュミレーションを否定してみます。

 まず補正値をだすためのサンプル数が、一発勝負の国際大会ばかりであり、とても少ないです。1度ドン勝を取るか取らないかでかなり変わってしまうということです。

  参加選手の経験値についても考慮していません。3つの国際大会に全て出場している選手もいれば、今回が初めての選手もいます。今回の日本チームは国際大会経験者がとても多いため、そういった意味では他のチームより有利です。

 あくまで短期決戦です。実際には少数のチームが連ドンしたりして、得点配分に大きくばらつきが出て、ほんの1点差が突破が変わったりします。

 各チームメンバーの入れ替わりもあります。良くなるチームも悪くなるチームもあります。この手のゲームは永遠に差がうまらないフィジカルの側面がとても弱いため、時間をかければかけるほど実力差が収縮します。実際に、KRリーグのphase3では、Gen.GとDTNの差は10点しかありません。また、2019年のKRリーグ総得点では、1位ENTUS1018点に対して4位DTN985点と、わずか3%ほどの差しかありません。

 結局のところ、どれくらいの期間、どういうやり方で分析するかという違いでしか無い。ということです。

 https://t.co/r6Uz9WSBPY?amp=1

 中国の有志の方々が行った分析も貼っておきます。こちらはちゃんとした統計学を採用しています。凄い執念だ…

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