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東京事変とはなにか?

大学生のころ、東京事変にハマっていた。とは言うものの、椎名林檎嬢が特別好きなわけではない。

むしろ椎名さんが一人で歌っているときはあまり興味が持てなかったのだが、東京事変にはドはまりした。東京事変において椎名さんは14.28%の存在であって、あとを他の6人が同様に14.28%ずつ持っている。

え? 東京事変は5人じゃないかって? いや東京事変は7人である。活動時期が被っていないひとが2人いるだけであって、東京事変は完全に7人である。そしてボクは7人全員が大好きだ。

うん。信者である。ここではそんな東京事変の7人について、懇切丁寧に説明していきたい。


1.伊澤一葉

伊澤一葉は「わっち」と呼ばれている。わっ⤵️ちなのか、わっ⤴️ち。なのか。いまだにわからない。そんな彼はキーボードを担当していて、まあ簡単に言うと変態的なプレイをする。

昨年も片平里菜のライブにふらりと出かけたら、サポートにわっちがいて、とにかく変態ソロの極みのような音を聞かせてくれた。

ライブ後のアンケートにわっちへの手紙を書いてしまったことは、いまさら言うまでもない。


2.浮雲

浮雲こと長岡亮介氏は、基本的にテケテケした音を鳴らす。ピコピコ、テケテケ。それは星野源の音源を聞くだけで、あ、浮雲じゃん、と気づくぐらいオリジナリティがある。

極端な話、駅のプラットフォームでスピーカーから鳴っても「あ、これ浮雲が弾いてるな」とわかってしまう、そんな最高のギタリストだ。

なかでもいちばんボクが好きなのは、「金魚の箱」という曲のギターソロだ。このギターソロを聴いて自転車に乗っていると(おっと、違反)体の中心をねじ曲げられるような快楽を感じて、思わず声がでてしまう。周囲から見ればボクは危険人物だろう。

「キラーチューン」での、キュインキュイン感も堪らないから、この曲のギターの音に耳をすませることを是非お勧めしたい。


3.刄田綴色

刄田さんといえば、酔っ払って警官にタックルをかましたyふじこlp;@:「」

おっと。いけない。ボクは正直酔っ払って警官にタックルをかますことがそれほど社会的にまずいなんて思わないが、それでもこの話は一応やめておこう。

彼はやはり東京事変の一期・二期を支える屋台骨であり、あとで紹介する亀田誠治氏とともに奮闘しつづけた。

刄田さんナシに事変は語れないし、事変は刄田さんナシではあり得ない。酔っ払って警官にタックルをかましてしまうところも含めて、ボクは彼を愛す。

タックルの何が悪いのだろう。まったく謎だ。「よくやってくれた」と言いたいぐらいだ。


4.亀田誠治

わっちも変態だが、師匠は輪をかけて変態である。いや普段の師匠は変態ではないが、プロデューサーという仮の姿(いや本来はそっちが本職)から解放された彼は、相棒の美しいベースを使用し、変態プレイヤーへと変わる。

ときには二児の父でありながら(だったはず)髪の毛をバチバチに硬め、そのどエロなベースで武道館の客を失禁(いやそこまではしない)させてしまう。

彼のベースの衝撃は忘れられない。「群青日和」ではベースだけを聞いてみよう。あなたはすでに彼を「師匠」と呼び始めているだろう。


5.H是都M(エイチゼットエム)

いまは青い鼻をつけて活動しているH ZETT M。しかしボクが彼のプレイに脳天をかち割られたのは、Dynamite outでのピアノソロだ。

当時大学生だったボクは、夜勤のコンビニバイトから帰ってくると、かならずこのDVDをきいてからでないと眠れなかった。爆音でこれを聞いて、ようやく眠りにつく。いったいなんの為に? いや人生がなんのためにあるかなんてわかりっこない。

とにかくピアノのまえで踊るヒイちゃん(愛称)を見るためだけにでも、Dynamite outをiTunesか何かで聴くべきだろう。昇天するぜ。


6.晝海幹音(ヒラマミキオ)

何を隠そう。じつはボクは東京事変のなかでミッキー(愛称)がいちばん好きだ。Dynamite outの頃の事変はバンドとしてひとつの頂点を迎えており(持論にすぎませんが)、あの歪んでワシャワシャした音は、当時若かったボクにはドンズバではまった。

あのワシャワシャ感は一期にしか出せない音で、Dynamite outを最後に、ミッキーとヒイちゃんはバンドを去るのだが、その音楽的達成はいまもボクの中では色あせていない。

恐らくミッキーとヒイちゃんというふたつの混沌は、エントロピーが増大し続けるこの社会において、ひとつのバンドにずっと留まっていることはできなかったのだろう。

それが最後に爆発して吹き出したのがDynamite outであり、あの深緑の音楽的楽園なのである。


7.椎名林檎

誰が林檎嬢のことを嫌いだなんて言いました? もちろんボクは彼女を愛します。しかしそれはあくまでバンドの1/7の、麗しき拡声機ガールとして愛するのであって、またソロになるとそれ程興味はなくなってしまう。不思議なものですが、事実なのでしょうがない。

じつはボクには、彼女の声は善きノイズとして聞こえます。つまりこうヤスリを手で掴んで、それを掴んだまま引き抜くみたいな、そういう快楽的な声というか(わかりますかね?)。

つまり椎名さんは「声という楽器」を使っているバンドの一人である、とボクは認識しているわけです。そして彼女の声がいちばんハーモニーとして調和したのが、あのDynamite outの頃の混沌のなかだった――と。ボクはそのように勝手な理解をしているわけです。

それはクラシック音楽のような澄んだ音の重なりとは違います。歪んで凹凸があるレイヤーが5枚重なることによる、総合的な音楽芸術。だからボクは彼らという楽団を愛したのだと思います。



ボクは一期に対してかなり思い入れがありますが、もちろん二期の2人もむちゃくちゃ好きです。二期の事変は(わっちと浮雲が入ってから)、路線として大人っぽく、セクシーになっていきます。

それは一期の時速250キロでアウトバーンを5人乗りでぶっ飛ばす事変とは違うけれども、またひとつの違ったバンドとして素晴らしいものでした。

ひとはだれしも青春期の混沌を乗り越えて、しっとりとした大人の段階へと進むものです。だからいまとなっては、二期の音楽の方をボクはよく聴いています。

音楽はいつの時代も移り変わって、どんどん更新されていきますね。でもまあ、若い世代でも事変にはまるひとは相変わらずいるでしょう。この記事を読んだひとが事変を知ることに一役買えたなら幸いです。

では、今日はこのへんで。

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