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もう誰も現代音楽の申し子”水瀬いのり”を止められない-驚異の新譜『ココロソマリ』に迫る

↑完全におかしいですね。絶対に友達になりたくない。そもそもツイッター10年くらいやってて、ツイート数が30万超えてるんですよ。気持ち悪いにもほどがある。こんな風になってはいけない。

■序論(飛ばしても何ら問題ない)

まあこれは先週の僕の姿なんだけど・・・大好きな水瀬いのりさんの新譜のね、表題曲がサブスクで先行公開されたんですよ。CDリリースに先駆けてね。マジで最近って便利な世の中ですよね。

そして、気づいたら1日で40回くらい再生してたわけ。いや、そんなことないんですよ。マジで普通に聞いてただけなのに。おかしい。

今、頭の中、かち割ったら脳みそからココロソマリあふれ出してくるし、なんなら、つま先までココロソマリに支配されてる。そんな状態です。だから、これはやべえやつの話だと思って聞いてください。

そもそも、そもそもですよ。手短に水瀬さんとの馴れ初め(別に結婚はしない)を話しますけど、僕は、2017年3月に、愛する声優ユニットの活動休止を波動球のように食らった男なんです。

さらに人生ってのは泣き面に蜂なんですよ。その時、わけのわからない僻地に「長期出張に行け」と言われ、半相部屋のような環境にぶち込まれ、毎日毎日「お前は本当にダメだ」と言われてね、そんな時に出会ったのが水瀬いのりさんの『Innocent Flower』だったんですよ。

割愛するけど、当初はあんまりいい印象がなくて、だけど、聞いたらもう涙流しながらドハマリしてしまって。『夢のつぼみ』って曲があるんですけど、これは僕の人生のアンセムにしてます。17年くらい音楽大好き人間をやってきて、これほどまでに心を掴まれたのは、それこそMr.Children以来でしたよ。これはマジでマジモンの本当の気持ち。

ー全部全部聞いた。ライブも1stから行ってる。しかも、このクソ面倒な性格の僕が人生初のファンクラブまで入ってる。

好きすぎる。

何がそんなにすごいのか?そんな話は、先にリリースされたアルバム3枚と、ライブを見た者なら、いや、少しでも曲を聞いた者なら、1秒あれば、理解することができる。

ありとあらゆるロックとポップスを自由に操ってみせるその姿、”少年性”という言葉が服着て歩いてるような歌声、マイナスからプラスへ座標軸を渡っていくような力強い歌詞、バンドメンバーが弾き出すダイナミックな音像は、まさMr.Childrenのそれと何ら遜色ない。

おまけに彼女は、水樹奈々にまっすぐに憧れてきた生粋の水樹奈々オタクなわけですから、簡単に言えば、最高のポップスと最高のアニソンのキメラってことですよ。そりゃお前やべえだろって話。まさに現代音楽の申し子“水瀬いのり”なんですよ。

それにしても、それにしても、おかしい。おかしい。音楽を熱心に何年も聞いてきた者なら、わかる。

何が?いや、水瀬いのりさんがデビューから1曲もクオリティを落としていないことが。わからないはずがない。異常だ。

人なんだから失敗してもいい。たまに何か落としても、転んでも、掬い上げて、絆創膏貼って、また立ち上がればいい。水瀬いのりさんはここまで一回も楽曲で転んでない。ライブも最初から完璧だ。そんなことは普通はない。人が作るものを、人が教授してるのだから、「今回はあんまり好きじゃない」って時もたまにはある。それでいいのに。おかしい。もはやホラーの域にある。

そんな彼女の新譜のレビューをします。やっと本題ですね。オタクっていつも前置きが長い・・・いつものことなら、ツイッターで適当に感想を垂れ流そうと思ったんだけど、今回は居ても立っても居られなかった。

だってこれはやべえから。マジで水瀬いのりを知ってるフリして知らないフリしてる音楽評論家が絶対いるだろうし、まだこの素晴らしさを知らない人がたくさんいるはず。前から異常だったけど、もう我慢の限界。時代が許しても俺が許さない。

どうして声優アーティストだけは、ツタヤで隔離されたり、普通の音楽番組やフェスに出れないのか?いや、もちろん時代は前進したけど、さらにその先を見なきゃダメですよ。今、2020年ですよ?なんでも出来ますよ。

そこに弊害があるとすれば、それは前時代の価値観や偏見、必要のない線引き、そんなもん全部壊すんだよ。俺の夢は水瀬いのりさんで東京ドームに行って、サマソニの一番でかいステージに水瀬いのりさんを立たせてあげること。絶対できる。信じろ。自分の聞いてる音楽が、好きなアーティストが世界で一番優れてて、正しいって信じろ。俺は信じて叫ぶよ。

■レビュー

①ココロソマリ

自身も出演するアニメEDのタイアップ付き表題曲。人間とゴーレムの親子愛を描く異色作が与えるイメージと心情を、その未来を、丁寧に切り取った水瀬いのりの作詞技術も素晴らしい。幼い頃から、両親の愛をたくさん受け取った彼女から溢れ出す言葉、その一つ一つが、冬の日の朝露のように、美しく輝く。

いのりちゃんのお父さんお母さん、本当にありがとう。

作曲は櫻澤ヒカルさん。少し調べたがアイマスの曲らしきものをやってる以上はよくわからない…肌と肌が重なり、離れる音、その温もりさえ拾いあげるような繊細なイントロから始まる。声の美しさを、素直な気持ちを伝えることに徹したシンプルなアレンジが好感触である。

今ってなんとなくバラードが売れなかったり、踊れるか否かがヒットの論点にあるけど、これは対極にある。斉藤朱夏さんの『36℃』なども、その点では優れたバラードであったが、本当に昨今の声優アーティストは名曲揃いである。

ファンクラブイベントで初披露された時、周りのオタクが何人もすすり泣く声を聞いた。無論、僕もボロボロになった。きっと、歳を重ねて、色んな立場に立ってる色んな年齢層の人が、大切な人を思ったのだろう。水瀬いのりさん、あなたの言葉はちゃんと届いた。

特筆すべきは、切なさを押し殺すようなCメロ、そこから解放されていく大サビ(全く新しいDメロが現れる)の展開である。序盤は声の出し方も含めて、淡々と進んでいくのに、まるで積み重なる気持ちが、雪崩のごとく崩れるような印象を受ける。およそ、ドラマチックと言う言葉では足りない。

「大好きだよ 何度伝えたら ずっとそばに 居られるのかな?」

問題の大サビの歌詞。これは、今から未来を見る視点(願望)だろうか?それとも、何かを失った、一緒にいられなかった過去を未来から振り返る視点(後悔)だろうか?どちらの意味でも通じる。こういう歌詞を何気なく書いてしまうのが恐ろしい。

作詞家としての水瀬いのりさんの動向も今後はチェックした方が良さそう。まだまだ進化する

②僕らは今

これはラジオで初オンエアされた時、目の前で何が起こってるのか、ちょっとよくわからなくなった曲。圧倒された。

表題曲のバラードよりも長い、水瀬いのり最大長尺の壮大なロックナンバー。作曲はエレメンツガーデンの藤永龍太郎さん。

先日、これを聞いた櫻井孝宏氏が「水瀬いのり流のQueen」と指摘したことによって、我々のモヤモヤはクリアになった。

たしかに。イントロがもう「Mama,just killed a man…」だし、どこかクラシカルに進んでいく様式美とか、それに呼号するバンドサウンドの躍動感も、すばりQueenのそれに近い。

と思ってたけど、どうやら有識者によれば、元ネタはこれで間違いないらしい↓

いや、聞いたことあるわ。てか、聞いてたわ。洋楽からは去年まで遠ざかってたけど、さすがにわかる。この手のドラムパターン、展開は大好き。

マイケミもすごいけど、この曲もまあおかしい。サビが何度も出てくるし、細かく分けたら4番くらいまで歌がある。楽器も感情論そのまま憑依したみたいにエモ散らかしてて、ラストスパートのベースラインなんてもう尋常じゃない。これに負けないボーカルもまたすごい。

藤永さんは、水瀬いのりのロック的なメンタルを、その才能を引き上げる楽曲もいくつも生み出して来た天才で、『約束のアステリズム』では、バンプの『虹を待つ人』を想起させる曲展開を見せてきた方だから警戒はしてたけど。やられた。パクリじゃなくて、オマージュ、リスペクトだってわかる曲作りにしてる。その塩梅がちょうどいい。素晴らしい。

僕たちは進んでいく。僕たちの意思は進んでいく。絶えることなく、僕たちは恐怖を超えて突き進む。世界は絶対に僕から水瀬いのりを奪えないんだから。そういうこと。

それにしても水瀬いのりさんは良い声でロックを叫ぶんですよ。見てくださいよ。かっこいいとかじゃなくて、震えないですか?

え?これがロックかどうか?どっちでもいいよ。とにかくすごいでしょ??

ちなみに、3rdアルバム収録の『今を僕らしく生きてくために』はEDMの大名曲であり、この曲のプロトタイプだと思うんだけど、メッセージ性も地続きになっている。歌詞は坂本真綾さんなど、数多くのアーティストに提供している岩里祐穂さんによるもの。実際に水瀬いのりさんのライブを見て、そのイメージから書き上げたと言う。

過去は修正できないし、未来のことはわからなくて、僕らが触れるのは今、この瞬間だけって事実、これはどんな人間にも平等に与えられる権利。そして、今を僕らしく生きてくための歌がここにある。

些細な見栄、錆びてた恥、未来の不安、過去の悔いを捨てた僕と君だけが刻みつけられる神話があるってこと。目まぐるしく変わっていく曲展開と高まり続け、加熱を繰り返されるボルテージ…これ、ライブでやったらどうなるんだろうね?めっちゃ怖くない?会場の全員が倒れて、横アリ爆発しちゃうよね?やばい

ロックンロールの歴史においても、力強くアンセムとして掲げられてもおかしくないクオリティ。事件、歴史の1ページに刻むしかない。いつか最低限、ZOZOマリンでこの曲をやらなきゃだめ。

しかし、某曲に似てるから良いって話じゃない。ちゃんと水瀬いのりという人間を、その精神性を見てきた人間が、水瀬いのりと僕らの物語を活かすために、ベストを尽くしてるから良いのである。

これは今作に収録された三曲全てに言えること。この才能を、ベストな形で引き出し、最高の皿に乗せて提供する業こそが水瀬いのりスタッフの真骨頂なのである。最高だね。

③well wishing word


オタクと言うか、僕は高まりすぎると、好きすぎるものに出会うとキレちゃう。意味わかんないよね?好きすぎる思いは叫ぶしかなくて、それを通り越したら怒りになる。そしたら生きてるのが申し訳なくなって死ぬし、好きすぎてころ…

つまりイントロ2秒でこの曲は「ふざけんなころ」ってなってしまった。世界一のエンターテイナーかよ。意味わからないですね。ごめんなさい。これまたすごい曲作りやがったな…ってこと。

ちなみにこれまた有識者によれば、こちらがイントロ元ネタ。聞いたことあるやつだなあと想ってたけど↓

良いバラードと良いロックを聞かされた後に良いポップスまで用意されてるからやばい。三曲で人生のフルコース揃ってる。水瀬いのり、お前がHEROだよ。

音の跳ね方かまず尋常じゃないと思う。SENSEかSUPERMARKET期のミスチルだよ。ワクワクするメロディだけ詰め込んで、煌びやかな音を盛り込んで、キラキラのサビで毎日をアップデートするようなテンション…完全な桜井和寿の手法じゃん。

クレジットを見ると、基本のギター、ベース、ドラム、ピアノの他にフルート、ピッコロ、オーボエ、タンバリン、ちゃんとしたストリグス隊が加わり、非常に賑やかなサウンドに仕上がってるのがわかる。『wonder caravan』の楽器隊がそのまま2曲目を演奏したみたいにも聞こえる。

作詞作曲編曲は過去に冬の大名曲『winter wonder wander』を作ってくれた柳舘周平さん。今回は冬真っ盛りの季節感ではなく、春に向かう為の前向きな別れを告げる季節を表現したのかなって印象。

そして、音に気を取られがちだけど、歌詞がめちゃくちゃいい。

「『生涯ずっと一緒に』なんて誓いません 誓えません 奇跡とは永遠じゃないのです」

これね、水瀬いのりさんって人間を見てきた人ならわかると思う。めちゃくちゃ言いそうだよね。この本人が言いそうなセリフを、水瀬いのりの心の中、その井戸から組み上げるような技術…素晴らしいと思う。そして僕も同じ気持ちなんだよ。

僕らってその、すげえ気があう人に出会えると、わかりあえると、すぐに絆だとか永遠云々って言うけど、僕は永遠って言葉があまり好きじゃなくて。ちゃんとした関係、コミュニケーション、信頼をその度にちゃんといつも積み上げて、それが結果長い期間になれば、永遠のように見えるだけだと思うから。

たまにそれが崩れても、お互いに歩み寄って、また積み上げていける…そう言うのが好きなんです。それを怠って、最初から「これは永遠だ」って決めつけるような関係は論外だなと思う。

水瀬さんもおそらく近いことを考えていて、だから歌い始めがこの歌詞なんだと思うし、僕らは会う度にちゃんと君を見つけてあげるんだってこと。

また会う為のさよならの歌。ライブ終盤で最高の劇薬として機能しそうですね。早くライブ見たいです。あと4カ月も待てない無理無理

■総評

100点満点中500000000点。いいバラード、いいロック、いいポップスで構成されたシングル。いよいよその才能、可能性を未だかつてないレベルで高い所にブチ上げようとしている。

もう誰にも止められない。「声優アーティストなんて聞く必要はない」と考える音楽のお偉い評論家、先生方は今回のシングルで彼女を見つけられなかったら、もう終わりだと思う。終わってる。

もっとちゃんとシーン全体を見て音楽を聴いてくれよ。夏にはツアーが決まっており、その千秋楽は横浜アリーナである。横浜アリーナである。死んでも行く。だが、まだここでは終わらない。もっともっとこの音楽を多くの人に叩き込まなければいけない。

そしたらこの国はもっと良くなる。なんかみんな最近変だから。ツイッターしか見てないから、わからんけど、それが世界そのものだとは思わないけど。国とか言いだしたらなんか怖いからやめとくね。でも、僕は本気でそう思うよ。水瀬いのりは希望だからね。

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