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[ギンコ・ビローバ]樋口円香と円香コミュの特色

【前書き】
[ギンコ・ビローバ][カラカラカラ]樋口円香のコミュ、およびTUREのネタバレを多分に含みます。
あと、関連する作品・過去の名作などに絡めた評価などはありません。
やってるのは「言葉からキャラクタが何を思い考えているか推測する」という1点のみです。

内容は大きく分けて2つです。
これまで樋口円香のコミュを読んでいく中で、特徴的に感じていた部分が、ギンコ・ビローバを読んで整理できた気がするので、それを(1)に書きます。
(2)は、(1)の特徴を踏まえて自分が読み取ったギンコ・ビローバの話の本質について書きます。

(1)樋口円香のコミュの特徴
(2)ギンコ・ビローバの話の核は何か

お付き合いいただければ幸いです。

1.樋口円香のコミュの特徴

円香のコミュに関しては主に2つ、特徴となるポイントがあると感じています。その特徴が話を読み解くうえで重要になると思うので、最初に説明します。

■その1「コミュの語り口の特色」
巷で円香のコミュは以下のように言われているのをよく見ます。

「なんかうまく読み取れない」
「プロデューサーの話ばっかしてんなこいつ」

それもそのはずで、円香のコミュは他のコミュと比較すると構造が異なるものが非常に多くあります。

通常の多く見られるコミュを図示すると下のような形になります。
最初に、プロデューサーとアイドルが共通の事項、出来事だったり、テーマだったり、所謂”話題”と呼ばれる事項を認識・把握します。そして、それらの”話題”について互いに語ります。
すなわち、中心にあるのは”話題”です。

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しかし、円香のコミュでよくある形は以下のような形です。

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円香のコミュの多くは「Pが話題について言及」→「Pの言及した内容について円香が語る」→「その最中に、円香の考えが零れ落ちる」という形です。
「プロデューサーの話ばかり」という印象になるのも当然で、実際に中心にあるのは”話題”ではなくプロデューサーの話題に対する反応なのです(こいつホンマPのこと好きやな…(妄想))。

このような構造になっているため、”話題”を中心に話を読み取ろうとすると、実際の構造とのずれから話を読み取りにくくなるのです。

■その2「独白での語り」
円香のコミュには、円香が独白のように語る選択肢が混ざっていることがあります。その1で書いた通り、円香のコミュの大半はPの意見に対する反応で、自分から物事を語ることは少ないです。
そんな中、数は少ないですが独白という形で自分の考えを吐露しているのはコミュを読み取る上で非常に重要なのではないかと感じています。

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例えば『偽』のこれ。示唆的内容ですが非常に重要だと思います。

2.ギンコ・ビローバの話の本質

1.の内容を踏まえてコミュを読み取った結果、ギンコ・ビローバの話の本質・テーマは以下だと読み取りました。

『言葉・行動を含めた外に見せる自分』

コミュの中で円香が独白をこぼしているのは以下の3つ、それぞれ『信』『噤』『偽』です(『銀』もありますが、そちらは別口で語るので割愛)。

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これらはどれも外に見せる自分の話です。
実はこの話は今回のギンコ・ビローバで急に出て来た話ではありません。
共通コミュ「心臓を握る」にもその一端が表れています。

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円香は何かを背負うことを恐れています。
そして、それは同時に、「言動や行動で何かを外に表明・表現すること」を恐れるということと等価です。
なぜなら、人は自分の言動に最も縛られ、背負うものを増やしていくからからです。自ら夢や目標を口にしてしまえばその言葉に、何か行動を起こせばその行動に後々縛られます。
それ故に、円香は自分を外に表明・表現しようとしません。
『偽』のコミュの中で”言葉に誠実”とPから評されいますが、誠実であるからこそ、口にすればその言葉や行動に縛られ、重荷を背負うことになるため、めったに外への発露を行わないのです。
(円香の誠実さについては、一度始めると決めたアイドルを”辞めれば楽になれる”ということをわかっているに辞めていないことからもわかります)

なので、
『信』では、口にしたないはずの自分の考えを代弁されて怒ります。
『噤』では、映画を気に入ったからこそ、自分の感想を表に出さなければならないことに不満を感じます(「大切なものほど、そうでしょ」という会話からもわかります)。
『偽』では、自分をさらけ出して表現を行うアイドルという存在に恐れを感じ、”寒い”と表現しています。

3.『銀』とは何か

ここまでの話を踏まえると、Trueコミュ『銀』で語りたかった内容もおのずと見えてきます。

円香は、外に何かを言動、行動で発露するのを恐れており、大切なものほど口にするべきではないと考えています。
そう、すなわち、「雄弁は『銀』、沈黙は金」です。

しかし、よりによってその円香の隣に、雄弁こそ金として行動する人間がいます。そう、プロデューサーです。

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自らの目標を雄弁に語り、それに向かって愚直に進み、常にスーツと同じ常に折り目正しくあるプロデューサー。
自分と全くの正反対の彼を見て、円香は思ってしまったのでしょう。
”そのをスーツの裏にあるものを見てみたい”と。
自分とは全く違う人間への恐怖と、少しの羨望と、あまりにも綺麗な彼を汚し、自分と同じところまで落としたいという願望を持って。

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4.蛇足

※ここからは完全に蛇足の自分語りです。

なんども物語を読み返し、この解へ至った時の自分の感想は「ああ、二人の、二人だけの物語だ!楽しい、楽しい!」でした。

自分はもともと、二人の間の感情の話が大好きで、ラブコメやギャルゲーを摂取し続けていました。
円香とプロデューサーの話は、恋愛というくくりではないかもしれません(自分は限りなく恋愛に近いと思っていますが、各自の解釈によるでしょう)。しかし、円香のコミュが二人の間の感情の話であることは間違いありません。
二人の人間が関わることで、感情・考えが動いていくのを見ることは至上の喜びです。

プロデューサーはスーツを脱いだ姿をいつか見せるのでしょうか?
その時円香は何を思うのでしょうか?
自分と同じ弱さを持っているという安堵でしょうか?
自分にできないことをなぜできるのかという嫉妬や恐怖でしょうか?
円香は勇気を持って何かを発露するようになるのでしょうか?
その時プロデューサーはどんな役割を果たすのでしょうか?

ああ、全ては未知です。未知には楽しさが詰まっています。誰かの感情や考えを追うのは底知れないほど楽しいです。

アイドルマスターシャイニーカラーズ君が、次もこの二人の間にある感情を、彩豊かに描いてくれることを願って、本文を終わりたいと思います。

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

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