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救いたいと思う相手を救えなかったと思う無力感

大好きな人がいる。

大切な人がいる。

その人の力になりたいと心の底から願い、頭と手を動かし続ける人に向けてこの記事を書こうと思う。


私の周りには推しの力になりたいと願うオタクがたくさんいる。

そういうオタク達はこぞって推しの願いに自己投影してそれが叶わなかった時に傷つき打ちのめされる。

理想を現実にすることはとても難しいし、それを叶えようと奮闘することは誰にでも出来ることじゃない。

でも、そうしたオタクは誇り高さを持つ故に、理想に届かなかっただけで自分を責め続ける。

他人が「そこまでしなくても…」と慰めの言葉をかけても、かまわず自分を責める。

「これでよかったのか?」と内省をし続ける。

終わったことを引きずり続ける。

端から見たら諦めの悪い人間かもしれない。意味のないことだと思うかもしれない。


私は言いたい。

「君は自分を責めるのではなく、そこまでやり抜いた自分を祝福しなさい。誰がそんな君を責められるのだろう?自分の周りを見渡してほしい。君を責めるのは君しかいないことに気付くだろう。」

理想や願望を抱くことはなにも悪いことじゃない。

ただ、理想(願望)と目標(目的)は似て異なるものだ。

君がしてることは目標に向かって進み突けた自分を、ただひとつの理想を達成できなかっただけで、ひとつの失敗と思い込んでるものそれだけを理由に、鞭を打ち付けるが如く自分を責め続けてるだけなのだ。


例えば、推しがアイドルを続けたかったにもかかわらず特定の要因でアイドルを続けられなかった。

推しの幸せがそこにあるはずだったのに、虚しくも終わりが突きつけられた。

そんな時、推しの幸せを継続させられなかった自分を責めてしまうだろう。


考えてほしい。終わりを突きつけられる要因は多種多様で複雑だったりする。

運営が理由だったり、メンバーが理由だったり、金が理由だったり、推しの周りにいる人に恵まれなかったり、誰かの悪意が理由だったりする。

こうしたものはそもそもが破綻なのだ。


飛行機を想像してみてほしい。

(オタクじゃない人はここから先の登場人物は自分の周りでイメージしやすいものに置き換えてほしい)

グループが飛行機。

推しはパイロット。

スタッフはキャビンアテンダント。

社長は管制塔。

乗客は君やオタク達。

それをテレビ中継で見る人は外野から野次馬するだけのオタクや第三者。


その飛行機はそもそもが傷だらけで、飛行してるだけで奇跡の状態。

破綻した状態で飛行してる飛行機はそれだけでも大したものだろう。

事故が起きる条件が全て揃ってるなかで、なんとか飛行が続けられるのはそこで奮闘する人間がいるからだ。諦めない意志、それのみで飛行出来ているのだ。


管制塔である社長がいなくなったり、キャビンアテンダントであるスタッフがいなくなったり、もしくは何も知らない引き継ぎもない人間に入れ替えて飛行していたりする。

テレビ中継だけ見て知った気になる第三者の存在は「下手なパイロットだな!」「なんでこんなことになってるんだ!?」「ああ、可哀想に」と好き勝手なことを口々に言う。


そんな状況で目指せる最善は何か?

飛行をこれまでも続けさせることなのか?

傷だらけの飛行機なんだから、飛行を続けることではなく、どこかに着陸することだろう。

ここでいう着陸は、グループにとっての解散だ。

そしてその着陸もうまくいくか分からない。

飛行機ごと大破するようなものだったり、誰かを巻き込んで大事故起こすようなものだったりするかもしれない。

そのなかでうまく着陸(解散)できるということは、最善を出来たということだ。

これそのものこそ奇跡の所業に近い。


もし、その着陸がうまくいったのだったら、それは最善が出来た証なのだ。

傷だらけの飛行機を操縦するパイロット(推し)を客であるオタクが励まし続け、スタッフであるキャビンアテンダントがなんとかフォローし、やっと漕ぎ着けた着陸なんだ。


それでも君は自分を責めるのだろうか?

飛行を続けられなかったことを責めるか?

これが整備されて万全な状態の飛行機だったら、飛行をすることを目的とし、事故が起きないことが理想とされるだろう。

傷だらけでそもそもが破綻してる飛行機に、同じ目的と理想を抱くのは不可能を願うことと違いない。

それをもし願うのなら整備された飛行機にパイロットやキャビンアテンダントや乗客一同乗り換えるしかないのだ。


君はそんななか、ずっと頑張り続けたのだ。

人間一人の力なんてたかが知れてる。

無力に等しいものだろう。

だが、人間一人の意味や影響力は計り知れない。


打ちのめされる君はそれを実感できないかもしれない。

だが、君はその証拠を既にまざまざと目の当たりにしている。

君の大切な人、そう、推しだ。

推しはたった一人の人間で個人では無力だが、その意味や影響力は君にとって果てしないほど偉大なものだろう。

君も同じだ。君一人の意味や影響力も計り知れないのだ。

だからこそ、君は君のやったことを誇ってほしい。それは君にしか出来なかったことだ。


これまでに君がしたことをひとつひとつ思い出してほしい。

うまくいったこともうまくいかなかったことも、君がいるから笑顔になれた人がいる。

それは君の意味と影響力にしか成し遂げられないものだ。


ここまで頑張ったことを君は祝福してほしい。

労ってほしい。

「よく頑張った」と。


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