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メインは“いってらっしゃい、ふんわり薫る配慮添え”でございます

「あら、お出かけ?」
声をかけられて振り返ると自転車に跨ったまま同じように振り返っているのは、同じマンション住み、輪番で回ってくる管理組合理事会グループのメンバーさん、70歳代くらいの女性、理事会仕事でご一緒して以来、会えばご挨拶はもちろんのこと、時間が許せば多少の立ち話など…最寄り駅まで歩くため、くそな暑さと一瞬で吹き出し始めた汗との闘いに夢中で、彼女とすれ違ったことに気付かなかった
「あ、こんにちは!」
「車じゃないから分からなかったわ」
「今日はちょっと飲むので…笑」

少し後ろ向きにいざりながら、答えつつ…むぅ、たいして急ぐわけではないが、この暑さの下一瞬の立ち話も少々躊躇する、まぁそれは彼女も同様だろうが、はてさてどこまで後ろに戻るか、いかがいたそうか??
「あらあら、そうなのね、いってらっしゃい!」
「は~い、ではまた!」

理事会会議では、細かいところにひっかかり、議題を奥の細道的迷路に導いて行くのが得意な彼女、ちょっと面倒な方だなとは思ったが、まぁ職場なんぞでもあるあるな感じだ、本筋に戻したいけど、年齢層ごちゃまぜのボランティア会議、職場よりかは柔らかさを意識しまくってシャットアウトしてみたこともあったのに、何かヒットする匂いでもあったのか、はたまた私の仕事ぶりなどお気に召して頂けたのか、なぜか可愛がって頂けているようにも思う

余計なプライベートはだらだら話もしないし、聞かれもしない距離感を保ったままのお付き合いは心地良く、短い挨拶のやり取りで、若干の名残惜しさと時間を浪費させない配慮のニュアンスを感じさせてくれる彼女は絶妙で、面倒だなと思った当初の自分を恥じる、私の発する言葉に配慮をちりばめることは、はたしてできているのだろうか? リスペクトは上手く伝わるだろうか? 私はまだ若輩だ、見習うべき人生の先輩はたくさんいる





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