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風土は変えるものではなく合わせるもの

企業などで不祥事が発生した際にその原因として「組織風土」が指摘されることがよくあります。そして対策として「組織風土改革」が掲げられますが,本当に風土を改革できるのでしょうか。

風土の漢字を見てみると「風」「土」。自然界のシステムであるこれらを人為的に動かすことはできません。そこに暮らす人たちは風土に合わせた生活をしているのです。
近年は日常生活に風や土を感じる機会が少なくなっているのかも知れませんが,気象データを見てみれば「風土」を改めて見直すこともできます。このことは以前も記事にしました。

産業界の中で風土を最も意識しているのは間違いなく農業でしょう。なにしろ「風」と「土」によって育まれるものを商品としているのですから。そして農産品にはそれぞれ名産地とされる場所があり,優れた質の品を産出しています。そこがなぜ名産地となったかと言えば風土がその作物の生育に適しているからです。近年はハウス等により一定程度は環境制御できるようになってはいますが,それでも外気温には左右されますし日射は太陽からです。

農業が生活そのものであった大昔は当然ですが,現在においてもその土地の風土に合った「適地適作」を基本に農業は成り立っています。風土を変えるのではなく風土に合わせているのです。
ちなみに・・宣伝になりますが,弊社では気象データから適地適作を診断するサービスも行っています。ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

さて冒頭に返って考えてみると,組織風土にしてもその組織を構成する人や歴史に基づいているものです。そしてこれには敢えて自然界では人為的に変えることができない「風土」と名がつけられています。なぜこれを変えられると思うのでしょうか?

ここからはサラリーマン時代に感じていた憤りも混ざりますが,組織風土の問題を指摘するのはたいてい第3者で,問題点がよくわかっていないのでざっくりと全体感のある「風土」という言葉を使っているのです。指摘されなくても内部の人達はうまくいかないことに既に苦しんでいて,指摘を受けると風土とは自分たちそのものですからすべてを否定されたように思ってしまうでしょう。

風を変えようと扇風機を置いてもいつか壊れます。土を入れ替えても洪水で流されます。風土は変わりません。ですからまずは「風土を知ること」これが一番重要です。そして風土に合った仕組みややり方に変えていきましょう。必ず適地適作な方法が見つかります。


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