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父親が死んでから16年が経った

10月31日。
世間はハロウィン一色。
ぼくにとっては父親の命日でもある。

今年で29歳になるが、歳を重ねるほどに"父親"という存在を噛みしめる。

16年前のあの日

最期が近い父親は、母親の要望もあり在宅医療を受けていた。
1日中寝たきり。会話もまともに出来なかった。

16年前のあの日、13歳だったぼくは中学最初の合唱コンクールが近かったため1年A組の教室で歌の練習をしていた。
担任の先生が教室の扉を開け、ぼくを呼び、廊下へと連れ出した。
「今すぐ家に帰りなさい。」
その顔から、口ぶりから、なんとなく察しはついた。
しかし、どこかで認めたくなかったぼくがいた。

帰り支度をするぼくにクラスメイトが
「大丈夫か?」
と声を掛けたが
「うん、たぶん大丈夫だと思う笑」
と返事をした記憶がある。
中学校から家まで15分。
「たぶん大丈夫」と信じていた。

家に着くと既に父親は死んでいた。
54歳だった。
最後の会話は、ほとんど意識の無い父親に「行ってきます」と伝えたことだと思う。

家にいないことが日常

正直な話、父親との思い出は多くはない。
ぼくが5歳の頃から父親は肝臓が悪かった。
悪かったというより、かなり悪かった。
そのため、入退院を繰り返していた。
だんだんと入院の方が長くなり、物心がついたときには家に父親がいないことが日常だった。

手術は何回もしていた。
その回数は二桁になる。
そのうちの1回は肝臓の移植手術。
ドナーは母親。
奇跡的にドナーの適合者だった。

移植手術をしたとき、ぼくは10歳だった。
両親共に入院するために、家族ぐるみの仲であった近所の母親の友人の家へ居候させて貰うことになった。

当時は子どもだったので特に気にしなかったが、いま振り返るとよく受け入れてくれたと思う。感謝しかない。

父親のことが嫌いだった

野球少年だったぼくは土日は野球の練習や試合漬けだった。
親心、とでも言うのだろうか父親は体調が良いときは試合を観に来てくれていた。

しかし、身体が弱い父親の顔色は悪い。
肝臓がうまく機能していないサインでもある黄疸の症状は、子どもながらも「気持ち悪い」という印象でしかなかった。
もちろん、外に出歩く際はマスクや帽子は必着。

あるとき、チームメイトから自分の父親を指さされてこう言われた。
「なんか怪しい人いません?」
もちろん、チームメイトはその怪しい人がぼくの父親であることは知らなかったので、悪気はない。
ただ、多感な時期にその言葉は深く心に刺さり、父親のことを嫌いになっていった。

たぶん、父親にもぼくが嫌っていることは伝わっていたと思う。
いま考えると悪いことしたなあ。
ごめんね、お父さん。
大好きだよ。

父親の死から得たこと

人はいつか死ぬ。当たり前のことだ。
頭で理解していても身近な人が死ぬまでは自分事として考えられない。
父親はぼくに早くからそのことに気付かせてくれたのではないか、と思っている。

一方で、死んでからでは全てが遅い。
進路で悩んだり、留学中に不安だったり、結婚を決めるときも、仕事で躓いたとしても、この先、二度と死んだ父親に相談することは出来ない。
そして、親孝行をしたくても出来ない。

だから、母親には出来る限りの親孝行をしていこうと思って、出来る限り一緒に旅行にも行っている。

若いときはまだ恥ずかしさが残っていて、なかなか実行に移せないのもわかる。でもぼくの周りにいる人にはこの経験を伝えたい。
親孝行したくても出来ない日々は、突然襲ってくる。
いますぐLINEで「元気か?」と送ってあげよう。
たまには家族でご飯を一緒に食べよう。

健全な内にいざという時の情報を

血液クレンジングのニュースが話題である。
難病が治るという噂話は後を絶たない。
父親が闘病中にも怪しい話はたくさんあった。

「クマの胆嚢が良い」
「ビワの葉や種が良い」
「サルノコシカケが良い」
「杏の種が良い」

基本的に、これらの情報まで手を伸ばす場合は現代医療では手に負えなくなるなっているケースが多いと思う。
まともに判断など出来ない状況なのだ。
家族は大切な人との時間をもっと一緒にしたいので、藁にもすがる思いだ。
そんな深層心理を知ってか知らずか、ビジネスとして法外な値段をふっかけてくる輩はたくさんいる。
本当にクズだと思う。
どうか、これを読んでいるみなさんが悪徳商売のカモにされませんように。

さいごに

父親が死んだとき、母親はぼくに言った。

「自分が一番不幸だ、と思って生きてはいけない。」

人それぞれ、目に見えないだけで色々なものを背負って生きている。
自分だけが特別じゃない。

2回も配偶者も亡くしている母親の一言は、いまでも鮮明にぼくの心に刻み込まれている。



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