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RINGCUBE閉館に思ふこと

都内2か所のリコーイメージングスクエアが統合されることになり、銀座は2月末で閉館となります。統合するならスペース的にも新宿しか選択肢はなかったでしょうし、諸々の状況を考えれば、残念ですがやむを得ない判断だと思います。でもやはり、これまでのアレコレが思い浮かんできますね。

2008年秋、新・銀座・写真空間 RINGCUBE をオープンして11年
・大物写真家のネームバリューだけに頼るギャラリーにしない
・製品PRではなく地道に写真の魅力を伝えていく場所にする
・展示に合わせてフレキシブルに変化する空間作り
 (開閉できる緞帳、可動パーテーション、色温度可変の照明等の設備)
・ボランティア集団Doughnutsとの共創
・あえてガラス張りのスタッフルーム
などなど、立ち上げメンバー達と毎日話し合いながらのドタバタ準備。

写真展でいえば、細江英公さんの和紙の屏風仕立てのロダン写真展とか、前川貴之さんのほぼ等身大動物写真展とか(鉄道でもやった)、開催するまでどんなものになるかハラハラした初期の企画が特に記憶に残っています。

GR DIGITAL発売後、取材の度に「うちは他社のようなギャラリーもショールームもないので、せめてWEB上でファンと繋がれる場所を作ろうとBLOGを始めました」と話していました。それが効いたわけではないのですが、その3年後に銀座の一等地にギャラリーをオープンさせられた喜びは、今も鮮明に覚えています。ボク自身は有料ギャラリーA.W.Pリニューアルの少し前あたりから直接関わることもなくなりましたけど、いつも心のどこかに特別な思いをもって見守ってきました。

もちろん、良いことばかりではなく、カーテンの下から照射するライトが弱すぎて外からは工事中のようにしか見えずに唖然としたりとか、大人の事情で本意でない展示もやらざるを得なかったとか、飛ぶ鳥跡を濁していった人とか、とか(笑)。それでも、ここまで続けてこられたのは、多くの皆さんに支えられてきたから。運営スタッフも、来ていただいた方々の笑顔と温かい応援があったからこそ今日まで頑張ってこれたのだと思います。本当にありがとうございました!

最後の企画展になる「The secret 2020」(2月12日〜2月29日)は、ネームバリューに頼らない・固定観念で写真を見ないという開設時に決めた運営方針を、そのままカタチにして毎年繰り返してきたもの。まさに、RINGCUBEそのものと言えるくらい特別な企画です。それが最後を飾るというのも、巡り合わせというか感慨深いものがあります。いつかこっそりボクも参加できたらという妄想は叶いませんでしたが(笑)、オープニングセレモニーにはこっそり顔を出せたらと思ってます。

銀座がなくなることを、残念がっていただいている方々も多いと思います。何よりボク自身がそうですから。でも、冒頭にも書きましたがそれも時代の流れ。今、残された人にできることは、銀座で11年間みなさんと共に育て学ばせていただいた大切なものを、新しい場所で活かしていくことなんだと思います。きっと、それがこれまで支えてくれた方々への感謝のお返し。これを機会に、これまであった新宿はPENTAX、銀座はRICOHという匂いもなくなればいいです。個人的には、雑貨屋的な陳列や値引きPOPなども変わりますように、と(笑)

新しいギャラリーでは、ボクも大好きな写真家であり東京工芸大名誉教授の内藤明さんがアドバイザーとして参画します。メーカーギャラリーが外部キュレーターを起用する新しい挑戦、楽しみです。写真文化を発信する挑戦、挑発をどんどんしていって欲しいです。新生リコーイメージングスクエア東京が、これからどんな風になっていくのか、ボクも皆さんと一緒に楽しみながらに見守りたいと思います。

最後に、改めて、、、
長い間銀座を利用し応援していただいたみなさん、本当にありがとうございました。そして、これまで同様、スタッフを応援してくれたら嬉しいです。外部の立場になりましたが、お礼の気持ちを伝えたくて書かせてもらいました。心から感謝を込めて!

http://news.ricoh-imaging.co.jp/rim_info/2020/20200116_028366.html?_ga=2.190990446.57253974.1579569619-807880544.1568969366

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