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【小説紹介】『どうしても生きてる』 朝井リョウさん

“だからきっと、大丈夫。これまでみたいに、不安で不安でたまらないまま、大丈夫になるまでどうせまた生きるしかない。”

『どうしても生きてる』朝井リョウ

本書は六作の短編集です。(以下帯文より引用します)

①「健やかな論理」
死んでしまいたい、と思うとき、そこに明確な理由はない。
心は答え合わせなどできない。

②「流転」
家庭、仕事、夢、過去、現在、未来。
どこに向かって立てば、生きることに対して後ろめたくなくいられるのだろう。

③「七分二十四秒めへ」
あなたが見下してバカにしているものが、私の命を引き延ばしている。

④「風が吹いたとて」
社会は変わるべきだけど、今の生活は変えられない。
だから、考えることをやめました。

⑤「そんなの痛いに決まってる」
尊敬する上司のSM動画が流出した。
本当の痛いの在り処が映されているような気がした。

⑥「籤(くじ)」
性別、容姿、家庭環境。
生まれたときに引かされる籤は、どんな枝にも結べない。


朝井リョウさん……すごすぎるよ……。
どれだけ心に響く言葉を教えてくれるのさ。


本当に全話朝井リョウさんの実体験なんじゃないかってくらいリアリティがあって、生々しくて、どうしようもなくて……。


誰もが一度は体験したことがあるけどフタをしてしまった感情や心情を、つまびらかに言語化してくれている。


決して晴れやかな終わり方ではないけれど、そのすべての物語を愛することができました。


いやーーー、めちゃくちゃ響いたな……。
個人的に「流転」がいちばん刺さりました。


心に残った一文

“嫉妬や羨望はいつだって、そうなれたかもしれない自分を打ち消すための毒ガスだ。”

『どうしても生きてる』朝井リョウ

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