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【小説紹介】タイトル見たらわかる、おもろいやつやん!

こんにちは。今回はタイトルを見ただけで「うわ!これ絶対おもろいやつやん!!」ってなる小説を5冊紹介します!


①『殺した夫が帰ってきました』(桜井美奈 著)


【あらすじ】

やっと手にした理想の生活だったのに……
都内のアパレルメーカーに勤務する鈴倉茉菜。茉菜は取引先に勤める穂高にしつこく言い寄られ悩んでいた。ある日、茉菜が帰宅しようとすると家の前で穂高に待ち伏せをされていた。茉菜の静止する声も聞かず、家の中に入ってこようとする穂高。
その時、二人の前にある男が現れる。男は茉菜の夫を名乗り、穂高を追い返す。男は茉菜の夫・和希に間違いなかった。しかし、茉菜が安堵することはなかった。なぜなら、和希はかつて茉菜が崖から突き落とし、殺したはずだったからだ。
戸惑う茉菜をよそに、和希は茉菜の家に上がり込む。改めて話を聞いてみると、和希は過去の記憶を一部なくしており、茉菜と一緒に暮らしたいという。茉菜は渋々それを受け入れる。
かつての和希はとても暴力的な人間だったが、いざ暮らしはじめると、暴力的な影は一切見られず、平穏な日々が過ぎていった。
しかしそんな矢先、茉菜のもとに一通の手紙が届く。手紙には一言だけ「鈴倉茉菜の過去を知っている」と書かれていて……
記憶をなくし帰ってきた、殺したはずの暴力夫。謎めいた正体と過去の愛と罪を追う、著者新境地のサスペンスミステリー。

『殺した夫が帰ってきました』より


一見するとふつうに見える人間でも、バックグラウンドにはさまざまなもの(闇だったり深い傷だったり…)を抱えていて、断片的に切り取られがちな行為も、それに至るまでの過程には善とも悪とも甲乙つけがたいことが多いんだなぁ、と感じさせられる小説。

実際読んでみて、思っていたような展開とは少し違いましたが、今まで読んだことがないタイプの小説だった記憶があります。


②『死にたくなったら電話して』(李龍徳 著)


【あらすじ】

“「死にたくなったら電話して下さい。いつでも」。
空っぽな日々を送る浪人生の徳山が、バイトの同僚に連れられて訪れた十三のキャバクラで出会った、ナンバーワンキャバ嬢の初美。
世界の残酷さを語る彼女の異様な魅力の虜になってゆく徳山は、やがて外界との関係を切断していきーーーー。
人間の無意識に潜む破滅への欲望をあぶり出す。
第五十一回文藝賞受賞作。”

『死にたくなったら電話して』より


物語の始まりから終わりまで、終始アングラな雰囲気が漂っていて、

この物語に出てくる登場人物は、いってしまえば、とんでもなく”出来損ないな人たち”なんですよね

でも、そんな”出来損ないな人たち”が人生で抱える感情だったり、物事に対する考え方や価値観だったりというのは、案外”ふつう”の生活を送るぼくたちにも相通じる部分があるんじゃないか?、と

みんなそんなことを考えてはいるけど、表には出してないだけで、きっと自分はそんなんではない!と否定したいだけなのでは?、と

あらすじに「人間の無意識に潜む破滅への欲望」とあるように、人生の中で自分への”抹消願望”が芽生えた時、この世界での自分の存在を肯定できなくなった時、

自分は何を想って、どんな行動に出るのか……

物語の最後まで登場人物たちが、予め定められていたに抗いながらも、どんどんおかしな方向へ行ってしまう……

最後まで読めない展開で、思わず一気読みしちゃいました。


③『15歳のテロリスト』(松村涼也 著)


【あらすじ】

なぜ少年はテロリストになったのか――衝撃と感動が迫りくる慟哭ミステリー
「すべて、吹き飛んでしまえ」
突然の犯行予告のあとに起きた新宿駅爆破事件。容疑者は渡辺篤人。たった15歳の少年の犯行は、世間を震撼させた。
少年犯罪を追う記者・安藤は、渡辺篤人を知っていた。かつて、少年犯罪被害者の会で出会った、孤独な少年。何が、彼を凶行に駆り立てたのか――? 進展しない捜査を傍目に、安藤は、行方を晦ませた少年の足取りを追う。
事件の裏に隠された驚愕の事実に安藤が辿り着いたとき、15歳のテロリストの最後の闘いが始まろうとしていた――。

『15歳のテロリスト』より

あなたの家族や大切な人が、少年犯罪の被害者になったとき、どんな感情が芽生えますか?

あいつの存在が憎い、のうのうと生きてるのが許せない、自分の人生を滅茶苦茶にしたあいつを殺してやりたい…

本書の主人公である篤人は、過去に母親と妹を17歳の少年によって殺された過去を持っています

その事件は篤人の人生は凋落させ、幸福な日々は一生癒えることのない大きな傷を生み出した

その憎しみや悲しみの情念を吹き飛ばすかのごとく、篤人はとんでもない事件を巻き起こし、、、

とても臨場感のある描写と、道徳的な感情に訴えかける著者からの問題提起は、ひとりの人間として考えさせられる部分が多かったです。


④『家庭用安心坑夫』(小砂川チト 著)


【あらすじ】

夫との平穏にみえる家庭に漠然とした不安を抱えた専業主婦小波が、ある日、日本橋三越の柱に、幼いころ実家に貼ったはずのシールがあるのを見つけたところから物語は始まる。
小波はいまも実在する廃坑テーマパークに置かれた、坑夫姿のマネキン人形があなたの父親だと母に言い聞かされ育つが、やがて東京で結婚した彼女の日常とその生活圏いたるところに、その父ツトムが姿を現すようになって……。
現実・日常と幻想・狂気が互いに浸蝕し合いながら、人間の根源的恐怖に迫っていく作品。想像力と自己対話によって状況を切り抜け成長していく主人公は不可思議で滑稽な言動と行動に及ぶが、それがかえって小説としての強度となり、ある種のユーモアを孕みながら読む者を惹き込み、我々を思ってもみなかったような想定外の領域へと運んでいく。
誌上発表後、新聞各紙絶賛、話題沸騰! 第167回芥川賞候補作

『家庭用安心坑夫』より


タイトルだけだとどんな内容の小説なのか、まったくわかりませんよね。笑

ついでに表紙もなんだかシュールレアリスム的な不思議な世界観が漂っています。

本作の主人公は、いい感じにトチ狂っています。

純文学に出てくる主人公らしい「偏愛ぶり」が発揮され、ただその偏愛を突き詰めていった結果、おかしな方向に拗らせていってしまう

感覚としては、『むらさきのスカートの女』と若干似た感触を覚えました。

個人的に第167回芥川賞候補作のなかでいちばん好きだったな。


⑤『おまえなんかに会いたくない』(乾ルカ 著)


【あらすじ】

北海道道立白麗高校・第二十七期卒業生3年6組の元クラスメートたちに、校庭に埋めたタイムカプセルの開封を兼ねて同窓会を開催するはがきが届いた。
同窓会SNSも立ち上がり、10年前の高校生活を懐かしみながら盛り上がていく彼ら。
しかし、ある日、「岸本李矢という子を覚えていますか」という書き込みが……。
爆弾ともいえる書き込みに、ある事実が明らかになっていく。それぞれの思いで苦悩する登場人物たち。
新型感染症で変わっていく世界の中、同窓会は近づいていた……。高校時代の「いじめ」に対して、関わった人々の心の移ろいと葛藤を描いたリアルな青春群像劇。

『おまえなんかに会いたくない』より


これまたパンチ力のあるタイトルですよね。なんかズシっとくる感じの。

本書はいくつかの章にわかれており、それぞれ一人称で描かれているのでひとつの出来事に対して複数の思惑や視点が浮き彫りになってきます。

その描写力が臨場感アリ、現実感アリのおもしろさ。

「スクールカースト」も扱っており非常に現代的な内容も含んでいるので、自分の学生時代を重ねあわせながら楽しむこともできると思います。

「同窓会」「復讐劇」…。こんな同窓会は嫌ですね。(笑)


以上、5冊を紹介しました。
一冊でもみなさんの気になる小説があったらうれしいです!

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