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最近の米軍の牽制行為の背景には、中国人たちの「台湾侵略論」が?

COBRAの2020年5月19日の記事「Dragon Endgame」で紹介された記事「US Deploys B-1Bs, Warships In South China Sea As China Nationalists Call For Invasion Of Taiwan」を翻訳しました。

※翻訳がお気に召しましたら記事下部からサポートのご検討をお願い申し上げます。

"台湾はイベント時にとても重要な役割を果たしますが、その内容はまだ公表できません。

間接的なヒントはこちら"

元記事

by Tyler Durden
Sun, 05/10/2020 - 21:18


世界経済がコロナウイルスの大流行によりほぼどこでも封じ込められる状態にある一方で、米軍は活発に動いている。

太平洋空軍のウェブサイトに掲載された最新情報によると、第9遠征爆撃隊のB-1 Bランサー戦略爆撃機は、太平洋空軍の訓練と「インド太平洋地域における国際秩序を強化するための戦略的抑止力任務」を支援するために、南シナ海で任務を遂行している。

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星条旗新聞によると、4月30日の訓練は米軍が南シナ海において「力の誇示」をするためのものだとした。「2人の空軍爆撃機が木曜日、紛争海域に出撃した。」

"米空軍の発表によると、エルズワース空軍基地の第28爆撃飛行団であるB-1 Bランサーズは、米インド太平洋司令部と米戦略司令部による合同爆撃機タスクフォースの一環として、海上作戦を行うため、32時間の往復飛行を行ったとされている。

空軍によると、今回のミッションによってグローバルな爆撃機の存在を予測しにくくすることを目的とした、新しい「ダイナミックな戦力」をさらに実証できたという。"

一方、アメリカ海軍協会(USNI)が金曜日に報告したことによると、米海軍は「南シナ海でのマレーシアと中国の鉱物所有権紛争をめぐり、中国は先月に続き2隻の巡視船を派遣した」とされている。

報告書によれば、木曜日にはパナマ船籍の掘削船「ウェスト・カペラ」がある近くの南シナ海で、沿海域戦闘艦USSモンゴメリー (LCS-8) と補給艦のUSNSセサル・チャベス (T-AKE-14) が、武力と抑止力を誇示するために臨戦態勢をとった。この掘削船は、マレーシア国営石油会社ペトロナス社と、マレーシアの排他的経済水域内で測量作業を行う契約を結んでいる。アメリカ海軍協会によると、中国人民解放軍海軍 (PLAN) の艦船や中国沿岸警備隊の艦船も、マレーシアが契約している掘削船の近くで操業しているという。

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2020年5月7日、南シナ海でUSSモンゴメリー (LCS-8) が活動を行っている様子-米海軍撮影


これとは別に、4月下旬にはミサイル巡洋艦 「バンカー・ヒル」 (CG-52) がオーストラリア海軍のフリゲート艦 「パラマッタ」 (FFG-154) と一緒に出帆し、強襲揚陸艦 「アメリカ」 (LHA-6) とミサイル駆逐艦 「バリー」 (DDG-52) と合同訓練を実施した。

米太平洋艦隊司令官のジョン・アキリノ司令官は次のように述べている。「我々は、南シナ海における規律に基づく秩序へと献身し、海洋の自由及び法の支配を引き続き保護する。

中国共産党は、これまで東南アジアの人々への石油、ガス、漁業などでの嫌がらせや横暴な態度を改めなければならない。」

4月29日、バンカー・ヒル号は南シナ海のガヴェン礁近くの南沙諸島において、航行の自由に関する作戦を実施した。第7艦隊の声明はこうだ。「南シナ海における不法かつ広範な海洋上の権利の主張は、航行及び飛行の自由並びにすべての船舶の無辜の航行の権利を含む、海洋の自由に対する深刻な脅威となっている。」

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米軍による「力の誇示」が中国との関係性を悪化させている能性があるとして、サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は今日、「中国政府は、自国の国家主義者たちがコロナウイルスの大流行を抑えるために台湾に侵略すべきだと主張しているのをなだめようとしているところだ」と報告した。

"ソーシャルメディア上で多くの中国人ユーザーが、台湾を武力で再統一することを要求している。中国政府はこれを否定していないが、一部のアナリストによると、中国政府は長期的戦略を立てており、現在は「民族主義的熱狂」を冷却しているのだという。"

サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙の報告によると、幹部養成のための中央党学校の雑誌に今月初めに掲載された記事があり、そこには17世紀に清朝が台湾を征服した歴史と、計画実行には忍耐と綿密な計画が必要であることが強調されていたという。

"『スタディ・タイムズ』に掲載された5,000字ほどの歴史学者のトウ・タオ氏の記事によると、清国は20年間、台湾の侵略と征服の準備をしてきたが、その目的を達成するために武力に頼るのではなく、政治的、外交的、経済的手段も用いてきたとされている。"

清は台湾の支配者を外交的に孤立させることに成功させ、台湾に使者を派遣して、支持を得るために中国本土に戻って支配者の重税から逃れさせるというインセンティブを与えたりしていた。その一方で康熙帝は侵攻艦隊を編成し訓練しており、1683年に台湾島を奪取して清帝国に編入させることに成功したのだった。

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ネット上の国家主義者たちの多くが台湾侵略を求めている。
写真:ロイター通信社

現在に話を戻すと、1949年の内戦に敗れた国民党軍が避難した先のこの島の支配権を中国へと取り戻すように、多くの評論家や元軍司令官たちが中国政府に呼び掛けている。

さらに、台湾政府の自衛を支援する法的義務を負っている米国は、太平洋に配備されている4隻の空母すべてが「コロナウイルス(COVID-19)」の影響を受けているため、現時点では対応できないと主張している元軍幹部もいる。

北京の北港大学の田飛龍 (TianFeilong) 准教授をはじめとする一部の法律評論家は、2005年に批准された 「反国家分裂」 法は政府に武力行使を検討する法的権限を与えていると主張している。

"田飛龍氏はニュースサイト 「guancha」 に掲載された記事の中で次のように主張している。台湾の政治的、社会的発展は、この状況を平和的に解決することが不可能であることを意味しており、香港での反政府デモは中国政府が台湾統一の基礎として使用することを望んでいた「一国二制度」が失敗だったということを示している、と語った。"

退役した空軍少将で、本土ではタカ派の声と見られている喬良(Qiao Liang)氏は、ソーシャルメディアプラットフォームの「WeChat」で公開した記事の中で、今は台湾を武力で制圧する時期ではないと主張した。「高コストでリスクが大きい」と警告し、中国は経済力と軍事力をつけて米国に挑戦するまで待つべきだと喬良氏は説明した。

"北京のある軍事筋によると、 「中国当局は事態が平和的に解決されることを望んでおり、台湾人の大多数は現状維持を望んでいる」 ということだ。

同筋は、「統一前後の台湾の安定と繁栄を維持することは、大陸にとって依然として最優先課題でもある」と述べた。"

シンガポールの南洋工科大学で台湾海峡両岸関係を講義している李氣虹(Lee Chih-horng)教授によると、これらの記事で言いたいのは、政府は台湾の統一について独自のスケジュールを持っているということを示しているのだという。

"中国政府指導部は、中国本土のソーシャルメディア上で台湾を強制編入するよう求める声があまりにも感情的になって注目が集まっていることから、まずは国家主義者たちの熱を冷ます必要があることに今では気付いている」 と李氏は述べた。

「中国は今は武力で台湾を取り戻す時期ではないと認識しているが、習近平国家主席はいずれ台湾問題の究極的解決策を提示するだろう。」”

南シナ海における米国の「訓練任務」と「パトロール」が強化された背景に、中国の国家主義的傾向があるのかどうかは正直言って不明であるが、米国と中国の間でコロナウイルスの大流行の原因をめぐる外交的緊張が高まっていることは事実であり、その中で軍事的緊張の高まりが両国の正常な関係の回復を促進することは、ほぼ皆無であると言ってもいいだろう。

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