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【サステナブル・ファッションの虚像】 エシカル消費はブランディングの幻影か?

ファッション業界のトレンドにおいて、マーケティング戦略としてサステナブル・ファッションが目立ち出している。このブームは本当にサステナブルなのだろうか?それとも、ファッションブランドの都合のよい新しいブランディングとしての虚像で終わるのだろうか?

●ブランドのブランディング

"ブランド"と呼ばれるファッション企業。彼らは、見た目のデザイン以外にも様々な差別化を図り、マーケティングを行なってきた。
 【素材】ゴアテックス、ヒートテック…
 【産地】児島デニム、鯖江メガネ、栃木レザー…
 【職人】天才パタンナー、素材のこだわり凄い…
そして今、サステナビリティが新しい差別化要素として注目されている。
上記との共通点はストーリー・蘊蓄があること。ブランディングの要素として、メタデータによる付加価値は重要度を増している。サステナブルという地球に優しいストーリーは、メタデータとしての付加価値は存分に高いように思える。
上記との違いは、着心地、見た目のデザインに影響が無いこと。メタデータだけの要素であり、ファッションの実像がないことが、サステナブル・ファッションを虚像と呼ぶ所以である。

●エシカル消費は夢か幻か

サステナブル・ファッションは実像がないと言及したが、別にデジタル体験のような、安宅和人氏のいう所の虚数軸での価値が有ることは否定しない。時代はモノ消費からコト消費に移っていると言われて久しい。そんな中、サステナブル・ファッションはエシカル消費に支えられると考えられている。
エシカル消費とは、エシカル(倫理的)に良いものを積極的に選択する消費のことである。例えば、海外セレブのように、5段階欲求をすべて満たし、さらに社会的価値重視する、若しくはそれをやっている自分を自己ブランディングをするなら、共感できる。しかし、多くの消費者はセレブではない。サステナブルでマウントを取りたい層がいったいどれだけいるのだろうか。
ビジネスジャーナルの記事でも、サステナブル・ファッションは好きだけど買わないという実態が述べられている。頼みの綱は新人類Z世代の価値観なのだが、同条件ならエシカル消費を選択したとしても、消費者への利益が自己ブランディングだけでは、この取り組みはサステナブルなものになるのだろうか。


●サステナブルなファッションとは?

「サステナブル」とは「持続可能」ということである。果たして、自然由来な製品を使うことが持続可能なのであろうか。
安定して原料入手、加工生産、提供し、消費者が体験できるサイクルが時間軸において継続的に繰り返されることこそ、持続可能であると考える。
地球環境としての継続だけでなく、フェアトレードのようなバリューチェーン、リサイクル・または土に還るような、エコサイクル。その中で、消費者は持続して愛用したいという価値があってこそであり、供給者のビジネスもその一部であるエコサイクルこそが、サステナブル・ファッションと考える。三方よしのビジネスが、時間軸で持続されることが重要なのである。

●まとめ

もちろん地球に優しいファッションを否定する訳ではないし、衣料の大量廃棄、燃やすのは社会課題だと考える。その社会課題は解決しつつ、消費者へ価値を提供し、企業のビジネスも回る三方よしのサイクルが、時間軸で持続的に続く世界観を実現して欲しい。この理念はSDGsにも当てはまる。
その中で、データによるトレーサビリティ、証明、パーソナライズ等の技術が組み込まれるなら、Data for triGoodで取り組んでいきたい。


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