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民俗学漫談

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民俗学についてのお話をまとめています。
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#メディア

【民俗学漫談】習性としてのコミュニケーション

SNSや掲示板と言ったコミュニケーションのプラットフォームができて、『人間がこれほどまでにコミュニケーションをしていたがっていたのか』と言うことが浮き彫りになりました。 しかし、SNSでも動画やいわゆるライブ配信などを見ていると、コミュニケーションと言いつつ、一方的なコミュニケーションにも見えます。 主にテキストベースで、投稿者なり、配信者なりに向かって、多数の人間が、前後の文脈も顧みずに言葉を投げかけています。 自分の言いたいこと、『今日は何をした』、『何を食べた』な

【民俗学漫談】SNS時代の個性

現実感を求めるイチローが大リーグが頭を使わなくなっているといっていました。 何を使っているのかといえば、データでだそうです。 データを基にして、最も効率の良い方法をとっているだけだそうで、はたして、それは野球なのかという話でした。 翻(ひるがえ)ってみると、この状況は、何も大リーグの野球に限ったことではないようにも見えます。 ゲームの主人公は、もてますね。 放っておいても、ストーリーが進み、成長や解決に導いてくれます。 試練は現実に比べたらまさにゲームであり、現実より

【民俗学漫談】宗教とサブカルチャー

前に、 という漫談をしましたが、今回は、宗教とサブカルチャーについて、漫談をします。 サブカルチャーにおける「聖地巡礼」の現象漫画やアニメに、現実の宗教施設が登場したり、神仏が登場したりします。 虚構の世界に現実の場を登場させるわけです。 物語を構成する素材として用いるのですが、その事によってリアリティが増しますね。 ゴジラが目指すのは、東京タワーであるから見ている側に衝撃を与えるのであって、見たことのない町では、その効果が薄いという事です。 本来、漫画やアニメは

【民俗学漫談】売れるものの集中

便利なメディア小説が売れない。と。 全般的な話です。 小説が売れない、イコール、読まれない。と言うことにすると、まずは、今は、自分を表現する手段、自分の内面を探る手段が増えて、優秀な人たちが文学の側に入ってこなくなった、と言うのがあります。 サッカー人気で、野球をするこどもが減ったのと同じ現象です。 もう一つは、小説というメディアが、消費者から見て、「不便」なメディアになってしまった。 何が不便なのかと言うと、消費者は、貨幣を用いて、何をしたいのか。もちろん、物を手

【民俗学漫談】文字というテクノロジー

思想をわがものに日本美術の本をめくっていて、どうも趣味に合うのは、長谷川等伯から始まって、琳派、蕪村に芦雪や若冲できわまる感じがしました。それ以前の仏教美術や以後の浮世絵も素晴らしいとは思うんですが。 それ以前の物にはなかったものがあるんですよね。 落ち着き? バランス? 色合い? 構図? 大胆さ? 迷いのなさ? なんでしょうか。 で、なんで、そのころになって、美術が違うものになってきたのかと思ったんですよ。 それは、思想と言いいますか、精神面での変化があったのでは

【民俗学漫談】バーチャル共同体

皆さん、スマートフォンをお持ちだと思いますが。 スマートフォン。今やあれを通じて社会とつながっていくものになっています。手放せなくなっちゃいましたね。 以前の携帯電話やポケベルは限られた範囲の共同体や組織とつながっていましたけど。 スマートフォンは社会とのつながりですね。あそこから情報を得ています。 十万年前から噂話が大好きな人間がネットを手にいれたわけです。 共同体に参加しなければ人間は生きていけない。外れる恐怖も知っている。必死になる。と。 「実力がある」人間