同人誌の装丁覚書④ 人形に魂は宿るか
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同人誌の装丁覚書(マガジン)
はじめに
今回の記事は自分の中でも思い出深い、2018年5月に刷った本についてです。
2017年に公開された映画『ブレードランナー2049』。実はFate/EXTRAを好きになるまでSFジャンルに全く興味がなく(文系のため理系っぽい話はとにかく敬遠していました)名作と言われる前作の『ブレードランナー』すらも観たことがありませんでした。公開当時話題になっていたので、何かインスピレーションが得られるかなと思って観に行ったのですが……ものすごい衝撃を受けまして……。あの降りしきる雨の中でぼんやりと発光する色とりどりのネオンに雑多な町並みといった美術セットにも、造られた生命に魂が宿るのかといった作品のテーマにも引き込まれましたし、何より物語の結末が寂しくて……でも、その寂しい結末があまりにも好きでした。
気になって前作『ブレードランナー』も後追いで観ましたが、こちらもまたラストシーンが良くて……。『2049』のあのシーンはこういうことだったのか! と後から伏線を理解することもできましたし、何より悪役として出てくるレプリカント(人造人間)がとても魅力的でした。パロディ二次創作の鬼として、どうしてもこの話を自ジャンル自カプでパロディしたい……っ!!!!!! そう考えた私は翌年のスパコミ併せでこちらの本を刷りました(再び緑陽社にお願いしています)。
仕様
実物写真
印刷した本はこんな感じ。
映画のポスターのような表紙と、商業の文庫本(ハヤカワ文庫SFのような……)のような裏表紙をイメージして作成しました。オレンジの箔を押したタイトルロゴはもちろんご本家のロゴのパロディ。全体的に文字の配置にもうちょっと余白取ればよかったかな~という後悔がありますが、緑陽社のRGB再現がすごすぎて……百丸さんに描いていただいたイラストがとにかく最高の形で印刷されたので満足です。
百丸さんにキャラクター二人を自由に動かせるようレイヤー分けしたデータをいただいていたので、カバー下は一人ずつ映ってもらいました。「知る覚悟は~」の部分は、2049のキャッチコピーのパロディです。
遊び紙。実際の色味はこんな感じのシックなゴールドで、四角い幾何学模様がエンボス加工されています。ギルガメッシュのイメージ+「レイチェル」が実際に『ブレードランナー』のキーパーソンである、自分自身をレプリカントだと知らず本物の人間だと信じている女性と同じ名前なので用いました。すごく気に入っています。
当時カラー口絵無料フェアが開催されていたので、口絵もつけてみました。文庫サイズだとやはりイラストが小さく潰れてしまうので、もっとよく見てもらえたらと思い拡大気味にしています。
本文ページはこんな感じ。今回からデータが一太郎に残っているので体裁も載せておきます。
9ptで作成しましたが、今見ると8~8.5ptの方がよかったかなと思いました。読みやすくはあるのですが、ちょっと字が大きい。あと確か当時、ピクシブプレミアム特典か何かでフォントワークスのフォントが半年間無料で使える? フェアがあったので、いつもの筑紫明朝pr6Nとは微妙に違うフォントを使っています。Cオールドはひらがなが綺麗だったのでまた使いたいなと思っていますが、やっぱり契約料を見ると正気に戻りますね……。
奥付もハヤカワ文庫SFのパロディです。また、執筆中に聴いていた曲や使用した紙の情報などを載せてみました。こういう情報、本当はどの本にも入れたいなといつも思っているんですが、〆切に追われているとよく忘れます。
感想まとめ
以上です! 緑陽社ではこの後もう一冊刷っているので、その紹介も追々できたらと思います。
サポートが何なのかわかってないですが、していただいたらメチャメチャ感謝します。