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育休中にコロナ禍がやってきたけどなんとか転職できた話

0歳の子供がいる女性が、正社員で転職するのって可能なんだろうか?

この1年間、出産前からずっと仕事のことを心配していた。その理由は、会社の経済的な事情で「もうフルタイムで雇えません」宣言をされてしまったからだ。しかも妊娠中、絶対安静で家に引きこもっていた時期にその連絡がきた。あーよくないことが重なるってこうゆうことか、とその時は絶望した。

その後上司とも話し、産休育休はなんとか取れることになったが、育休が明けたらすぐに転職する必要が出てきた。春にコロナで延期となっていた息子の保育園スタートとわたしの仕事復帰は、遅れに遅れて7月からやっと始まった。この状況下では仕方がないが、日々進化が止まらない0歳児と長く一緒にいれたことと、仕事探しの期間が伸びたのは幸いだった。これまでの半年間、私は必死に転職活動をしていた。冒頭の疑問について、常に答えをぐるぐると考えながら。

結果から先に言うと、大変ありがたいことに、8月から新しい職場で働けることになった。しかも希望していた時短勤務の正社員として。途中、就活が思うように進まず絶望していた時期もあったので、本当にありがたいと思った。

山あり谷ありだった私の就活は、後半かなりイレギュラーな感じで一気に進んだ。これから就活する人にとってどこまで参考になるかは謎だけど、はじめからおわりまで振り返りつつまとめてみることにした。


わたし情報

・2019年10月に第一子を出産
・外資系(健康美容業界)日本支社に5年勤務 
・これまで4社経験(内2年は海外勤務)
・IT系スタートアップへの転職を希望
・英語やタイ語を話す

転職活動をするにあたり、具体的に何をしたかタイムラインで見てみると、以下のような感じだ。​


0. 裏ドングリに入会

突然だけど、ドングリFMというpodcastの番組をご存知だろうか。BuzzFeedの記者で編集者のnarumiさんと、アフリカで会社をやっているなつめぐさんの2人がゆるくおしゃべりする人気番組だ。

podcast以外でもvoicy、SoundCloud、Radiotalk、Spotifyなどでも聞くことができる。そのドングリFMが、昨年秋頃に始めたオンラインコミュニティが「裏ドングリ」である。

もともと家事の合間などによく聴いていて、妊娠中voicyの公開収録に一人で行っちゃうくらいには大好きだったので、コミュニティ開設と同時に入会した。オンライン&オフラインで自分が普段つながらないような人たちと交流ができたり、日々勉強になることや発見も多い。

その後私の就活にこの裏ドングリががっつり関わってくることになるとは、はじめは想像していなかった。


1. スタートアップの人っぽいプロフィール写真を撮影

私は今回、IT系スタートアップへの転職を希望していた。GreenWantedlyには前から登録だけしていて、よさそうな求人がないかどうか時々チェックしたりしていたので洗脳されていたのかもしれない。現職とフィールドは異なるが、外資系日本支社の小さな会社で幅広く立ち回っていたことから、経歴的にはなんとかいけるような気が勝手にしていた。これらの転職サイトに登録したことある人は分かると思うが、スタートアップの人たちのプロフィールは、みんなカッコよくいい感じに写っている写真が多い。

私はWantedlyを見過ぎてたせいか「自分のプロフィール写真をいい感じにしなければ!」という考えに取り憑かれていた。そうすればすでにその業界の人的な雰囲気が演出できて就活も有利なはず…、と思い込み、とにかくまずは何より写真!と急いで撮影の予約をした。夫は「その辺にある証明写真BOXでいいやん」と私の行動に理解を示さなかったが無視して進めた。

撮影には前から気になっていたLovegraphというサービスを利用してみることにした。アマチュアカメラマンなどが撮ってくれるので(もちろんプロカメラマンもいます )比較的利用しやすい金額設定になっている。 私の担当は、写真家志望の学生さんだった。一番安いプランにしたら、選択できる場所が限られていて代々木公園での撮影になった。

季節は2月。くそ寒い中、1時間半ほど夫と当時0才4ヶ月の息子に付いてきてもらった。夫が息子を私が見える向きに抱え、カメラマンの背後をうろつき、私の自然な笑顔を引き出だしてくれたおかげで撮影はスムーズに進んだ。


2. 自分紹介のサイトを作る

次に自分紹介のページを作成した。具体的には、自分のプロフィール、職歴、学歴などをシンプルに見やすい形でまとめておき、いつでも人にさっとリンクを送れるようにしておいた。誰かに人や会社を紹介してもらう時など、事前に自分のことを知ってもらうのに非常に便利だった。履歴書や職務経歴より気軽にシェアできるのがよい。もちろん代々木公園でいい感じに撮ってもらった写真をメインページに使った。

左側は目次部分。Biography(自己紹介+経歴概要)、Education(学歴)、Work History(職歴)、Skills(資格など)必要であれば後で英語バージョンも作ろうと思っていたので、目次はとりあえず英語で作成した。

これは以前に友達が作っているのを見て、よさそうだと思い真似してみた。結果、私の就活にはとても役に立った。Google Siteなどを使えば簡単に無料で作成できるので、これから就活する人はぜひ作ってみてほしい。


3. ワーママ向けエージェントに複数登録

Twitterで「ワーママ」「転職」「時短勤務」などで検索し、世の中の子持ち女性がオススメしてるエージェントに複数登録した。いくつか検索で名前が出てきたところを一気に登録した。

求人紹介の前に、30分ほど電話で現在の状況や希望についてヒアリングをするケースが多い。子供を見ながらの電話で構わないと言ってくれるところが多く助かった。いくつか実際に登録して使ってみた中で、私のおすすめは以下の3つ。

リアルミーキャリア 

レジュメ添削から案件紹介、応募、面接対策までとても丁寧に対応してもらった。LINEでのやりとりがメインで忙しくてもパパッと返信できて使いやすかった。

ミートキャリア

かなり早い段階で、ここのキャリアカウンセリングを受けた。自分がどのような方向性で転職活動を進めるのか、潜在的な希望や可能性も含めて客観的で具体的なアドバイスをもらえるので、頭の中が整理されてとてもよかった。ここは転職エージェントではないためか、担当者おすすめのワーママ用エージェントなども紹介してくれた。また、定期的にオンラインで無料参加できるイベントをやっており、社内の働き方改革や子持ちでの転職に成功した女性の方々の話を直接聞くことができて、モチベーションアップになった。

withwork

ミートキャリアの人におすすめされて登録した。積極的に案件を紹介してくれる感じではないが(私の場合時期的な理由もあったかも)、とても丁寧に、親身になって対応してくれる。こちらも基本LINEでのやりとり。


4. なつめぐさんの就職面談

先ほど出てきたドングリFMのパーソナリティである、なつめぐさん。元々人事をしていた経歴があり、番組内でも時々就活や面接の話題が出てくる。詳しくは超話題のこのnoteをご参照ください。

実は以前に裏ドングリのコミュニティ内で、なつめぐさんに就職相談をしている方がいて「いいなあ、私もお願いしたい!」と思っていた。思っていたところにイベントで実際に会うチャンスがやってきたので、思い切って就職面談をお願いしたところ、快く引き受けてくれた。しかも1週間以内に実現。仕事ができる人って本当こうゆう時スピードが早いんだなぁ。

ちなみにこの時のイベントで、なつめぐさんに転職の話をしていたところ、大手IT企業のすごい人(語彙力)を紹介され、その方の会社もリファラル採用で受けられることになった。なつめぐさんとのzoom面談では、事前に自分の状況とレジュメ、聞きたいことなどを共有しておいた。面談後、彼のスーパー人脈により、私が気になっているいくつかの会社に探りを入れたり、会社の人を紹介してくれたりして私の就活がスタートした。


5. エージェント、リファラル、直応募で面接スタート

この辺りからだんだんとコロナが世間で騒がれはじめてきたこともあり、ほとんどの面接がオンラインで進んだ。一社だけ会社での面接しかやっていないところもあったが、そこは基本社員みんな出社していた。こうゆうのって緊急事態にも柔軟な対応ができない会社なのかな?と受ける側にとってはマイナス要素になると感じた。この時期特有の判断基準だと思う。

中途採用の面接は、長いと1時間〜1時間半くらいになる。その間、0才息子はばぁばに来てもらうか、夫に頼んで仕事の合間に見てもらった。赤ちゃんというのはいつ大声で泣いたり奇声を発するかわからない生きものなので、面接の妨げにならないように別の部屋で遊んでてもらうか、外に散歩に連れ出してもらった。ちなみに小さい子供がいる人の場合、面接を入れられる時間帯は9:00-17:00くらいとなる。赤子はだいたい早起きなので、朝早い分には問題ないが、うちは夫が激務で夜型のため、9時スタートくらいじゃないと見ててもらえないという事情があった。


6. いい感じに面接が進んでたので、他の応募を控える

3月末〜4月。この辺りからどんどんコロナが深刻化してきた。志望度が高い企業の面接がいい感じで進んでいたので、エージェント経由の求人に新しく応募するのを控えることにした。前述の通り、面接となれば毎回子供を見ててもらう必要があり、激務の夫と呼吸器の持病を持つ母に来てもらう際の感染リスクを考えると、最小限の負担で済ませたいという思いもあった。

今考えるとあの頃の私の判断は甘かった。なぜなら最終結果はまだ出ていなかったのだから。

今なら言える。最後の結果が出るまで走り続けなければダメだ。もうほぼ決まりそうな会社があったとしても、そのことを封印しつつ「御社に入りたいです」アピールを全ての面接でこなさなければダメだ。いやダメだ、というのは強すぎるかもだけど、とにかく最後まで足を止めてはいけないということだ。


7. 最終面接がいい感じに終わった3週間後にお祈りメールを受信(ふりだしに戻る)

この通りのことが起こった。最終面接の時点で「入社後には〜」の話が多く出ていた点、面接の感触もよかった点などから、内定をほぼ確信した私は、安心してそして内心かなり期待して最終結果の連絡を待っていた。その間エージェントからの紹介案件は全スルー。(完全に調子のってたよ)

「結果連絡まで少々お時間いただきます」と言われてたものの、結果が来ないままGWに突入した。モヤモヤしながらどこにも行けない連休を過ごし、休み明けにこちらから連絡してみたところ、返信でまさかのお祈りメールが届いてしまった。だいたい就活において、企業側からの結果連絡が遅い時に良いことはあまりない。反対に良い結果の時はすぐに連絡が来ることが多い。よく言われるやつだけど、結婚と同じだ。プロポーズの返事を保留されていい結果になることがあるのだろうか(個人の意見です。保留したけどOKしたという例も世の中には沢山あります。)

珍しいことに、お祈りメールの後、不採用となった事情を電話で説明したいといわれ連絡がきた。大まかな理由は、コロナの影響による応募ポストの業務の縮小だった。ショックだがまあしょうがない、就活はタイミングだと実感した。これも結婚と一緒だ。こうして非常事態が続くなか、入籍直前で振られた私の転職活動はふりだしに戻った。


8. 求人が激減、エージェントの紹介求人は全応募モードへ

就活前半戦では、予想よりいい感じで就活が進んでいたこともあり、応募する際には本当にやりたいと思う仕事か、働きたいと思う職場かどうかをかなり吟味して慎重に決めていた。ところが状況は一転、エージェントからの紹介案件の数が目に見える形で激減した。しかもやっと出た求人に応募するも、書類が通らないことが増えてきた。コロナの影響で業績が悪化し、多くの企業が採用をストップし始めた。

私の場合もし転職ができなかったら、「子供が保育園を辞めさせられてしまうリスク」を背負っていた。どうゆうことかというと、保育園の申請はポイント制で、もし私の仕事がなくなった場合、両親フルタイム勤務の状態で応募した保育園申込時と比べてポイントが下がってしまう。つまり入園基準のポイントに足りなくなり、保育園やめてください通知が来てしまうのだ。待機児童があふれる保活激戦区に設けられた厳しいルールだ。ちなみに兄弟がいるとか双子とか夫が単身赴任とかシングル親家庭などの事情でポイント加算があるが、うちは「両親がフルタイム勤務」のみの完全に激戦ボーダーラインだった。ポイント制について詳しくはこちら。

同じ理由で、転職後も週5日働かなければ保育園を辞めさせられてしまう。「両親共働き、週5で」は崩せない条件だった。さらにもう一つ、「育休をとった会社に必ず復職する」というルールもある。なので私が目指すのは、一旦現職に復職、その後1ヶ月で転職しているという状態だ。(私の住む区では、職無し状態でも次の仕事まで最低3ヶ月は猶予がある。住んでる地域によって細かいルールが違うので、役所の情報を細かく確認し、わからない場合は必ず電話して聞いたほうがいい。)

とにかく働き口がない事態を一番避けたいので、希望条件も正社員にこだわらず契約社員や紹介派遣も可、希望年収も下げ「できそうな仕事だったらすぐ応募」モードになっていった。(悲しい)

9. 英語レジュメとか作り始める

今回外資系企業をあまり探してなかったのだけど、「自分ができること」重視で転職を考え、さらに「外資系はまだ採用活発なところもあるらしい」との噂を聞き、英語レジュメを作成した。結果いくつか応募したが面接まで進まず、あまり使用せず終わった。

この頃の私はかなり焦っていた。Uber Eatsのチャリを見るたびに、もしかしたら8月は私も週5で、、とリアルに思い始めていた。そして実際に登録ページもチェックしたりした。(今の状況で需要が増えてて配達員の採用めっちゃしてそうだからという理由だけで特に深い意味はないです)


10. なつめぐさんから「その後いかがですか!」の連絡、就活が一気に動き始める

とても焦っていたものの求人数は少なく、書類選考でも落ちたりしていた頃、ふとなつめぐさんから連絡が来た。

何気ないメールだったが、私にはその文字がきらめいて見えた。✨←これが散りばめられて見えた。

就活は今かなり厳しくて条件を下げて活動している状況などを伝え、最新版のレジュメを共有(というか勝手に送りつけた)。すると「しばしお待ちを」から周りの方に声かけてくださったらしく、翌日「いっぱい連絡がきた」と心踊る嬉しい返信が。さすがスーパー人脈。就活が思わぬタイミングで、一気にいい方向へ走り出した夜だった。


11. 面談で週のスケジュールがいっぱいに(ありがたや)

こんなにも世間では求人が減ってる中で、自分では出会えなかったステキ企業のステキ案件の話が、なつめぐさんの紹介で私のもとにやってきた。しかもカジュアル含めほとんどが「面談」からのスタート。自分にとってこんなにありがたい話あるのかな?て言うくらい一気にスケジュールが埋まっていった。役員や経営者の方を紹介されるケースも多く、面談でもスムーズに話が進んだ。


12. いくつかオファーをいただき(ありがたや)最後は運命を感じた会社に決定

面接が進んでく中で、この仕事面白そう!と思う会社がいくつか絞られてきた。さらにはその中から、いくつかオファーをいただくことができた。本当にありがたくて、毎日ありがたやありがたやと唱えていた。祖母の口癖だ。

一つ目の内定が出たとき、とにかく「ああ、これで息子が保育園辞めさせられなくて済む」とホッとして、心が軽くなった。授乳中でも時間を開ければOKルールの元、2年ぶりにビールを飲んだ。久しぶりすぎるアルコールは身体に染み渡り、最高においしかった。泣いた。

最終的にはオファーをいただいた中で、一番ワクワクして、自分に合ってそうな感じがした会社で働くことを決めた。


13. 8月からアルで働きます

というわけで、8月から漫画サービスを展開しているアルという会社で働きます。バックオフィスとアライアンス業務を担当する予定です。

ご存知の人も多いと思うのだけど、noteフォロワー数日本一のけんすうさんがやっている会社です。

以前私が日本語教師をしていた時には、日本の漫画やアニメがきっかけで熱心に日本語を勉強している学習者にたくさん出会い(しかも国籍もさまざま)、その文化的影響力の大きさをいろんな場面で実感してきた。これからアルの社員として、日本の漫画業界を盛り上げていく仕事ができるのをとても楽しみにしている。


14. まとめ

今回の就活では学びが多くあった。行動面で大事だなと思ったのは3つあって、いいと思ったものはやっておくのと、さまざまな出会いの方法を探ること、あとは最後までやりきることだ。

「いいと思ったものはやっておく」

自分紹介のページを作ったのも、裏ドングリに入って、就職面談を申し込んだのも「いいな」と思ったことを行動に移したことが、よい方向に動き、結果につながった気がしている。

「さまざまな出会いの方法を探る」

これまでの就活は、エージェントに登録して紹介してもらった求人に応募したり、教師募集の掲示板を見て書類を送ってみたり、転職サイトで見つけた会社のHPから応募してみたり、身近な友達に相談したり、そのくらいしかしたことがなかった。「今人を募集している企業」は、自分の想像以上に無数にあって、そこと自分が「出会ってマッチングする」ことがゴールなので、出会い方はたくさんあったほうがいい。私の場合、なつめぐさんというスーパー人材にその出会いを助けてもらえたことが幸いだった。ありがたや。

「最後までやりきる」

最後の最後まで何が起こるかわからないので、結果が出るまで、止まらずに走りきること。ほんとこれ大事。

冒頭の疑問、「0歳の子供がいる女性が、正社員で転職するのって可能なんだろうか?」私の答えはイエス、可能だった。就活前は、実際自分の周りにサンプルがなかったこともあり、インターネットで調べれば成功例は出てくるものの、かなり狭き門だと想像していた。けど考えてみたら、誰かの事例と自分がそうなれるかはあまり比べなくていい気がしている。へーこの会社、こんな条件でも働けるんだな、という参考程度に見るくらいでいい。

けど人はやはり自分の境遇と似た人がどうやってるのか?成功はしたのか?を知りたくてブログや体験談を検索する。もしこのnoteが、この大変な状況下でこれから就活を始める誰かの目にとまればうれしい。



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