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循環器リハ

ICUでの循環器リハってどうしていますか?

循環器リハって一言でいうと心臓病の患者さんが受けるリハビリテーションのことです。

リハビリがいいっていいますが、本当に心臓病の患者さんにも同じようにしていいのでしょうか??

実際には急性期の循環器疾患では心負荷の軽減を目的に安静も治療の一つとして行われることがあります。

しかし、過度の安静は筋萎縮をきたし、身体機能を低下させるため、急性心不全の急性期においても早期のリハビリ導入が重要といわれています。

IABPや血管作動薬を使用していても呼吸困難などの症状がなければ血行動態に注意して段階的にリハビリを実施されれることもあります(1)。

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しかし実際にはICUにおける循環器リハに関してはあまり大きな研究が今のところありません。

近年報告された2つの後方視的研究、1つの前後比較試験、1つの観察研究を紹介します。

369病院28万人の患者データを用いた後方視的研究では急性期の心不全患者においても早期の歩行訓練ができている患者で4日以上の長期入院が少なく(OR 0.35:95% CI 0.73-0.94)、30日再入院率が24%低かったようです(p < 0.0001)(2)。

本邦での単施設の後方視的研究では急性心不全患者で段階的なリハビリプログラムを導入してリハビリを強化した患者群で病院入院日数が短く(33日 vs. 51日, p < 0.01)、退院時のBarthel Indexが高く(64 vs. 49, p < 0.05)、自宅退院が増加し(71% vs. 52%, p < 0.05)、心不全関連の再入院も少なかったようです(16% vs. 36%, p < 0.05)(3)。

また心血管疾患を対象とした前後比較試験では早期リハビリ介入後の方が自宅退院する患者が増加し(83% vs. 78%, p < 0.007),病院死亡率も低かったようです(4.2% vs. 6.8%, p = 0.04)。早期リハビリによる転倒や点滴抜去などの生命にかかわらない有害事象も0.3%のみでした(4)。

本邦での単施設における190人の観察研究でも入院3日以内に離床を行った患者で再入院が少なく、新たな心血管イベントも少なかったようです(感度 76%、特異度69%)(5)。


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このように心疾患の患者においても積極的なリハビリを支持する研究がでてきています。

もちろん大前提として心不全患者においては心負荷を十分に考慮する必要があります。


もちろん無理のないように

でも筋萎縮をしっかりと防いで社会復帰を目指せるように


「筋萎縮ゼロプロジェクト」

全ての患者さんの筋萎縮予防を目指していきます。

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【参考文献】
1) Tsutsui H, Isobe M, Ito H, et al:JCS 2017/JHFS 2017 Guideline on Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure ― Digest Version ―. Circulation Journal advpub, 2019
2) Fleming LM, Zhao X, DeVore AD, et al:Early Ambulation Among Hospitalized Heart Failure Patients Is Associated With Reduced Length of Stay and 30-Day Readmissions. Circ Heart Fail 11:e004634, 2018
3) Kakutani N, Fukushima A, Kinugawa S, et al:Progressive Mobilization Program for Patients With Acute Heart Failure Reduces Hospital Stay and Improves Clinical Outcome. Circulation Reports advpub, 2019
4) Semsar-kazerooni K, Dima D, Valiquette J, et al:Early Mobilization in People with Acute Cardiovascular Disease. Canadian Journal of Cardiology
5) Kono Y, Izawa H, Aoyagi Y, et al:Predictive impact of early mobilization on rehospitalization for elderly Japanese heart failure patients. Heart Vessels 35:531-536, 2020


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