見出し画像

すべてが出会いと原体験 【週刊新陽 #3】

先日、ある先生に言われたこと。

「新陽では、すべてが『出会いと原体験』だと思うんですよ。」

新型コロナで行動が制限されると『出会いと原体験』が売りの新陽高校にはつらい状況が続くのではないか、という話をしていた時でした。

新陽では、特別な行事だけが体験の機会ではないと言うのです。日常の中、授業の中にたくさんの出会いと原体験がある。そしてむしろ、これまで通りにいかない状況下で新しいアイデアが生まれたり、外部講演やインターンシップなどの機会が増えていると。

さて、学校もいよいよ通常営業モード。出会いと原体験が盛りだくさんの1週間(4/15〜4/21)をレポートいたします!

憧れの先輩

これから紹介するのは、私が校長になることが公表されてすぐmessengerで「お話させてください」と一番にコンタクトしてきてくれた生徒です。

彼女は今年2年生。会ってみると、新陽に入って色々な分野に興味を持つようになったこと、1年の時は勉強を頑張っていたがもっと視野を広げたいので、多くの人の話を聞き様々な体験をしてみたいと思っていることを話してくれました。

どうやらそう思うようになったのは、この3月に卒業した生徒との出会いから。その先輩に憧れて自分の進路を広げつつある彼女が今度は憧れられる存在になっているらしい。SNSで投稿されていたそんな素敵なエピソードを、本人の了解を得て以下全文転載します。

先週のとある放課後、被服室で英作文を書いていたところに、先生が嬉しそうな顔を浮かべながら私に声をかけてくれた。
「あなたと話したい1年生がいるよ」
それを聞いて、すぐさま立ち上がった。被服室を出ると、初々しくて可愛らしい1年生がいた。本当に本当に可愛くて、なぜか照れてしまって目を合わせることが出来なかった。先生は「ついにあなたのファンが…」なんて嬉しそうに笑っていた。

会議室を開けてもらえることになり、1年生と2人きりになった私は「どこで私のことを知ってくれたの?」と尋ねた。そうすると1年生は「オンラインのオープンスクールで…」と、恥ずかしながらに答えてくれた。
私は昨年度の11月に行われたオープンスクールで、進学コースの紹介という名目でスピーチをさせていただいた。それを見てくれたらしく、親御さんに交渉して、「先輩に憧れて新陽に入学したんです!」と、目をきらきらさせながら熱心に伝えてくれた。遠方に住んでいるにも関わらず、私のようになりたい!という願望を掲げて寮に引っ越し、進学コースまでやって来てくれたらしい。その時点で、私はその行動力に心奪われてしまって、同時に後輩の期待を裏切るようなことはできないなとハードルを上げることになった。
先生に、「ついに人の人生を変えたね」と言ってもらえた。やっぱり嬉しかった。
出会って数日、昨日の放課後に一緒に勉強した時も、何度も何度も「先輩のおかげなんです」と熱く伝えてくれた。勉強はゼロからのスタートだけれど、それでも私のスピーチを聞いて「新陽なら出来るのかもしれない!」と思ってくれたことが嬉しい。
人生で早々できない経験をした。今もなお継続して嬉しい。自分の勉強で結果が出ることよりも、自分の行いが他人へ影響することの方がとてもやり甲斐を感じることも分かった。
私は足を止めてはならない。後輩の期待を裏切らないためにも。

新陽ならできるかもしれない、そう思わせてくれた彼女とそう思ってくれた新入生の期待に応えられるよう、全力で応援したい!と思っています。

なにかを始めるのに、大人になるまで待たなくていい

4月21日、20歳の環境活動家・露木志奈(つゆきしいな)さんが学校に来てくれました。「大学は待ってくれるけど、 気候変動は待ってくれない」と大学を休学し講演活動している志奈さん。中高生を中心に全国を飛び回り、伝えた相手は1万人を超えたそうです!

総合コース2年生が企画・運営し、探究コース1年生も参加した合同講演会では、環境問題についてのレクチャーと、ものの見方や考え方、生き方についてもお話してくださっていました。

画像4

世界を変えるのはスーパースターではなく私たち一人ひとりであること、むしろ小さな積み重ねでしか世界は変わらないこと、自分たちの日々の選択が世界を作っているから今日から動き出そう、という熱いメッセージが発せられました。

「何かを始めるのに大人になるまで待たなくていい」という名言(オリジナルはグリーンスクールのメラティ&イサベル・ワイゼン姉妹の言葉だそうです)は、まさに自分で行動を起こしている志奈さんの言葉として、生徒たちに届いたに違いありません。

ちなみにこの日の新陽はまるで環境Day。総合コース1年生では、ポプラライオンズ様のご協力のもとSDGsのボードゲームを使った授業が行われていました。

このワークショップでも、「SDGsは一人ひとりが意識して取り組んでいかなきゃいけないのかもしれない」といった感想が出ていて、地球の問題は自分たちの身近な問題であることを感じたようです。

私たちは微力だけど無力じゃない、生徒たちがそう感じるような体験を積み重ねていってくれるといいな、と思います。

画像5

すべての生徒の学ぶ権利を守るには

急激な感染拡大により大阪や東京では緊急事態宣言発令の可能性が高まっていますが、新陽では、昨年の経験を活かした「学びを止めない」創意工夫を凝らし生徒も教員も頑張っています。

例えば、分散登校とオンライン授業のハイブリッド型教育活動。

画像3

総合コース1年生は、最初の週は全員が登校。まずは高校生活に慣れること、そしてデジタルデバイスを学習ツールとして使えるようになることが目標です。とはいえクラス人数も多く全員が1教室に集まると密になってしまうので、2&3年生が1年生に教室を提供し自分たちはオンライン多めの1週間となりました。

2週目、いよいよ1年生も分散での登校が始まり、自宅からテレワークならぬテレスタディ(と言うかは知りませんが・笑)です。

画像6

初日となる月曜の朝のホームルームでは、テレビ会議システムのGoogle Meetに生徒がちゃんと参加できるか心配そうに待ち構える先生たち。副担任の先生も「入ってきた!」「〇〇さん、眠そうだけど間に合ったね」などと嬉しそうに画面を見守っていました。(ちなみに、デジタルネイティブとも呼ばれる世代の生徒たちはすぐにパソコンやアプリの使い方を習得していくので、戸惑っているのは最初だけ。)

画像3

他にも、感染症を知り予防への意識を高めようという呼びかけが集会の中であったり、

画像7

練習試合でどのように感染対策を徹底すべきか野球部で緊急ミーティングが行われたり、コロナという地球規模の課題は、学校では学びのきっかけにもなっています。

どの生徒にも学ぶ権利があって、それを保障するのが学校の役目。校長は、みんなが安全安心に学べる学校を目指して日々研鑽あるのみです!

【編集後記】
先週金曜日、終業時刻間近の職員室。年度が始まって最初の週はさすがにベテランの先生たちにもハードらしく、「今週は早かった〜。濃かった〜」とホッと一息の瞬間です。一方、若手は「あと2日位まだいける!」と。なんとも頼もしいですね。私自身はというと・・・1週間ってこんなに長かったっけ、というくらい走馬灯のように過ぎ去り、金曜の夜は爆睡しました。

画像3


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?