食べたいものがある

今日はあたしの誕生日。でも、きっと家族の誰も覚えてやしないと思う。
ま、この歳になってお誕生日お祝いなんてしてもらわなくても良いけど、晩ご飯にちょっとくらい美味しいものを用意してもバチは当たらない。
で、何が食べたいか、色々と思いを巡らせる。んんん。
晩ご飯はお鍋にして、デザートに白玉入りの小豆の餡にアイスクリーム、
・・・かな。

海外に長く住んでると日本のものがとても恋しくなる。
うん、小豆餡。そう思い始めたら、どうしても食べたくなって来た。
最近は日本の食料品店もできて、日本食も買いやすくなったから、小豆餡も出来合いのものが買える。・・・普段ならね。今はコロナのために生活に必要なお店以外は開けてはいけないことになっていて、日本食料品店の入ってる建物が閉鎖になってしまった。でも、他のアジア系食品店は開いていて、日本食も扱ってるから、小豆餡だって買える、ハズ。
と、軽い気持ちで先づは中華系食品店に行った。

建物の広さと外への解放度に合わせて中に入れる人数が制限されているので、買い物客が多い時間帯には店の外に並んで待つことになる。しかも、他の人達と2メートル離れていなければならないので、10人が待っていたとしたら、20メートルの列になる。あたしがそのお店に行った時には5〜6人くらいの列だったのであまり待つ事もなく入れた。鍋用の新鮮な野菜と小豆餡を求めて商品棚の間を行き来する。新鮮野菜は十分にあった。でも、どの棚も隅から隅まで探したけど小豆餡が見つからない。

仕方ないので、次は韓国食料品店に行く。
こちらはお店も小ぶりだけど、買い物客も多くはなくて待つ事もなく入れた。でも、どこを探しても小豆餡がない。お店の人に聞いても、「さぁ」と言う身振り。ここで諦めたら悔しいので小豆を買った。今日一晩水に浸けて、食べれるのは明日になるけど、お誕生日の密かなお祝いと言う口実は、消えて無くなるけど、そんなことはもうどうでもよくなっていた。
とにかく小豆餡が食べたい。それに白玉団子とアイスクリーム。

家に帰ってとりあえずは晩ご飯。片付け終わってそれから小豆を浸水した。
明日には美味しいデザートが食べられる筈だ。

翌日、水をしっかり含んだ小豆を火にかけて煮始める。
その間に白玉団子を作る。
そろそろお砂糖を投入しようと砂糖入れのツボを見たらほんの一握りのお砂糖しか残っていないじゃぁないか。多分、必要量の半分くらい。
とにかくあるだけのお砂糖を入れて小豆を混ぜる。お塩も少々。
味を見る。
ん〜。食べれないことはないけど、やっぱり圧倒的にお砂糖が足りない。
それでもせっかく作ったからと思って、小豆を白玉団子に乗せて食べる。
お砂糖の摂取は少ない方がいい、とは思うけど小豆餡はある程度甘い方がいい。

この時点で既に夕食の支度にかかる時間になっていて、買い物に行く時間は取れない。残念無念。

そして、そのまた翌日。
朝から買い物に出かける。目的はもちろんお砂糖。

朝のスーパーマーケットは買い物客も多い。
列に並んでるのは15人くらいだろうか。
でも、買い物を終えて出てくる人も継続的に居るのでそれほど待たされたと言う感覚はない。慣れてきた、と言う事もあるのかもしれないけれど。

お砂糖を買って急いで帰る。

前日と同じくらいの量のお砂糖を投入。
混ぜて味を見る。
やっぱりね、これっくらいは甘くないとせっかくの小豆餡、
そんなにしょっちゅう食べるものでもないんだから甘くしたい。

晩ご飯のデザート、までなんて待てない。
早速、小豆餡、白玉団子にアイスクリームを添えて食べる。
なんて言う幸せ。

海外に暮らしてると、食べたいものはなけりゃ作るしかない。
3日もかかったけど、とにかく食べたいものが食べれたんだから良しとしよう。
あぁ〜、幸せ。


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