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魂をこめる

理論的な事を伝えることは、教育としてはとても大切な事だと思う。
でもたまには精神論みたいなものを振りかざすときもある。

忙しい時に、若者アシスタントにカラー剤をマドラーで混ぜてもらう事がある。

その時に、自分は真面目な顔をしてこう伝える。

「魂をこめてね。」

そのように伝えると、何も考えずに混ぜるよりは1.5倍は良くかき混ぜてくれる気がする。

気持ちを込める、魂を込める、これはただの精神論だけではない。

よくかき混ぜることで物質への作用としての効果も確実にある。

アルカリ剤と過酸化水素を混ぜる時に、どれだけ酸素を含ませるかで、薬剤の作用を効率的に促す事ができる。


そして、基剤をよりクリーミーにする事で塗布のしやすさを得る事ができる。これも、効率性があがる。


あとは良くかき混ぜてもらうために、どんな言葉を放つかが重要だ。

「おい、混ぜとけ」

「とりあえず混ぜて」

「誰でもいいから混ぜて」

「混ぜたければ混ぜて」

など。

上にあげた例えは、なんと乱暴な物言いか。

こんな風に言われて、気持ち良く混ぜる人はいないだろう。その他の仕事に気を取られ、充分な薬剤のミキシングには至ることはないだろう。

そんな時、

「魂こめてね」

と一個人に目を見て伝えると、こちらの雰囲気は伝わるのだろうか。カップへと、視線は集中しマドラーをもつ腕の筋肉はひきしまる。マドラーを2本使いする者もいる。


ただ、この伝え方はアシスタント3年目くらいまでが有効だ。1、2年目の若者は気持ち良く「はい!」と返事をし、一生懸命に魂を込める。
だが4年目以上になると、込める魂は違う事に使いたいと思うようになるので、通用しなくなる。仕方がない。

でも、こういうのって、そういう気持ちを込めた事が他の接客や施術に反映されてくるとも思う。その魂という見えない何かを持ち合わせているかいないかで、お客様への気配りも変わるのではないかと考える。


昔、中学生の時だったかな、キングカズ(三浦知良氏)の著書、
「足に魂込めました」
を読んだ事を覚えている。

その頃この本以外、ちゃんとした読書をした経験がないから読んだことを良く覚えている。カズの自伝的な本だ。


そう、その通りである。

僕はこの本のタイトルの影響を受けているのは、言うまでもない。😏

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