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ヘアカラーを決める時の大切なこと。視覚と言葉。

note記事をみていただいている美容師のお客様Kさんが来店。

以前、接客中にKさんと話していたことを記事に書いていて、それを読んだというリアクションを今日されたのでなんだか小っ恥ずかしい気持ちになった。

でもいじって頂けるだけでもnoteやってて良かったと思える。

そして今日帰りがけに、また読みますからね、と言われれば今日のことも書かずにはいられまい。

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Kさん「川口さんはお客様にカラーチャート、見せますか?」

この質問は、なんだか懐かしい感じがした。懐かしく感じたのは美容師のかたに教えるアカデミーで質問されることであり、そのアカデミーで長らく教えていなかったので、美容師さんから直接質問をされるということ事態に久しぶりだったからだ。

お客様からカラーチャートをオーダーされると、もちろん「かしこまりました」とすぐに取りに行く。でもその時の気持ちはカラーチャートなんて見てもあんまり意味ないのにな、と思っているのが正直なところだ。

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その理由としては人毛でもない髪の毛にカラー剤の染料の情報だけがわずか5cm幅くらいの面積の人工毛に示してあるだけで、全くもって参考にならなければ、現実的に見えるわけでもない。

ただここで重要なのは、そのお客様が何をもとめてカラーチャートを見たいといったのか、そしてチャートを見た瞬間の色への反応を見る上では参考になるとポジティブに捉えることはできる。

でもあーだこーだ説明する上での、期待や理想が現実的なものより1、2歩先に行ってしまうし、専門的な説明を苦手とする一般の方にとっては混乱をまねくことになる。

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Kさんはいう。

「僕はチャートは使いたくなくて、言葉でできるだけ説明します。」

確かに顧客の方を接客をする上でほとんど自分もそうしている。お互いの信頼関係もあるし、なんとなくの好きなものも理解しているつもりだから。

でも例外もある。それは初めて接客する新規のお客様だ。

これまでカラーしたことのない髪質に対する懸念というよりは、対「ヒト」として認識の共有をしっかりとしたい時だ。どんなに経験を重ねてきたとはいえ髪の毛への経験を重ねていただけで、どのようなタイプのヒトに対しても心理を読めるほど自分は熟練はできていないし、100%人の心を読める人など存在しないのではないだろうか。


なので視覚を使う。

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目で見て、質問をして、言葉を聞き出す。

「この色、どんな風に見えますか?」「くすんで見えますか?」「赤っぽく見えますか?」「明るく感じますか?」「落ち着いて見えますか?」などなど。

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ヘアカタログでもよし、iPadでもよし、できるだけ髪の毛の色が実際の目で見たように見える写真を選び聞いていきます。この際に気をつけていることとしてはどんな答えがこようと否定しないこと。ただ心の中で「この方にはこういう風に見えているんだな」と認識し、それに対し共有する言葉を出していきます。

「この色とこの色だとどちらがアッシュに見えますか?」というように比較することで認識にずれのないことを確認できるものが視覚と言葉だと考えます。

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noteで修行の身としては、言葉を駆使し提案し、色を想像してもらえると修行の意味があるわけなのだが。落語家みたいに話芸でいろんなものを想像させる技術はまだまだ自分にはないわけで。そういう意味で自分はまだまだ前座さんといったところでしょうか。


話が脱線してしまい、何について話していたかを見失いました。


えっと〜、そうKさんの話だ。


カラーチャートだ。


もしこの記事を読んでいる一般の方は何を言っているかさっぱりわからないでしょうが、一つ言えることは

「カラーチャートを見せてください」は野暮なことだということを知っておいて欲しい。チャートの小さな世界で色を見るより、もう少し面積を広げたもので見た方が絶対にイメージを共有できると思う。


あ、でもそうやってイメージを共有したはずなのに、結果違う感じになってしまった、


それはカラーチャートうんぬんの問題ではなく、言葉足らず、説明足らず、力量たらずの美容師さんの問題なので悪しからず。別に自分ができる事を誇張したいのではなく、できない事はできないと言うし、でも可能な限り要望に応えたいと思う。


さ、落語でも聴きながら家に帰ろう。

Kさま、ご来店ありがとうございました。🙇🏻‍♂️

お疲れさまでした。

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