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カラーリストとして期待値を超える事。

美容師なので時には美容師らしい記事も書きます。見ていただく方の参考になればと思います。


ここ一年くらいカラーもパーマもされていなかったお客様、

今日は明るいオレンジにしつつ、パーマをかけたい。

しかもしっかりとしたパーマを。


髪の毛の状態は健康。ハリコシのある髪質だし、これはいけるかも。けしてのりで「いけるかも」と算段をしているわけではなく、いろんな状況を踏まえつつ「できる」と判断する。

「いけるかも」の「かも」にはやはり不安、心配というものがつきまとうからだ。明るくハイトーンにするためにはブリーチというパワフルな剤を使わなければいけない。それはパーマ液との相性は、仲良く手を繋げるほどいいわけでもなく、仲良くしてもらうための工夫を美容師側が考える必要がある。

さあ、カットがおわり自分の出番がやってきた。

あ、自分はカラーリストなのでカット以外の施術を担当するのです。

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やはり見るからに健康な髪の毛だ。

髪の毛はやや太めだけど、太さの割に軽く明るくなりやすそうだ。ブリーチのパワーの見立ては10のうち6くらいの設定。これを「減力」と呼ぶ。10の力を使うときはこれでもかというくらい明るくしたいとき。でも今回のゴールはオレンジなので「これでもか」は今回は必要ない

勢いあまり、ブリーチ後の状態を撮り忘れてしまうという失態。それほどに気合が入っていると自分を鼓舞する、というのは言い過ぎか。でもブリーチという何度やっても緊張感のある施術に自分が翻弄されているのは間違いない。カラーリストでありながらもこの緊張感はこれから先も続くのだろう。

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さてパーマの巻き上がりだ。

とにかくしっかりとかけたいとのことなので、太めのロットで毛先から根本まで巻き込むことに。このときはまだ薬剤をつけていない。

さあこれからが勝負だ。

パーマ液をつけて90秒で水洗をする。美容師でない方はなんのことやらと言った感じだろうが、1剤90秒というのはかなり短い時間なのだ。でもブリーチでダメージしているからこそできるプロセスがあるのだ。

プロセスの組み合わせをいくつ持っているかで、ダメージレスにイメージするヘアスタイルへ持っていくことが可能だと思う。このように極端な施術をする場合は特に必要だし、顔は平然を装いつつ頭の中はかなり考えている

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さあ90秒パーマは終わった。

それでこのかかり具合。いかがでしょう。しかもダメージは最小限に抑えられていると思われる。

そしていよいよ最終段階。

オンカラーだ。


今回のお客様はカラーが最優先とのこと。もしハイトーンオレンジにする上でパーマが難しいようであればパーマはかけないという選択肢もあったくらいだ。でもこの期待にはどうしても応えたいと思うのが美容師のサガというもの。

オートクチュール的にカラー剤をミックスする。

ダメージを抑えるアルカリ設定と、彩度を出すための色味の調整。オレンジにレッド、トーンを調整しつつ、隠し味のピンクを気持ち程度いれ、あとは魂をこめてかき混ぜる。


シャンプー後仕上げのドライになるが、ここではあまり見には行かない。どんな仕上がりになっているか最後のフィニッシングに見たいからだ。

スタイリストがスタイリング剤をつけ、完成間近で初めて近寄っていく。お客様の表情を見る。

笑顔だ。

ほっとする。

嬉しい。


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帰り際、こう言ってくれた。

「期待以上の仕上がりです!」

この言葉は最高に嬉しい。無理難題を投げられ、それを実現させるためにいろいろな計算をする。スタッフルームでナッツを食べながらも考える。そうしてお客様の喜ぶ顔を見れるというのが、美容師という仕事の醍醐味なのである。

今日は美味しいお酒が飲めそうだ。



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