ついに完結!とはいえ…『火狩りの王〈四〉 星ノ火』日向理恵子(著)
ついに神宮に到達した明楽、灯子、煌四。犬たちと共に、この世界の命運を懸けて神族との戦いが始まる。激闘の末に、灯子たちを待ち受けるものは一体何なのか。この世界を滅ぼすことも存続させることもできるという〈揺るる火〉が、最後に下した決断は?そして、果たして「火狩りの王」は生まれるのかーー。シリーズ怒涛の完結編。
やっと長い旅が終わった。皆、満身創痍(煌四だけピンピンしてるが)で、本当にご苦労さまでした、という気持ち。とはいえ、なんと後味の悪いことか。多すぎる犠牲だけでもしんどいのに、世界に希望が見えないのが辛い。
特に、クンの最後の行動。漫画版ナウシカ最終巻みたいに、うーんと唸ってしまう。火を捨てることで、古代文明の二の轍は踏まない、という意思表明なんだろうが、それで行けるヴィジョンが提示されていない。工場の汚染はましになるだろうけど、それだけ、という気がする。
神族達も、揺るる火と手揺姫から開放されたが、その後どうするのだろう? 水氏族は人間改造を続ける? その他は眠りにつく? それでも人間が狩る炎魔の火が要るわけだし、共存は必須だが、寄り添う姿勢は見せてない。ひばりは怪我を治す異能持ちなのに、みなボロボロのままというのがイラっとくる。治せよ! そして、緋名子が不憫過ぎる。水氏族は責任取れよ。和解は遠いな…。
めちゃくちゃ悶々とするよ…。こういうラスト、なんていうんだろう。ハッピーでもなくバッドでもなく…。まぁ皆心情的には、幸福とは言わずとも、霞が晴れたような気持ちではあるんだろうが…。
唯一手放しに「よかったね」といえるのは、揺るる火と手揺姫ぐらい。手揺姫は延命された姿が衝撃だっただけに、解放されて本当に良かった。正直、本書の救いはここだけだよ。
それにしても、この本、一応児童書だが、子供はどんな感想もつのかな。
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