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2020年2月の記事一覧

『宙に参る 1巻』肋骨凹介(著)

宇宙船が今で言うセスナ機ぐらい身近になった世界のお話。 機械やプログラミングに妙に長けている主婦・鵯(ひよどり)ソラは、病気で亡くなった夫の遺骨を義母に届けるため宇宙へと旅立った。 道中のお供は人工知能を搭載したロボットである息子の宙二郎(ちゅうじろう)。 長期渡航を目的として作られた巨大宇宙船、経由するコロニーやテラフォーミングされた星、いつか訪れそうな宇宙時代への期待が膨らむ、近未来サイエンス・フィクション。 最近稀有なハードSF漫画。なのにかなりゆるく笑える傑作。

『歌屑 伊藤悠初期短編集』伊藤悠(著)

荒廃した東京を走る列車を守り戦う少女たち。人を殺せない忍びの少年の悲しき戦い――etc。『新線西部軌道』、『黒白』、『黒突』、『影猫』、『影猫II』――伊藤悠が鮮烈な筆致で描く運命に抗い己を貫く者たちの生き様! 心揺さぶる傑作短編がついに初単行本化! 待望の短編集! 20年待ったよ…。 20年前の学生時代、面影丸に目もくらむ衝撃を受けて以来大ファン。 単行本化されてないウルトラジャンプの読み切りが読みたくて国会図書館に行こうか悩んだりもしたが、やっと単行本化された。 初

『天冥の標Ⅴ 羊と猿と百掬の銀河』小川一水(著)

西暦2349年、小惑星パラス。地下の野菜農場を営む40代の農夫タック・ヴァンディは、調子の悪い環境制御装置、星間生鮮食品チェーンの進出、そして反抗期を迎えた一人娘ザリーカの扱いに思い悩む日々だった。そんな日常は、地球から来た学者アニーとの出会いで微妙に変化していくが―。その6000万年前、地球から遠く離れた惑星の海底に繁茂する原始サンゴ虫の中で、ふと何かの自我が覚醒した―急展開のシリーズ第5巻。 ノルルスカイン(ダダー)回。 ノルルスカインの誕生や、悪霊(ミスチフ)とのな

『AKIRA』大友克洋(著)

漫画史に残る傑作SFコミックを原作者・大友克洋自ら監督を務めた劇場版アニメ。第三次世界大戦後の2019年。バイクで転倒負傷した鉄雄は軍の研究室へ連れ去られる。そこで“力”に覚醒した彼は、“アキラ”への接近を試みる。 映画版を見直し、続けて漫画も読み返す。お腹いっぱい胸いっぱい。 映画と漫画、どちらも神がかって素晴らしいが、ついつい比較してしまう。情報量という点では漫画が圧勝で、映画では間抜けにしか見えなかったミヤコが実はナンバーズだったり、アキラ君が普通に復活したりとかジ