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2020年1月の記事一覧

『ニューロマンサー』ウィリアム ギブスン(著)黒丸尚(訳)

ハイテクと汚濁の都、千葉シティの空の下、コンピュータ・ネットワークの織りなす電脳空間を飛翔できた頃に思いを馳せ、ケイスは空虚な日々を送っていた。今のケイスはコンピュータ・カウボーイ能力を奪われた飢えた狼。だがその能力再生を代償に、ヤバい仕事の話が舞いこんできた。依頼を受けたケイスは、電脳未来の暗黒面へと引きこまれていくが……華麗かつ電撃的文体を駆使して放つ衝撃のサイバーパンクSF! かっこよすぎて言葉が出ない。ハードボイルドでサイバーパンク。さらにAIモノとしても完璧。SF

『シン・ゴジラ』庵野秀明(総監督)

東京湾・羽田沖。突如、東京湾アクアトンネルが巨大な轟音とともに大量の浸水に巻き込まれ、崩落する原因不明の事故が発生した。謎の巨大不明生物は上陸。普段と何も変わらない生活を送っていた人々の前に突然現れ、次々と街を破壊し、止まること無く進んでいく。“ゴジラ”と名付けられたその巨大不明生物と、自衛隊との一大決戦の火蓋がついに切られた。果たして、人智を遥かに凌駕する完全生物・ゴジラに対し、人間に為す術はあるのか? やっと見た。世間の評判が高かったので期待したが、そこまで楽しめず。

『ペンギン・ハイウェイ』石田祐康(監督)

森見登美彦の日本SF大賞受賞作をアニメ化した青春ファンタジー。小学4年生のアオヤマ君は、日々世界について学んだことをノートに記録し研究している男の子。夏休みを翌月に控えたある日、アオヤマ君の住む郊外の街に、突如ペンギンが現れ…。 阿呆成分は残っているが、京都から卒業した森見登美彦の傑作SFファンタジー。森見作品とは思えない爽やかさに驚く。 お話は原作に準じており、それがかわいらしいキャラと音楽で小気味良く動く。逆に森見作品なのに外連味がなさ過ぎて違和感すら感じる。それに慣

『夜は短し歩けよ乙女』湯浅政明(監督)

『四畳半神話大系』のクリエイター陣が再集結した劇場版アニメ。クラブの後輩である“黒髪の乙女”に想いを寄せる“先輩”は、天真爛漫に京都の街を歩き続ける彼女を追い求めるうちに、不思議な出来事に巻き込まれていく。主演ボイスキャストは星野源。 濃密すぎる一作。起承転結がないので、見ていて疲れるが、怒涛の一夜の出来事なのでしょうがない。絵柄がポップでキュートなおかげで胸やけせずに楽しめた。 お話は荒唐無稽な京都が舞台。飲み比べしたり文化祭したりと、夢の中の出来事のように華やかで楽し

『夜明け告げるルーのうた』湯浅政明(監督)

寂れた漁港の町・日無町(ひなしちょう)に住む中学生の少年・カイは、クラスメイトの国夫と遊歩とバンドを組むことに。練習場所である人魚島に行くと、人魚の少女・ルーが3人の前に現れた。しかし、古来より日無町では、人魚は災いをもたらす存在。ふとしたことから、ルーと町の住人たちとの間に大きな溝が生まれてしまう。そして訪れる町の危機。カイは心からの叫びで町を救うことができるのだろうか…。 躍動感が素晴らしいの一言に尽きる。 かっちりしてない線が画面狭しと踊り狂うのに、音楽とはぴったり一

『りかさん』梨木果歩(著)

リカちゃんが欲しいと頼んだようこに、おばあちゃんから贈られたのは黒髪の市松人形で、名前がりか。こんなはずじゃ。確かに。だってこの人形、人と心を通わせる術を持っていたのだ。りかさんに導かれたようこが、古い人形たちの心を見つめ、かつての持ち主たちの思いに触れた時——。成長したようことその仲間たちの、愛と憎しみと「母性」をめぐる書下ろし「ミケルの庭」併録。 おばあちゃんにリカちゃん人形をねだると、市松人形のりかさんが届いた。取扱説明書とともに。失望しふて寝する主人公と、それを許し

『裏世界ピクニック3 ヤマノケハイ』宮澤伊織 (著)

季節は秋。DS研でコトリバコの呪いを辛くも退けた空魚と鳥子は裏世界探検の日々へと復帰する。お弁当と農機を持ち込んで異界の草原をのんびり走ったり、大学の後輩が持ち込んだ悩み事の解決に奔走したり、認知科学者・小桜の屋敷に入り浸ったり―そこには常に、怪異たちと閏間冴月の影もあって―そしてふたりを襲う、最大の脅威“ウルミルナ”とは?表に出せない感情同士が激突する女子たちのサバイバル、第3巻! 今回は表世界がメイン、というか前回からどんどん裏から表に侵略されていて、この世界どうなっち