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「生理の認識を変えるにはどうしたらいい?」春名風花さんと一緒に考える性教育の在り方 #NoBagForMe

#NoBagForMe では、生理への理解や関心を深めるために、さまざまな人に話を聞くことにしました。今回話を伺ったのは、“はるかぜちゃん”こと春名風花さんです。生理現象だから隠す必要なんてないのにと思う一方で、どこかで隠さないといけないという意識が働いていたというはるかぜちゃん。そこには社会的に生理をタブー視するがゆえに生じた大きな問題が潜んでいました。 

生理は学校で触れてはいけないテーマだった

―はるかぜちゃんは生理についてどういうふうに考えていますか?

「生理」という単語を当たり前のように発言することって、少し前まで避けられていたと思うんです。特に学校では。僕が中学生のときに「生理の日に運動するのは辛いよね」とツイートしたら、「生理なんて言わないで!」と同級生からメッセージが届いたことがあって。

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ー避けた方がいい話題というのものがあるんですね。

そうですね。政治、宗教、野球、生理みたいな(笑)。個人で考え方が違うので。

ーなるほど。

僕もそうした出来事があってから生理について発言することを控えていたのですが、最近は生理用品と一緒に写真を撮っても何も言われなくなっているので、少しずつ変わってるんだなと感じています。

—とはいえ、生理についてオープンに話すことについて避けたいと考える人もいますよね。

なかなか難しい問題ですよね。隠す、隠さない、どちらの意見があってもいいことなので。ただ、理想はそれぞれのスタンスについて何も思わないようになることだと思います。それが共存することなのかなって。

ーそれは今後の課題ですよね。実現のためには個人の意識はもちろん、社会の認識や性教育の在り方も変わる必要がある気がします。

社会は確実に変わっていくと思います。ただ、性教育の在り方が変わるのはまだまだ難しいのかなって。

ーというと?

僕が通っていた小学校では、「名字に“さん”を付けて呼び合いましょう!」みたいなルールがあったんですね。男女を平等に扱おうってことなんだと思うんですけど。でも、性教育は男女別。そうすると、それぞれがどういう授業を受けたのかわからないから、「異性に聞かれたくない話なんだ」という認識が身についてしまうと思うんです。しかも、変に隠すことで好奇心を掻き立てられるというか。僕も中学生の頃に生理用品を持ってトイレに行こうとしたら、男子が後ろをついてきて「(生理が)はじまったのかな」ってコソコソ話されたこともありましたし。

―そういう体験をしてしまうと、あまりオープンに話したくなくなりますよね。

すごく嫌なわけではなかったですけど、何かモヤモヤしました。雨の日が続いてじめじめする感じというか。生理現象だから隠す必要なんてないのに、ティッシュケースに入れたり、ハンカチで覆ったりして“隠さなきゃいけないもの”になってるのはなんか悲しいです。

―そうですね。

だからこそ、学校以外の場できちんと性教育が行われる必要があるのかなって。誰かから生理用品は恥ずかしいものと刷り込まれそうになったときに、「そんなことないよ」と否定してくれる人がいたら価値観は変えられると思うんですよ。例えば、性教育YouTuberのシオリーヌさんは、学校では教えてくれない性にまつわる話を発信してくれているんです。ピルの種類とか、コンドームの種類とか、生理用品の選び方とか。すごく勉強になるから、男性も見てほしいと思います。

女性間でも生理に対する認識は異なる

—それでいうと、生理に関する知識の差によって、男女はもちろん、女性同士でも不幸な出来事が起こる場合もありますよね。

それは僕も経験したことがあります。体育の先生が女性だったのですが、プールのときに休もうとすると「休むほど辛くないでしょ」という感じで追い詰められて。生理が軽いタイプだったのか、もしくは「私は生理でも仕事してるのに!」という意識もあったのかもしれません。

—生理の重い軽いについても教えてくれる場があったら、そうした不幸な経験も減るかもしれないですよね。今は「生理になる」ということが一括りにされている状況もあって、それが女性同士の不理解を生む原因になっている気もします。

実際、親と子でも生理の症状が全然違いますからね。僕は5日間くらいそこそこの量が出続けるんですけど、母は最初の2日間がすごく重くて。それこそ、手伝ってあげないとベッドから起き上がれないんです。その辛さは僕にはわかりません。でも、困っていたら助けたいと思うし、そういう気持ちで接すればいいのかなと思います。

ーご家族の間で生理について会話することは多いんですか?

母とはよくしますね。例えば、どちらかが生理中のときは「めちゃくちゃ強くあたるかもしれない」と事前に言っておくことで喧嘩を回避するようにしていて。そういうのってお互いにどんな状況かを理解しているかでかなり変わると思うんです。

—けっこうオープンに話しているんですね。

僕の家はいろんなことがすごくオープンなんです。恋愛についても話すし、夏はお風呂を上がってからしばらく服を着ないままだったりするし(笑)。僕が初めて生理になったときも「なんか血が出た」くらいの感じでした。

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―かなりあっさりしていたんですね。ちなみに、そのときはどうやって対応したんですか?

母が使っているものをもらいました。それから1年くらいは母がまとめ買いをしたもの利用していたんですけど、長時間用の大きくてかさばるタイプだったので使いづらくて。というのも、僕は化粧ポーチを持ってお手洗いに行く習慣がないんです。しかも学生服のポケットにはタオルハンカチを入れてたから、生理用品を入れる余裕もなくて。だから、自分で生理用品を買うようになってからは、コンパクトなものを使うようにしていました。

生理用品がトイレットペーパーと同列に扱われるようになれば

—12月3日に発売される #NoBagForMe のパッケージを決める投票には、はるかぜちゃんも参加していましたよね。今回決まったものはいかがですか?

人によってはひと目で生理用品だとわからないシンプルなデザインがいいという人もいると思うんですけど、僕は猫が好きなので、新しく発売されるパッケージは純粋に楽しみです。

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—そういってもらえると嬉しいです。

個包装の柄も品がよくて好きですね。これだったら鞄の中からポケットに入れるときにも気にならないと思います。僕、生理用品を購入するときにレジでふと真面目になる瞬間があって。絶対に必要なものだからこそ、「女性じゃなかったら必要ないのに」みたいな気持ちになるんです。だから、少しでも自分が好きと思えるものを使えたらいいなと思います。

—最近は少しずつですが、いろんなパッケージの商品が発売されるようになっていますしね。

同じ女性でも好みは人それぞれなので、商品のラインアップが増えることは素直に嬉しいです。これから先、いろんな生理用品がコンビニとかに陳列されるようになったら、少しずつ人々の認識は変わっていくんじゃないかなと思います。それに生理用品を買うことのハードルが下がれば、男性でも買いやすくなるんじゃないかなって。いつかトイレットペーパーを買うのと同列に扱われるようになればいいですよね。

(構成:村上広大 写真:松原貴子)


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