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教師が立ち入らざるを得ないトラブルのすっきり解決法

 クラスでは、子ども同士のトラブルというのが必ず起きます。
基本的には、そのようなトラブルが子ども同士で解決できるように育てていくのが教師の仕事の一つでもあります。

 今回は、そのような比較的軽微なトラブルではなく、教師が立ち入らざるを得ないような重いトラブルの解決法についてまとめていきます。具体的には、いじめであったり、金銭トラブルであったり、保護者同士のトラブルです。このような大きなトラブルは正直辛いものですが、これをすっきりと解決させることで子どもや保護者からの信頼を勝ち取ったり、子どもの成長に繋げたりできることも多いです。以下のような方には特に本記事を読んでいただければと思います。

・ 大きなトラブルの解決に悩んでいる方
・ まだ大きなトラブルに出会ったことのない方
・ トラブルをプラスに転じたい方

 結論から述べますが、大きなトラブルを解決するために必要なのは「必要十分な情報収集」「具体と抽象の往復」「ゴール思考」の3つです。それでは具体的なトラブルが起きたと仮定して解説していきます。

 放課後、あなたは保護者から児童間のトラブルについて相談を受けました。当然、あなたは次の日に子どもたちに聞き取りをすることになります。このときに大事になるのが「必要十分な情報収集」です。
 トラブルの大きさにもよりますが、聞き取りの基本は「1人ずつ」です。これは正確な情報を聞き出すためにとても大切になります。誰から聞くのが分かりやすいか、誰が一番正直に話すかという聞き取りの順番も意識するとよいでしょう。

 実際の聞き取りの場面では、「具体と抽象の往復」を意識します。この場合の具体とは、詳細な情報を聞き出すこと、抽象とは問題の本質を聞き出すことです。
 私はノートなどに絵や図で示しながら子どもの話を聞き取ります。そうすることで、一体何が中心になっているのかという問題の本質が見えてきやすいからです。問題の本質が浮かび上がってきたら、その具体を徹底的に聞き出します。

「いつそうなったの」
「どこで起きたの」
「このときあなたは何をしていたの。○○さんはどうだったの」
「どうしてそうなったの」
など、5W1Hを意識して具体的に聞き取ります。こうすることで、必要のない情報を排除することができます。

 この後、別の子どもから聞き取りをする際には、聞き取った情報の整合性や1人目から聞き取れなかった具体的な情報を集めていきます。
 これを繰り返すと先生方の頭の中には、トラブルの本質やそのときの具体的なイメージが出来上がってくるはずです。まだ疑問点が残る場合は、再度子どもたちから話を聞き、より具体的なイメージを作り出しましょう。子どもたちの話に齟齬がある場合は、この時点で明らかにしておくことが大切です。必要十分な情報収集が終われば先生の仕事は8割方終了です。

 最後は、ゴール思考です。落としどころをどこに持っていくかということを考えて、情報のすり合わせや、子ども同士の謝罪、保護者の召喚や連絡を行う必要があります。
 はっきり言いますが、若年の先生方はこの時点で学年主任や教務、管理職等に相談しましょう。それが最善です。若年ではなくても、話を通しておくことは絶対に必要です。それが自分を守ることにも繋がるからです。

 本題に戻りますが、落としどころが子ども同士の謝罪で済みそうな場合は、先ほど集めた情報を先生が説明し、事実確認をします。とはいっても、先生方は子どもから必要十分な聞き取りをしているはずなので、この時点で異議を唱える子どもはいないはずです。もしいた場合は聞き取りが十分ではなかったということです(反省しましょう)。
 事実確認が取れた後は、子どもたち一人一人に「どう思う?」と一言聞いてあげましょう。自分の行動をしっかりと反省するはずです。この後、「誰かに言いたいことがある人はいる?」と聞けば、子どもたち同士で問題の解決をしようと動き出すはずです。ここで大事なのは、全員がすっきりしているか、表情を見たり、個別に聞いたりして判断することです。すっきりしていない子がいる場合には、そのままにはせず最後まで向き合ってあげましょう。
 話の最後には、私なら子どもたち一人一人に「今日からはこんなふうに変わってほしい」という具体的な姿を伝えます。これがこのトラブルをプラスに転じるチャンスを生み出すからです。その日以降、子どもたちの変化を見とった時には「あのときから変わったね」と伝えてあげてください。それだけで子どもたちは過去の出来事と決別し、今後さらに大きく成長できるようになるからです。

 余談ですが、子ども同士や親同士を引き合わせるときには基本的に「勝てない戦」や、「読めない戦」をしてはいけません。あらかじめ「引き合わせるとこうなるだろうな」という想定が自分の中でできるまで、情報収集や裏工作を繰り返しましょう。

長くなりましたが、これが私自身が意識しているトラブル解決法です。私は現在教務として働いていますが、このような思考法で数多くのトラブルを解決してきました。この記事を読んでいただいた若い先生方の活躍を祈念し締め括りたいと思います。ご拝読ありがとうございました。

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