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眠れない夜に -猫の日スペシャル-

こんばんは、のです
今回は、久しぶりの"眠れない夜に"シリーズになります
こちらのシリーズは、これまでに4本投稿していて
今回は、去年の7月から7か月ぶりの続編になります

新作を1つ含めた10本の詞と、先日投稿した日記を1本収録しています
そして、本日2月22日は"猫の日"ということで
収録されている詞は、"猫"というワードが出てきたり、猫に纏わる詞で構成しています

眠れない夜のお供になれたらうれしいです^ ^
ゆっくりお楽しみください!





ただいま


晩夏の道に麦が笑う
帰り際に会釈する
狗尾草エノコログサ摘んで、
いつも手に振る私たちみたいな人と

半透明の月としたたる夕景
祠の傍で変わらず眠る猫
同じ街、何れの光景
途端、俄雨 若い雨


一夏の終焉と しずかな気楽と
そよいだのは 馴染みの声
繰り返す“ただいま”

どこか憂いの漂う外と 翌月へと継ぐ淡い波長
呟く 暮らしの音
鳴らした“ただいま”


タ凪の様に心を撫でた懐かしさ
春を急いで夏も急いだ空は
また疾風はやてのごとく
駆け抜けて
伝えたりない言葉の欠片も海の渦へ
戻りゆく


一夏の終焉と しずかな気楽と
そよいだのは 馴染みの声
繰り返す“ただいま”

どこか憂いの漂う外と 翌月へと継ぐ淡い波長
呟く 暮らしの音
鳴らした“ただいま”


晩夏の後の影たちよ どうかまた巡る日まで
道で摘んでいつも手に振る私たちみたいな人と

水面に映る夜と街 心内までとも
囁く 虫の羽音
しばらくの“さらば”

繰り返す“ただいま”

猫と無題


夜の片鱗から目を開けて
昨夜の言葉の糸が舞った
夢に見た或る土地を見た
いつもの朝にさ人が待つ
朝の周りに嘘が散って、
私の口から花弁に似た、
儚い想像、空想の話だけ
空想の話を音符に込めて


そこに花瓶があるだけで
す。花瓶があるだけです
。花瓶があるだけです。

外に出たのは何れの猫だ
けです。何れの猫だけで
す。何れの猫だけです。


例えばあの鉄塔にニャア
ニャア鳴いてるの、夕暮
れにはピカピカするから
ね、優しい光だね。私は
窓から家屋をながめてい
る。いつまでもご飯の匂
いがそこに上っている。


そこに花瓶があるだけで
す。花瓶があるだけです
。花瓶があるだけです。

外に出たのは何れの猫だ
けです。何れの猫だけで
す。何れの猫だけです。


時計がぐるぐる回ってる
。ぐるぐる回ってる。ぐ
るぐるぐる回っている。

私は何を急いでいる。何
を急いでいる。何を急い
でいる。或る猫と無題、


山並みが欠伸した猫の背みたいにうねるから
この際、何でもないこと 諦めてしまおうか

人波にとけこむ 肯定的な
そういう気楽が 膨らんでいけば

なんて思ったのです 後を濁さぬ鳥みたいな
その誠実さを 見習いたくては

ガラ空きになった その隣に
代わるものは よく分からなくて


戻ってくる 返ってくる 
その距離感から外れてしまえば

季節だって、風景だって、
造花みたいだって

戻ってくる 返ってくる
その距離感から外れてしまえば

自分だって、他人だって、
あの頃の画質の侭

主観のない波際を漂ってしまうだけだって
なんとなく春の花を買ってみたの

右往左往に酔いそうな街で
花弁揺らして 眠ってしまうの

寝ぐせ


疲れていると思うから疲れてしまうのかな
なんてつぎつぎ思ったら
さらに疲れてしまったの

息をする度、
もどかしさは延々に浮き上がっては、

道を下る度、
それを掻き消す颯爽感に身を預けて、


僕は今日も鳥の巣みたいな寝ぐせをして、
あちこちに酔って、

寝ぐせが解けた頃に、
周りのすべてを振り返りたくなって、

ぐるぐると渦と言わんばかりに
こんがらがったら、

それが今度は、心の寝ぐせになりそうです。
心の寝ぐせになりそうです。

毎日が斜面みたいに見えるという先入観
言葉はいつも猫の唸り声みたいに鳴り響いて、

夕方の景色がみねみたいに積っていったら
弾けたもので
でも弾けただけで、すぐに夜が来ます、来ます。

スズメは雑ざる空の色合いに、
口笛を吹く様にさえずりを一つ
深緑に帰っていく

イマジナリー


靴も無く どこか行きたそう
猫の気持ちで見上げた朝は
優しい心 優しい命を込めた
ちいさな夜月、夜月

自分の外でそよぐ言葉の最先端
目指して歩く 閑静な街
君のこともわすれていないよ
きっと遠くどこかで見ていて

目覚めはいい 何も怖くない
服を重ね着したら 暖かい
水色の空 何も浮かばない
それは何だか自然体

“どうか今日も晴れていますよう”
羽ばたく鳥の空に祈る
鬱蒼とした夜を超えたら
どんな自分もすきでいれるよう

自分の外でそよぐ言葉の最先端
目指して歩く
ひとりでもぼっちでも軽い気持ちで歩く

君のこともわすれていないよ
この街を時々思い出して
そこで見ていて

二尺玉


想像上でも 海と空の合間に
二尺ほどの花が咲いたら この距離感に変わりはあるかな

本音も浅瀬で水沫すいまつになるから
温度も空気もほぐれない侭だな


夏というのは一つの国で
青はいつでも豊作で、

あちらこちらに実っているはずなのに
僕はいまだにそれに気付けないでいる。


向日葵畑と同じ背丈か
それ以上になっても、

口から発した言葉はいつも
羽根を持たずして散ってしまうから



日影に座る猫の目になって
そこから伸びる空のすべてに

言葉の片がむれをなして
今も泳いでいるのかと


思っているのかもしれないです。
笑い話になれる日を

待っているのかもしれないです。
待っているのかもしれないです。

猫を見る


河川敷で猫を見ていた
少々の憂鬱が頭の上で雲みたいに浮いているけど

河川敷で猫を見ていた
喉を鳴らしてどこかへ行きたそう


画面を開けば目の奥まで物事の翳りが
沁み付いてしまうくらい 暗闇は多くてさ

それもわすれて
ちょっと寛ぐ時があってもいいからさ


自分の些細な日々の描写は題も付かずに
線画の記憶になるうるかもしれない

これから先 その記憶の輪郭を
思い起こすことがあるのかないのかも
どちらでも

今、河川敷で猫を見ていた
気にしないで空を仰ぐ猫を見ていた
猫を見ていた

魚の斜陽


無限に耽る、寡黙な椅子で
カレンダーに記録を付ける
雨と永遠のノイズが先走る明日
軽やかに立ち竦む扉の夢の前


斜陽は高鳴って

消えそう魚になって

斜陽はただ待って消え

そう魚になって


柔らかな窓辺にまどろむ月の歌
カレンダーに既読を付ける
雨と宵闇のダンスが駆け抜ける明日
軽やかに待ち望む扉の夢の夢の前


斜陽は高鳴って

消えそう魚になって

斜陽は漂って消え

そう魚になって


どこにも行かない、ちいさな機械の中で
大きな繁茂の中で違ってもいい
どこにも行かない、ちいさな機械の街で
大きな繁茂の街で違ってもいい


斜陽を弾き語り

歌い、そっと曲がり角

白い毛並みの猫と

目が合うようで


斜陽は高鳴って

消えそう魚になって

斜陽はただ待って消え

そう魚になって

ご飯が出来るまで


泳ぎ疲れた街並に
考えちゃうと止まらないもの
君の話は変わらずに
言葉の形を柔らかくする

馬鹿なことを考えちゃうと
笑っちゃうもの
午後は下り、近所を駆けめぐる
ご飯が出来るまで

雲を針に見立てると
日々はすぐに割れるよう
水槽越しに見てみると
魚がまるでこの世界

夜が近づくのなら確かめてみよう
そしたら出来たご飯を食べよう


ずっと遠くで何かが何かになるまで
僕は僕の周りを歩いているだけ
屋根の上のカラスの感情になってみたいです

ずっと耳と耳をそばだてるまで
僕は僕の周りを話しているだけ
屋根の上のカラスの羽根を追ってみたいです


雲を針に見立てると
日々はすぐに割れるよう
水槽越しに見てみると
魚がまるでこの世界

夜が色付くのなら確かめてみよう
そしたら出来たご飯を皿に
盛り付けたなら忘れかけたことを
机の隅から引っ張りだそう

彗星


言葉に欹てる耳がすらりページを現在に
言いたいことだって沢山あるから
石が捩じれた言葉のように佇む頃に
言わないようにしていたこともあるなら

彗星降る夜の大地でまた会いましょう
彗星降る夜の地でまた会いましょう


陽射しを避けて影を踏み歩く
一握のいかずちにハッと顔を向けた日のことも
躍る夜に移る思い出

言いたいことだけ持ち寄って
路地のさざめく夢の轍を追って
大地に抜け出せば


彗星降る夜の大地でまた会いましょう
彗星降る夜の地でまた会いましょう
次の星を見つければ
見えない花も笑うでしょう

彗星降る夜の大地でまた会いましょう
彗星降る夜の地でまた会いましょう
見えない花を描き写したら
知らない朝を知るでしょう



[日記]ナイトフィッシングイズグッド


サカナクションに「ナイトフィッシングイズグッド」という楽曲がある。

タイトル通り、“夜釣り”がテーマの曲になっていて、MVでは、サカナクションのボーカルの山口一郎さんが、橋の欄干で歌いながら釣りをしている映像が収録されている。
(途中でおじさんに話しかけられる演出があり、それも面白い)

ボーカルの山口さんは大の釣り好きで、サカナクションには釣りをテーマにした曲がいくつかある。
この曲もその中の一つで、歌詞からは魚や釣りへの愛が伝わってくる。

今回は、ナイトフィッシングイズグッドを歌詞と共に個人的な解釈を交えながら紹介していこうと思う



夢のような世界があるのなら 僕も変われるかな
アスファルトに立つ僕と月の間には何もないって知った


このような歌詞から、Aメロがスタートする。
個人的な解釈として、この歌詞は、この曲における主人公が、夜釣りをしながら頭で考えている独り言のような感情を歌っているのではないかと思った

サカナクションは夜をテーマにした曲が多く、そこには、夜の中での不安や悲しみのような感情を歌詞に起こしている物もあるので、
そうした夜の静けさの中で浮かび上がる感情を、この歌詞に込めているのではないかと考えた

去年と同じ服を着ていたら 去年と同じ僕が居た


この歌詞は自分の中で印象に残っている
凄い歌詞だと思う

“年が明けても変わらず同じ服を着て過ごしている自分もまた、去年と変わらないまま” といった解釈を思い浮かべるが、その変わらない自分に安心しているのか、焦りを感じているのか等、その後の解釈も色々と想像できる歌詞だと思った

何もない夜に何かあるような気がして 
君に電話してしまうんだいつも


ここも先ほどのように、夜の静けさの中の感情を歌っていると感じた。
特に“何かあるような気がして” というのは、不安を歌詞に起こしているのではないかと思った。

自分はこの歌詞にかなり共感する
静かな夜に布団にもぐって寝ようとすると、昔のことや今のこと、これからのこと等、色々な思い出が浮かんできては頭の中で交差して、この歌詞のように何かが起こるような気がして、心配になることがあるからだ

そしてその度に、YouTubeで動画を見たり、誰かと話をしたりすることで、少しでも不安な気持ちが吹き飛べばいいと思ったりするので、この歌詞に自分は救われている。

その後に、“君に電話してしまうんだ“ という歌詞が続くが、
この曲が発表されたのは2008年で、携帯電話を持っている人が多い当時の時代背景から
この「電話」というのは、スマホではなく、携帯電話からかけていると個人的にイメージしている。

ゆらゆら揺れる水面の月 忍ぶ足音 気配がした


ここからは、夜釣りをする主人公に魚が引っかかる様子を実況するような歌詞へと変化する
その歌詞の変化と重なるように、曲のメロディも一気に変化していき
それまでバンド要素の強かったサウンドが、ここからは打ち込み的なサウンドに変わり、
曲調もアップテンポになっていく

このメロディの変化は、魚がかかったことにより喜ぶ主人公の高鳴りを表していて、
魚を捕まえるまでの冒険を、歌詞と音を通し、曲を聴く人へと物語のように届けていると感じた。

目を細む鳥のように今 川底舐めるように見る
かの糸たぐり寄せてしなる 跳ねる水の音がした


サカナクションを聴いていると、作詞をする山口さんの言葉の引き出しの多さをとても感じる。

魚を追う様子を物語のように歌詞に書き起こし、釣り上げるその瞬間までの緊迫感を、音楽を通し共有する。

“ナイトフィッシングイズグッド”という曲全体が、夜釣りの様子をさまざまな視点から切り取り描いていく、実況のような構成になっていると個人的に考えた。

ラララ きっと僕が踊り暮れる
夜の闇に隠れひそむ
ラララ ずっと僕が待ち焦がれる
恋のような素晴らしさよ


この曲の大サビに当たる歌詞になる
この部分は、山口さんの他にバンドメンバーもコーラスで歌っている。
曲の盛り上がりがここで頂点に達することから、魚が水面から跳ね上がる光景が浮かんでくる。

この大サビの後に いつかさよなら僕は夜に帰るわ… と、この曲のはじまりのパートと同じパートが繰り返されるのだが、曲調がアップテンポに変わることで、歌詞の捉え方にも変化を感じる。
魚を釣り上げたことで、主人公の視界が一気に開け、まるで新鮮な風が吹いてくるような、そうしたイメージが浮かんできた



ナイトフィッシングイズグッドの実況的な曲の構成をはじめ、サカナクションの音楽への試みには実験的な要素が多い、

6.1サラウンド等の音響へのこだわり

MVやライブを通しての映像・演出等への実験的かつ体験的な試み

コロナ渦で有観客ライブの中止が決定した中、無観客だからこそ、オンラインだからこそ出来る表現を突き詰めた“光ONLINE”、“アダプトONLINE” など

挑戦を繰り返す姿勢は、2008年当時も現在も変わっていない
常に視点にアップデートにアップデートを積み重ねていく物凄いバンドだ


閲覧ありがとうございます!

noteでは、"眠れない夜に"シリーズの他にも、オススメの曲を紹介するシリーズなど色々な投稿をしています
これからもこうした企画を続けていこうと思っていますので、よろしくお願いします^ ^

猫可愛いですよね^ ^
昔、母方の実家で猫を飼っていたので、猫と聞くとそのことを思い出します
機会があれば猫カフェなどに行ってみたいですね


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