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冷蔵庫の中に眠る食材たちの自由な即興演奏

余り物で作った料理は、なぜか美味しいものです。
冷蔵庫に眠っていた牛の切り落とし、しらたき、豆腐に刻んだねぎを入れ、酒とみりんと白だしと砂糖と醤油で味付けして煮込んだだけの簡単な一品ですが、
それが何故か絶妙なハーモニーを奏でています。
まるでジャズの即興演奏のように、予定されていなかった食材たちが自由にセッションを楽しんでいるかのようです。

私はこの料理を食べながら、ふと思いました。
人生もまた、余り物で作る料理のようなものなのではないかと。
私たちは予め決められたレシピに従って生きるわけではありません。
出会った人や経験したことや感じたことを、自分なりに味付けして煮込んでいくのです。
その過程で、時には失敗したり、時には驚きや喜びを味わったりします。
でも、それが人生の味わいを豊かにするのだと思います。

余り物で作った料理は、美味しいだけではありません。
それは私たちの生き方にも通じる何かを教えてくれるのです。
私はそう感じて、ひとりで静かに笑みを浮かべました。


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