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ミニマム君の話|マガジン♯127


自分に対して、無駄な生き方をしているなぁと感じることが多い。それと同時に、人生に無駄なことは一つもないなぁとも感じる。

今日はそんな話を書こうと思う。

あれはクラブハウスの深夜のピロートーク。私の部屋では22時から2時の配信の後、まだ話したい人はピロートークというタイトルで部屋を立ち上げて雑談をしている。

そのピロートーク部屋で「老舗の店に招待する」とプロフに書いている男を発見して、私はいつもの営業口調で「やーん💕めっっっっっっちゃ行きたいー💕」と言ったのだ。マウントを取れば(笑)老舗の店なんて腐るほど会食で行くので興味はない。私が好きな食べ物はクラブハウスをしながら食べるファミマの鰹節ニンニクなのだ。

しかしながら、どうやら冗談が通じなかった男。DMで「側近で空いてる日を送ってこい」というではないか。

まじか。行かなきゃなのかw

…断ろう。面接入ったとか言おう。原稿が遅れてるとか言おう。断る理由になる仕事は山ほどある。

もう、お断りのメールを送ろう、と断る気満々だったのだが、いや待てよと。クラブハウスのチームみんてぃあ連中を連れて行ったら楽しいんじゃね?と考えがよぎった。相手は2人きりがいいと申すが、ここは営業の腕の見せ所だ。

↓以下営業のやりとり

私「3人だと嫌かな?」

男「3人ならいいよ」

私「4人は?」

男「4人も、まぁいいよ」

私「じゃあ、5人」

まぁ、最終的に8人くらい連れていくか

とLINEをスルー。

するとその昼、老舗の彼がクラブハウスにやってきたではないか。おいおい、めんどくせーな。ラインで済むだろうが。そう思いつつも見守っていると、彼はスピーカーを外し、こう聞いてきた。

「ミニマムは?」

みにまむ?

み、ミニマム?え?どういうこと?wミニオンのこと?ユニバーサルの?黄色いやつ?なんか毛が生えてるやつ?メガネの?ミニオン?

はっきり言って何を言っているのかわからない。

おすすめの香水を聞かれた際に「ペンハリガンポートレート」と答えた時の相手はいつもこんな気持ちなんだなとも思った。気をつけよう。

「み、ミニマムってどう言う意味?」と隣で座っていたスタッフに聞くと「最低人数って意味だよ」と教えてくれた。

あぁ、なるほどね。最低人数ね。「5人だよ」と答えると、通称ミニマム君は「よろしくー」とだけ言って去り、部屋が一瞬静まり返った。

私は声を大にして言った。

「わっかんねーよ!wwwwwwww普通に最低人数何人か言えよ!カス!知らねーよ!頭悪いんか!中学生でもわかる言葉で言えや!wwww」

そこからは10分くらい私の愚痴タイムである。

頭が悪い奴は知らない単語を乱用するだの、あいつは昔いじめられてたんだとか、コンプレックスの塊だとか言いたい放題悪口を言った。録音しないクラブハウス万歳である。

怒った私は仲間に愚痴り続ける。

私が怒るほど仲間はふざけ続ける。

最終的に「皆で老舗へニートのフリをしていこう」という企画になった。

1人はホームレス、1人は音楽だけ追いかけてるニート、1人はパチンカスニート、1人は普通のおっちゃんで、私は普通に代理店のオーナーw

ミニマム君以外全員会ったことあるのだが、皆さん異様に芸が細かく、わざわざ小さい財布から折り畳んだ千円を出したりしてホームレスになりきっていた。

一方ミニマム君は終始インテリぶった発言を繰り返し、喘ぎ声選手権に関しても「周りの女が止めるからさ〜」などとほざいている。

ちなみに料理はめちゃくちゃ美味かった。釜飯も日本酒も最高に美味かった。あれで4500円なんて破格すぎるwその件については感謝します。ミニマム君ありがとう。

さて、そんな楽しい時間も過ぎ去り、お会計の時間になった。

狙っていたのかのように、ニートたちはお金を出すのを拒む。「PayPayになら…359円あった!」とか「500円があったのは確認している」とか「今日の給料は全部パチンコで溶かしちゃった…」とかずーーーっとごねていた。数えてないが20分はごねていた。

ごねている私たちを見て、ミニマム君は「男見せろよ!」とか「ここで皿でも洗えよ」と苛立ちを見せている。

その度、プライドゼロな私たちは「お、男見せろよって…照」と興奮したり「えっ!?就職決まったの!?やったな!老舗で働けっぞ!」と大喜びしたりしていた。

そして「だけどこいつ、いいやつなんすよ!」「こいつ優しい奴なんすよ!」とニート同士を称えてミニマム君に友人紹介をしていた。

最終的にはごねつつも支払いを終え、最後でみんなで浅草の雷門の前で写真を撮って解散した。

以上、最近の話である。

このミニマム事件をきっかけに、私の考えは色々変わった。まず、貧乏でも仲間がいることが一番だなと思ったし、貧乏でも死ぬほど笑えるなら良い人生だとも思えた。

ここ6年間、オーナーになって2年目…それはそれは数字を追いかけ続ける毎日で楽しいと言えば楽しいのだが、涙が出るほど笑えてはないのだ。

例えば「100万円を毎月稼ぐ」目標で仕事をして達成する。次に150万円を目指す。達成。200万…と一生満足できない人生なのである。

仕事に関しては全てそうで、「今日は100点満点の日だった」と思えた日は1日もない。よくて65点。悪くて1点くらい。

こんな生活は心底では笑えていないのである。

だが、あの浅草の晩は楽しかった。ニートを連れてきているのだから、美味い美味いと飯も食えるし、ぶっちゃけ老舗もスウェットで行っても問題ない。

いつもの会食なら「美味しいです」と言うことさえも抵抗があり、「今、このレベルの飯で美味しいとか言ったら、事務所は儲かっていないと思うんじゃないだろうか…」と相手の裏の裏まで読もうとする飯である。全く美味しくない。

藤沢数希所長が「田舎のヤンキーには絶対に負ける。深夜にTSUTAYAに行って温泉に行って遊んでるカップル最強」と言っていたが、まさにそうである。

時間もあって幸福度も高い人たちに、金を積んだところで惨敗なのである。ミシュラン五つ星ホテルに泊まったところで、死ぬほど笑えてなかったら負けである。

そんなことを考えているうちに、自分が持っているブランド品も叙々苑の肉もどうでもよくなった。一体何のために食ったり買ったりしているか意味不明である。これ食って、これ買って笑えたか?って話である。

無駄な買い物をしすぎたが、遠回りでも気付けたので無駄ではなかったなと思う。

とは言っても、またストレスが溜まったら買い物をしそうだが、その時は一旦サウナに入って3秒ルールとか言いながらスタッフのパンツでも下ろそうと思う。(前々回の喘ぎ声選手権で男優賞を取った人が、うちのスタッフのパンツを3秒ルールとか言いながら下ろした)

きっとこの記事を読んでも、バーキンが必要だと思ってる人や、ミシュランホテルに行くことがステータスだと思っている人が多いに違いない。そんな人は、一度クラブハウスの喘ぎ声選手権で喘ぐのが良い。

喘ぎ声選手権で貴方の人生を変える自信は、こちらにもある。




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