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あなたも生きてた日の日記㊽ 休む、をやる


年末に、身体を壊した。
公演が終わってから休むつもりでいたのだけれど、残務をできるだけ年内に終わらせようと欲張った瞬間、どえらい感じになった。

こういう時の症状は(友人たちに聞く限り)人によって色々あるらしい。風邪として症状が出るならわかりやすいのだけど、だるくて起き上がれないとか、常に頭痛がして治らないとか、耳鳴りが止まらないとか、「まだ何とかなるんじゃないか」と「ああもう絶対むりだ」の間をうろうろするような場合もある。
私の場合は、「食道が痛すぎる」だった。物を食べると違和感がある。アルコールなんてもってのほかだ。そういうわけで年末年始は予定をすべてキャンセルした。
寝ながら「なんでこんなことに…」と独り言が口から出た瞬間、ぞっとした。以前にも同じような状態になったことはあった。しかし、その時にはあったはずの前兆が、今回は全くなかったのだ。

ひとつ心当たりがあった。アドレナリンだ。

これは展覧会や公演などをされている制作者の方々に聞きたいのだけれど、大きなイベントに向かって作っている間って、疲れを感じにくくないだろうか?こういう時は、おそらくアドレナリン的な「やる気」がむちゃくちゃに出てしまっているのではないかと思う。
そして、薄々感じていたのだけど、その傾向は年々強くなっている気がするのだ。
最近の公演期間中は、本当はくたくたなはずなのに、2~3時間睡眠でも全然動けてしまう。おまけに寝ている間もずっと脳が動いていて「ああ、明日のあのシーンをこの方向性に決めよう」とか「あそこの変更、〇〇さんに伝えるの忘れてるから言おう」とか考えている。
日中の作業でも、「これが終わったらご飯を食べよう」→終わらない→食べ逃す、のように身体を絶対的に置いてけぼりにする形になってしまう。

怖いのは、創作中はそれでも回ってしまうということなのだ。
だからすべてが終わった後に、そのツケがどーんとやってくる。個人的に展示や公演の機会に恵まれた昨年は、その影響が溜まりに溜まって年末に噴出したようだった。

…という話を友人にすると、驚いたことに、年末年始に体調を崩していた人が思った以上に多かった。

何でだろうね、どうしてだろうと話していると、一人が言った。

「コロナじゃない?」

確かに、と膝を打つ。
思えば、コロナ禍以降、色々なことを制限されてきた私たちは、そろそろ動かなきゃいけないという社会の波に、気づかないうちにもまれてきたのではないだろうか。
イベントや、公演事業もそのひとつだと思う。会社に勤めて働いている人も、きっとそうなのだと思う。
コロナ禍で十分休んだ、と思っていた我々は、また働き始めて、突っ走って、そろそろスタミナが切れる頃なのかもしれない。

新年の目標を発表し合う会をオンラインで開いた時、友人の一人が言った。

「今年は、しっかり休む、をやる!」

その言葉を、丸ごと私も目標のひとつにしたいと思う。
ほどほどに頑張りましょう。今年もよろしくお願い致します。