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卵とトラウマ

自分を取り巻く世界が変わったり、変えてしまったりすることがたまにある。自分のことを好いてくれている人がいなくなったり、言葉にできない恐ろしさに似た好意を向けられたり、誰かに刺された傷が痛んだり、大切な何かを失ったり。

そんな辛い過去とかトラウマに立ち向かう作品がありまして。

今期放送中のワンダーエッグ・プライオリティという作品。これがなかなかに素敵で辛いお話になっています。

14才の少女・大戸アイは、深夜の散歩の途中で出会った謎の声に導かれ、「エッグ」を手に入れる。「未来を変えたいなら」「今はただ選択しろ」「さぁ、自分を信じて—」「エッグを割れ―」

上記の文は公式サイトのINTRODUCITONより引用。

アイが手にしたエッグを割ると、中から少女が現れます。その少女を守り切ることができたなら失ったものを取り戻すことができると謎の声が伝えます。

そんなアイは現在不登校。理由は唯一の友人・小糸を失ったから。彼女はオッドアイという一点でいじめられていました。そんな彼女を救ってくれたのは転校生だった小糸でした。そして、彼女は自殺をしてしまいました。その真相は分からずじまい。その真相を掴むため、彼女を生き返らせるために少女を守ることを誓います。

アイ以外にも青沼ねいる、川井リカ、沢木桃恵といった三人の少女が出てきます。彼女たちも自分の大切な人を取り戻すためにエッグの少女を守る戦いを続けます。

これ以上踏み込んでしまうと大ネタバレになってしまうので、是非とも今からでも各種配信サイトなどで見てその世界観に触れてもらいたいなと思います。一話はyoutubeで期間限定配信しているのでそちらでも。


さて、このワンダーエッグ・プライオリティは各々の抱えるトラウマや心のモヤモヤみたいなものを払い除けるための物語なのではないかと思います。

登場する四人のキャラクターも、エッグから生まれる少女もみんな傷や痛みを持っています。描写される心の痛みは思わず目を瞑りたくなるようなものも多くあり、見ているこちらの心も同じように痛みます。

その傷を痛いだけでは終わらせられない、大切な人を取り戻すためにも。そのためには傷口を抉ることになったとしても乗り越えなければいけない。キャラクターが傷を超えるために放つ一撃が、勝利の喜びのようにも、痛みに悶え叫ぶようにも感じ取られ、本当にその選択が正しかったのか、そもそもエッグと出会ったこと自体が間違いなのではと思ってしまうこともあります。ただ、視聴者もキャラクターもこれが今の正解なのだろうと思わずにはいられません。

また、キャラクターが使う武器も少女を守る場所も個性豊かでかつトラウマを想起させるような場所になっていることも、キャラクターを理解するうえで重要になってくるのではないかと思います。

卵を割って、セカイを変えろ。ワンダーエッグ・プライオリティ、どうぞよしなに。

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