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後藤 啓介/YOZE FARM

法人名/農園名:YOZE FARM
農園所在地:栃木県大田原市
就農年数:7年
生産品目:アスパラガス、米(コシヒカリ)、甘酒
HP:https://yozefarm.official.ec/

no.55

自称「根がグータラ」。家族との時間を大事にして農業と両立

■プロフィール

 大学卒業後は、オンラインドラッグストアを運営する企業に就職。海外赴任中の2013年、父が前立腺の末期がんを患ったことがきっかけで、翌年退職を余儀なくされる。

 父は設備会社勤務と米農家を兼業していたが、2014年に下半身不随で寝たきりの状態になったことから、就農を決意。収穫まで漕ぎつけた2015年に他界したため、31歳であとを継ぐことに…。

 新規でアスパラガスの栽培を始め、農協と直販サイトを利用して販路を拡大。祖母、母、妻、娘2人の家族経営で、パート数人を雇用。

■農業を職業にした理由

 農業は未経験だったが、兼業農家の父親が末期がんで他界したことがきっかけで、31歳で就農する。

 亡くなる数日前、収穫前の田んぼを見て回った父が「これなら大丈夫。稲刈りできる」と安心した表情を浮かべたのを見て、認められた気持ちになったという…。

 栃木という土地柄もあって、当初はイチゴ栽培も考えたが、「年間を通じて休みなく働くのがイヤ」という理由で、知り合いの会社会長から勧められたアスパラガス栽培に挑戦。

 水田を売却した資金と、行政の補助事業を利用して、ハウス建設や噴霧器などの資材の購入費、井戸の採掘費などにあてた。

 アスパラガスは十分な収益があがるまで3年程度かかるが、就農準備資金・経営開始資金(農業次世代人材投資資金)などを活用していたので、経済的な面では不安はなかったが、当初は米とアスパラガスの繁忙期が重なって働き方のバランスがわからず苦労した。

■農業の魅力とは

 米国や中国での赴任中、残業せずに自分の時間を大事にする働き方を見ていたので、農家は個人事業主である分、誰の指示も受けず、自分のペースで時間を使えるのが魅力です。

 とはいえ、就農直後は農作業が生活から切り離されていたので、ペースがつかめず苦労しました。5年目頃から、今の時期はこれをやらなければという作業のリズムが体に染み付いて、暮らしに農業が組み込まれてきたような気がします。

 また「雨降って、地固まる」のように、古くからある言葉の語源を、農業を通じて感じられるのも知識欲が刺激されます。

 畑での作業は、自分と向き合う時間だと思っていますが、最近は少しでも健康に働けるよう、筋トレしたり水泳したり、肉体のケアにも時間をかけるようになってきました。これも作物が上手く作れるようになって生まれた余裕でしょうか(笑)?

■今後の展望

 2021年までは直販サイトやECサイトへの出荷が3.5割、農協出荷6.5割の比率で販売していましたが、今後は農協に卸す量を増やしていこうと考えています。

 というのも、個人を相手にする直販市場で継続的にリピーターを獲得するのは難しいと思っているからです。すでにネットの直販市場では、お客さんの取り合いになっている印象を受けます。

 経営を安定させるために、農協への出荷を増やすとともに、米も直販で売る以外は生産を減らしていきます。

 その代わりに、今考えているのは、新しい作物への挑戦です。ピクルスメーカーからのお声掛けで、ザーサイの契約栽培を計画しています。

 流通しているザーサイのほとんどは、中国で塩漬けしたものですから、国産野菜を作ることができたら、商品価値が高まります。

 また米の収穫後の農閑期の収入源としてイチジク栽培にも挑戦しようと思っています。すでに、バナーネや白イチジクなど10種類の試験栽培を始めています。

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