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わたしが宝物にしている漫画

今日は、随分前からずっとご紹介したかった、わたしの大好きな漫画「せんせいのお人形」をご紹介します。タイトルでよくびっくりされてしまうのですが、最後までお読みになれば、そのタイトルに込められた深い意味がお分かりになると思います☺️

普段、漫画はほとんど読まない私が、人生で初めて課金して、書籍も買い揃えた作品です。(書籍は3巻までしか出ていません。)

漫画なのに、まるで純文学か小説を読んでいるような美しいお話です。作者である、藤の先生の言葉の選び方が本当に素晴らしいです。(ほんとうに、藤の先生の言葉選びが好きなのです…)

この物語は、身寄りのない、しかるべき教育も受けさせてもらえなかった少女を、先生が引き取るところから話が始まるのですが、先生の元でその少女が獲得するのは、単なる知識でもサバイバル術でもなく、「知性」なんです。学ぶとはどういうことか、知に対してどのような態度で向かうのか…それを少女は学んでいきます。(なにしろ彼女はお風呂に毎日入る習慣や、お箸の持ち方すら教えてもらえていなかったのです。そんな彼女が知性を獲得していくさまには、目を見張るものがあります)

少女が学びに覚醒する、第20話「学問の俯瞰図」は何度読んでも心が震えます。わたしが最も好きなシーンです。このシーンだけでも、この作品を読む価値があります。

この作品は全部で120話あるので、この20話でまだ序章。このあとも、この第20話級の衝撃が幾たびもやってくるところがすごい作品なのです…。(語り尽くせないほど見どころがたくさんあります!)

少女は、知性を獲得するだけでなく、「愛」を知っていきます。この少女の素直な成長は眩しくもあり、愛おしくもあります。そして、この少女の保護者的立場にある先生の苦悩と誠実さに、胸を打たれます。

ただの教育的なお話かとお思いですか?いいえ、それだけにおよそ収まるような作品ではありません。ただ、美しいだけでなくて、人間の汚い部分もきちんと描かれています。そこが、この作品の魅力です。決して一筋縄にはいきませんし、登場人物の誰もが苦悩し、苦しみ、一歩踏み出します。どの登場人物も愛おしくて、目を離せません。登場人物たちそれぞれが最後に出した答えを皆さんもぜひ、見届けて頂きたいです。

この物語の根底には、貧困、性的虐待、いじめ、ジェンダー、摂食障害…様々なテーマが自然と織り込まれています。それに対して変に身構えることもなく、するするーと入ってくるのは、藤の先生の構成力のなせる技です。(みごとにお話の中に溶け込んでいるのです…)

聴覚障害をもつ人は作中には出てこないけれど、でも、これはわたしの物語だと思いました。多かれ少なかれ、誰もがどこかで生きづらさを感じていたり、理解されにくい部分を持っているとすれば、きっと皆、この作品を「自分の物語だ」と感じるんじゃないかなぁと思います。

私は一介の医療従事者ですが、苦しんでいる人にどのように誠実に向き合うか、という視点でもこの作品から多くを受け取りました。

学ぶとは何か愛とはなにか人の苦しみにどう対峙するか。たくさんのことを考える機会を与えてくれた作品です。

本当に本当にすばらしい作品なので、皆さんに、ぜひ読んで頂けると嬉しいです☺️きっと引き込まれること間違いなしです。

web版・アプリ版は10話までは無料で読めます。毎日1話ずつ読めば最後まで無料で読めるはずです。
https://www.comico.jp/articleList.nhn?titleNo=22933

書籍版はフルカラーです(最高!)。書籍版は3巻までしか出ていませんが、電子版で最終巻まで出版されることが先日決まって、大変喜んでいます🎉
https://www.comico.jp/comic/bookDetail.nhn?bookNo=165

もし書籍版をたくさんの方が買って下さったら、4巻以降も書籍化されるかもしれないので、多くの人が手にとって下さったら、とってもとっても嬉しいです☺️本当に素敵なイチオシ作品なのでぜひ!!

それではまた。

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