【私の本棚】来夢堂書店、始動!
少し前の6月中旬から、さいたま市の大宮東口にあるシェア型書店「夢中飛行」さんの書棚オーナーになりました。
夢中飛行さんの情報はこちら。
2023年8月6日に、旧大宮図書館から現在の店舗に移転したとのことなので、今月でちょうど1年になりますね。
筆者が持つ棚の屋号は「来夢堂」です。
筆者が面白いと思うのは、「売る人」と「買う人」だけではなく、いろいろな立場の人がこのスペースに混在できることです。
古書店の客
誰でも、「購入可能」属性がある本を購入することができます。このときは、古書店の客ということになります。
カフェの客
同じく誰でも、購入した本や「貸出可能」な本を、席で飲食しながら読むことができます(8/5訂正)。このときは、カフェの客ということになります。
図書館の利用者
レンタル会員であれば、「貸出可能」属性がある本を借りて、持ち帰ることができます。貸出期間は二週間。
このときは、私設図書館の利用者です。
古書店主
書棚オーナー(以降、棚主)は、好きな本を書棚に置いて、「貸出可能」「購入可能」の二つの属性(合計4種類)を付けます。本の値段も自由に付けられます。
このときは、古書店の店主です。
書棚に置ける本の4種類の属性を、ざっくり整理するとこうなります。
貸出x・購入x
閲覧のみ可能。
貸出o・購入x
閲覧と、(レンタル会員であれば)借りていくことが可能です。
棚主の立場から見ると、多くの人に読んでもらいたいから「貸出OK」だけれども、手放すつもりはないから「購入NO」です。
貸出o・購入o
閲覧・購入と、(レンタル会員であれば)借りていくことの、全てが可能です。
貸出x・購入o
貸出履歴(誰が何を借りているか)の管理には、出版物のID(ISBNのついたバーコード)を利用しています。
同人誌など自費出版の本(や、表紙がなくなった本も?)にはバーコードがないので、この欄のように「閲覧と購入可能だけど、貸出はNO」にすることになります。
(面倒だけど、新規にバーコードを発行すれば、「貸出OK」にすることも可能です。)
本好きのための空間
運営と「本好きたち」との距離が非常に近いことも、特徴に挙げてよいかと思います。
たとえば、棚主の持ち込み企画を運営が後押しして、書店全体のスペースを貸し出す(というよりは、一緒に企画化する)などをしてくれます。
筆者はまだ企画は出す予定はありませんが、誰かの企画に参加したいとは思っています。
ちなみに、先日参加したスナック(会員たちの雑談会)(8/5訂正)では、推し本のテーマ案が出ました。
それは「ボロボロになった溺愛本」と「(夏休みなので)子供向けの本」でした。
筆者の蔵書の中では、「この一冊」でどちらもカバーしていると思います。
「ローマは一日にしてならず」岩波ジュニア新書91
岩波ジュニア新書の定義通り、「中高生が広く世界の出来事を知るための本」そのものだと思います。
古今東西の歴史上の名言を、その時代背景や意味とともに紹介する本です。
特定の国の特定の時代にのみ当てはまるものは少なく、内容に普遍性があるところが秀逸です。
つまり、「誰にも逆らえない、歴史の大きな流れ」であるとか、「古今東西変わらない、人間社会の実態」についてが学べるのです。
ただし残念な点もあり、著者の専門性からなのか、古代ギリシャ・ローマと近代ヨーロッパ史に偏ってしまっているように筆者には思えます。
その点を差し引いても、これほど素晴らしい歴史参考書はほかに見たことがありません。
また、ジュニア向けでありながら、大人も読むべき内容でもあると思います。
筆者は、1985年の初版第一刷を40年近くにわたって、何度も読み返しました。
そのたびに、忘れていたことを思い出します。
引っ越しも数多く経験し、表紙がなくなったりもしましたが、手放すことはありませんでした。
間違いなく、筆者にとっての溺愛本です。
番外編:「新リトル英和・和英辞典」研究社
コンパクトな辞書で、大学生のころ毎日持ち歩いていたためボロボロになりました。
これは1992年発行の第14刷で、つまり世界情勢が激しく動いていた時期のものです。
見開きにある世界地図は、当時の最新状況を適切に反映できておらず、混乱が見受けられます。
筆者は、そこにむしろ史料的な価値を感じています。今はもっと良い辞書があるし、ネットで翻訳できる時代であるにも関わらず、この辞書を手放さずに持ち続けています。
これも、溺愛本にカウントしても構わないのかなと思います。
特に、東欧を中心として拡大したこの地図には、現在との違いが多数あります。
ぜひ探してみてください!(あえて正解は書きません)
貴重なお時間を使ってお読みいただき、ありがとうございました。有意義な時間と感じて頂けたら嬉しいです。また別の記事を用意してお待ちしたいと思います。