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【私の本棚】来夢堂書店、始動!

 少し前の6月中旬から、さいたま市の大宮東口にあるシェア型書店「夢中飛行」さんの書棚オーナーになりました。

 夢中飛行さんの情報はこちら

 「本と喫茶 夢中飛行」は、埼玉県さいたま市大宮区高鼻町1丁目56のks’氷川の杜201号室にあります。営業時間は11時から18時までで、火曜日と水曜日が定休日です。
 この場所は、愛書家たちの書斎のような「1棚1オーナー制シェア本棚」、アーティストのアトリエのような「紙モノ専門店」、店主こだわりの珈琲と自家製アップルパイが楽しめる「喫茶」からなる美しい日常のキュレーションスペースとして親しまれています。
 ここでは、本を介して日々さまざまな交流が生まれ、会社や家族とは異なる「仲間」と出会い、自分の好きなことを話したり、披露したり、誰かのチャレンジを応援したりする場所となっています。
https://muchu-hiko.com/

「夢中飛行について教えてください。」に対するCopilotの回答

 2023年8月6日に、旧大宮図書館から現在の店舗に移転したとのことなので、今月でちょうど1年になりますね。

 筆者が持つ棚の屋号は「来夢堂らいむどう」です。

来夢堂書店(2024/7/28、筆者撮影)

 筆者が面白いと思うのは、「売る人」と「買う人」だけではなく、いろいろな立場の人がこのスペースに混在できることです。


古書店の客

 誰でも、「購入可能」属性がある本を購入することができます。このときは、古書店の客ということになります。

カフェの客

 同じく誰でも、購入した本や「貸出可能」な本を、席で飲食しながら読むことができます(8/5訂正)。このときは、カフェの客ということになります。

図書館の利用者

 レンタル会員であれば、「貸出可能」属性がある本を借りて、持ち帰ることができます。貸出期間は二週間。
 このときは、私設図書館の利用者です。

古書店主

 書棚オーナー(以降、棚主)は、好きな本を書棚に置いて、「貸出可能」「購入可能」の二つの属性(合計4種類)を付けます。本の値段も自由に付けられます。
 このときは、古書店の店主です。

書棚に置ける本の4種類の属性を、ざっくり整理するとこうなります。

貸出x・購入x

 閲覧のみ可能。

貸出o・購入x

 閲覧と、(レンタル会員であれば)借りていくことが可能です。
 棚主の立場から見ると、多くの人に読んでもらいたいから「貸出OK」だけれども、手放すつもりはないから「購入NO」です。

貸出o・購入o

 閲覧・購入と、(レンタル会員であれば)借りていくことの、全てが可能です。

貸出x・購入o

 貸出履歴(誰が何を借りているか)の管理には、出版物のID(ISBNのついたバーコード)を利用しています。
 同人誌など自費出版の本(や、表紙がなくなった本も?)にはバーコードがないので、この欄のように「閲覧と購入可能だけど、貸出はNO」にすることになります。
(面倒だけど、新規にバーコードを発行すれば、「貸出OK」にすることも可能です。)

本好きのための空間

 運営と「本好きたち」との距離が非常に近いことも、特徴に挙げてよいかと思います。

 たとえば、棚主の持ち込み企画を運営が後押しして、書店全体のスペースを貸し出す(というよりは、一緒に企画化する)などをしてくれます。
 筆者はまだ企画は出す予定はありませんが、誰かの企画に参加したいとは思っています。

 ちなみに、先日参加したスナック(会員たちの雑談会)(8/5訂正)では、推し本のテーマ案が出ました。

 それは「ボロボロになった溺愛本」と「(夏休みなので)子供向けの本」でした。
 筆者の蔵書の中では、「この一冊」でどちらもカバーしていると思います。

「ローマは一日にしてならず」岩波ジュニア新書91

 岩波ジュニア新書の定義通り、「中高生が広く世界の出来事を知るための本」そのものだと思います。

 岩波ジュニア新書は、1979年に創刊された定評ある10代向けの学習入門新書です。
 学校での学習をさらに深め、広く世界の出来事を知るための本、あるいは中高生の悩みをいっしょに考えるための本として、多くの中高生や学校の先生、学校司書のみなさんに長く読まれてきました。
 「新書」は、ノンフィクションや評論・論説文が手軽に読めるコンパクトな本のシリーズで、なかでもジュニア新書は、特に中高生向けに書かれています。

https://japanknowledge.com/contents/iwanami_junior/

 古今東西の歴史上の名言を、その時代背景や意味とともに紹介する本です。
 特定の国の特定の時代にのみ当てはまるものは少なく、内容に普遍性があるところが秀逸です。
 つまり、「誰にも逆らえない、歴史の大きな流れ」であるとか、「古今東西変わらない、人間社会の実態」についてが学べるのです。

「ローマは一日にしてならず」 p.134

 ただし残念な点もあり、著者の専門性からなのか、古代ギリシャ・ローマ近代ヨーロッパ史に偏ってしまっているように筆者には思えます。

 その点を差し引いても、これほど素晴らしい歴史参考書はほかに見たことがありません。

 また、ジュニア向けでありながら、大人も読むべき内容でもあると思います。
 筆者は、1985年の初版第一刷を40年近くにわたって、何度も読み返しました。
 そのたびに、忘れていたことを思い出します。

発行は1985年。定価は580円で、消費税なし!

 引っ越しも数多く経験し、表紙がなくなったりもしましたが、手放すことはありませんでした。
 間違いなく、筆者にとっての溺愛本です。

番外編:「新リトル英和・和英辞典」研究社

 コンパクトな辞書で、大学生のころ毎日持ち歩いていたためボロボロになりました。

 これは1992年発行の第14刷で、つまり世界情勢が激しく動いていた時期のものです。
 見開きにある世界地図は、当時の最新状況を適切に反映できておらず、混乱が見受けられます。

 筆者は、そこにむしろ史料的な価値を感じています。今はもっと良い辞書があるし、ネットで翻訳できる時代であるにも関わらず、この辞書を手放さずに持ち続けています。

 これも、溺愛本にカウントしても構わないのかなと思います。

上記の地図を、東欧を中心として拡大したもの

 特に、東欧を中心として拡大したこの地図には、現在との違いが多数あります。
 ぜひ探してみてください!(あえて正解は書きません)


貴重なお時間を使ってお読みいただき、ありがとうございました。有意義な時間と感じて頂けたら嬉しいです。また別の記事を用意してお待ちしたいと思います。