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孤高の求道者、Allan Holdsworthに思う−完璧主義と「瞬間の美学」の音楽論

こんにちは!

皆さま、いかがお過ごしでしょうか?

Everyday Fusion!!!の今回の記事では、タイトルにもありますように、Allan Holsworthという人物を特集して、その魅力に迫りたいと思います!

一応、前置きをさせていただきます。

今回はあくまで「音楽論」ということでAllan Holdsworthを概論的に特集しますので、詳しい奏法、理論、サウンドメイキングなど、各論的・専門的な部分に関しては書けばキリがありませんし、筆者自身も理解しきれませんし、この場で解説する意義もないため、極力触れないでいきたいと思います。

なにせ彼の音楽理論についての研究書(!)も出ているくらいの人物ですし、様々なムック等も出ていますので、その辺を詳しく知りたい方は別途このような本を探していただければと思います!

では、参りたいと思います!

Allan Holdsworthってだれ?

本記事をご覧になっている皆様の中で、この人物をすでによくご存知でいらっしゃる方はどれほどの割合なのでしょうか…?

おそらくジャズやフュージョンのリスナー層の中でも、楽器、それもギターを弾かれる方でないと、この人物に関して詳しく、あるいはしっかり彼の音楽を聴いたことのない方も多いのではないかと思われます。

まず、彼はタイトルの写真にもありますようにギタリストですね!

もし、前回の拙稿を読んでいただいた方がいらっしゃいましたら、彼のことを覚えておられるかもしれません。

こちらの記事ではNo.4に取り上げているギタリストで、後半の方までお読みいただいた方は何度かお目にかかっているはずのキーワードがありましたね…

そう、「ホールズワース系」です!

ジャズともフュージョンともプログレとも解釈できうる独自のジャンルを築き上げ、世界中の多くのギタリストに大きな影響を与え続けている「ミュージシャンズ・ミュージシャン」の名にふさわしいギタリストというわけです(敢えて進行形で書いてあります)。

もともと、ジャズ・ピアニストである父親のもと、最初はサックスをやりたかった彼ですが、経済的に買えなかったらしく彼にはギターを買い与えました。そして、ピアノのコードをギターに当てはめていきながらギターを習得したのだそう。

彼は手が大きく、通常では絶対にできないようなコードフォームで弾くことでも知られています。

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こんな感じです(笑)

こんなのが曲で出てきてしまったら、どうしようもないです(笑)

この独特の押さえ方はどうやらピアノをもとにして考え出されたからということで、発想が通常とは異なっているように考えられます。

そのほかの詳しいキャリアはwikiなどに多く書かれていますので、ここでは省略いたします。


Allan Holdworthとの出会い

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さて、でもなんでこのタイミングでAllan Holdsworthを特集するのか…?

実は本日(2020年4月16日)で、彼が亡くなって丸3年が経ったからです

2017年4月16日、世界の音楽界に衝撃が走りました。

筆者自身は当時高校3年で、電車の中でTwitterを見ていた際にこのニュースを知りました。お恥ずかしながら、実は当時、Allan Holdworthという人物が「スゴいギタリスト」と言われていることは知っていたものの、まだ彼の音楽をしっかり鑑賞したことはありませんでした。

その後、行きつけのdisk unionで初めて彼のCDを手に入れました。

それが、前回の記事でもご紹介いたしました、 "The sixteen men of tain" (1999)だったわけです。

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このジャケットは前回の記事のタイトル画像にも入っていました笑

実は、筆者自身は最初は彼の音楽があまり好きではなかったんですね。

当時、夢中で聴いていたのはGreg HoweSimon Phillipsといった、いわゆる「ハードフュージョン」と言われるようなフュージョンであり、まだ彼の世界観を理解するほどのキャパシティーがなかったのかもしれません。

ちなみに「ハードフュージョン」については、昨年、その特集記事を書いておりますので、よろしければご覧ください!

Allan Holdworthの音楽と大衆性

ではここで、彼の世界を堪能できる(と思っている)作品をいくつか貼ってみますので、もし聴いたことがない方がいらっしゃいましたら、まず、彼の楽曲を体感してください…

No.1  "Tokyo dream" (1983)

1984年、Chad Wackerman(dr)、Jimmy Johnson(b)という鉄壁のメンバーを従えたトリオ(!)での日本公演より。3人とは到底思えない圧倒的な音の厚み。特にJimmy Johnsonは、昨年の12月にSteve Gaddのバンドで来日しており、記憶に新しい方も多いと思います。筆者は見に行きました。

No.2  "Looking glass" (1986)

彼がオリジナルはsynthaxeという、斧のような形状をした特殊なシンセサイザーで弾かれています。彼の教則ビデオの付属映像より。

No.3  "Proto cosmos" (1975, from Tony Williams Lifetime "Believe it")

上と同じく、教則ビデオの付属映像より。

No.4  "Road games" (1983)

"Tokyo dream" と同じライブより。

No.5  "The sixteen men of tain" (1998)

前回の記事でもご紹介した作品になります。

No.6  "House of mirrors" (1993)

彼のギターから放たれるオーケストレーションが息をのむほどあまりにも美しい、名バラード作。

No.7  "Devil take the hindmost" (1985)

ネットで閲覧できる最も高画質なライブ映像。Gary Husband(dr)、Jimmy Haslip(b)という安定のメンバーとともに繰り広げられる壮絶な演奏を、実に生々しく楽しむことができます。


個人的には、No.1No.5No.6をお聴きいただくと彼がどのような音楽をやっていたのかがイメージしやすいのではないかと思います。

さて、特に初めてお聴きになる方はどんな印象を受けられましたか?

実に美しく壮大で、かつメロウでアンビエント感もあり、アンニュイな感じもする…と言ったところでしょうか(横文字ばかりですみません…)

極めて独特の世界観を築き上げていると思いませんか?

以前の記事でも書きましたが、Allan Holdsworthという人物の音楽の印象に関してまず言えること、それは

「大衆ウケするような易しい生半可な音楽ではない」

ということが第1のポイントになってくるのではないでしょうか。普通の人が彼の曲を聴いて、その魅力に即座にとりつかれるか、と言われれば間違いなくそうではないと言えるでしょう。

「普通の人」なんて言うと語弊があるかもしれませんが、こんな曲たちが○ステのような大衆音楽番組や、○DJなんかで演奏されるわけはありませんよね…(苦笑)

やはり、80年代以降にフュージョンに取って代わって流行した「スムース・ジャズ」と言われるジャンルもそうですが、テレビやラジオで不特定多数の人の耳に届き、大衆的な人気を博す音楽というのは、誤解を恐れずにいえば

「頭を使わなくても耳に馴染んで腑に落ちる音楽」

と形容されるものであると思っています。

特に耳馴染みが要求されるものとして、「BGM(back-ground music)」と括られる音楽(スムース・ジャズや一部のフュージョン・ジャズ、その他ヒーリング系など)があります。

これは、当然番組であればその放送内容、お店なら店内の雰囲気やお客さんの会話と言った、メインのものを邪魔するようなことがあってはいけないわけで、あくまでサブに徹している必要があるわけですよね。

BGMはさておき、すなわち「大衆ウケ」とまでは行かずとも、大衆に受け入れられる音楽というものは、こちら側が能動的に頭を使って理解をする必要性が低いのではないかと考えられるわけです。

Allan Holdsworthの音楽に話を戻しましょう。

彼の音楽性に大衆性がないというのは、上述の言葉を借りれば、すなわちリスナー自身が意識的に頭を使い、能動的に理解しようとすることによって、初めて解釈がなされるような音楽であるといえましょう。

その能動的な理解をする上で、やはり楽器をやっているか否かで、さらにリスナーはふるいにかけられてしまうかもしれません…

例えば、ギターをやっていれば、「どうやってこんなに美しい音を作るんだ!」などと気づくかもしれませんし、その他の楽器のプレイヤーでも、彼の引き連れる凄腕のミュージシャンのプレイに聴き入ってしまうこともあろうかと思います。

つまり、彼の音楽の大衆性に関してまとめますと、Allan Holdsworthの音楽というものは、リスナーについて、まず歌のない、楽器だけの音楽(いわゆるインスト)に慣れているというレイヤーは最低要求していることを求められるといえそうです。

また、リスナー自身が何かしらの形で音楽をやったことがあるというレイヤーを通過すれば、さらに異なった見方聴き方が可能になるものであるとも考えられるということです。

その上、抽象的ではありますが、スムース・ジャズなどとは異なり頭に残るようなキャッチーかつシンプルなメロディーが少ない、という部分もありますので、さらに大衆に広く受け入れられる可能性は低いのではないかと考えられるのです。

Allan Holdsworthと完璧主義

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さて、タイトルにもありますように、Allan Holdsworthは完璧主義であることでも知られています

彼の2008年のインタビューでは

「曲は完璧だと感じた時が完成。完成と程遠いと感じている時は、完璧な輪のようなものができるまで取り組み続ける」(*1)

という発言をしているほどの人物。

これは彼のディスコグラフィーからも伺えます。

「データ上は」彼の最初のスタジオ・ソロアルバムは、フュージョン系の作品を多くリリースしていることで有名なCTIというレーベルから1976年にリリースされた "Velvet Darkness" なのですが、これ、彼曰く「リハーサルを許可なくリリースされた」というもの。

つまり、上でわざわざ括弧を付して書いたのは、Allan Holdsworth本人はこの作品を自分の正式な作品であると認めていないためだからです。

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彼が真の1st作とするのは1982年リリースの "I.O.U" なのです。

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 M1 "The things you see"、M4 "Letters of marque"、M8 "White line"をはじめとする名曲が詰まったアルバムになっておりますので、気になった方はぜひ検索をかけてみてください!

さらに彼の完璧主義を象徴するエピソードとして、その次にリリースされたミニアルバム "Road Games" (1983) をめぐる話があります。

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本作はAllan Holdsworthのファンだったという、世界的に有名なロックバンドであるVan Halenのギタリスト、Eddie Van Halenが当時所属していたメジャーレーベル、Warner Bros.に彼を紹介したことで制作が始まります。

しかし、担当したプロデューサーであるTed Templeman(Van Halen作品のプロデュースも務めた人物)と楽曲の方向性やメンバーで対立し、結局たったの6曲でレコーディングが終わった挙句、せっかくのメジャーレーベルであったのに、Warner Bros.から契約を解除されるというザマ。

メジャーレーベルでお金はもらえてもデッドラインに追われて制作するよりも、自分の音楽を自分のペースで追求していこうというAllan Holdsworthなりの完璧主義が見て取れます。

しかし、だからこそ、決して多くないながらも極めて質が高く、音楽的にも優れた作品たちが生み出されたのではないでしょうか。

特に彼の作り出す、ギターとは思えないような透き通った美しく、かつ摩訶不思議なサウンドからは強いこだわりを感じざるを得ません。

以前にも取り上げた "The sixteen men of tain" (1998) 収録の本曲は、彼の作品の中でも、取り上げて美しすぎるのではないかと思っています。

詳しくは書きませんが、ディレイ(いわば山びこ的な効果を発生させるエフェクター)を何台も通して作り上げられた彼のクリーントーンは、容易に真似して作り出せるものではありません。

筆者もやろうと思いましたが、なにせディレイが1台しかなく、サウンド・メイキングを解説されても、試してみることすらできないんですね(笑)

さらに、機材に関しては常にアップデートをしていたようで、やはり特筆すべきはこれまで何回も取り上げました、Synthaxeという特殊なギター型シンセサイザーでしょう。

こんな感じの変わったシンセサイザーでしたね。

少なくとも "Atavachron" (1986) "Sand" (1987)は、全面的にこの楽器を用いて制作されたものですし、その後も "Secrets" (1989)"Wardenclyffe Tower" (1992)"Hard Hat Area" (1993)でも使用していることが確認できます。

Synthaxeを使用した楽曲をいくつかご紹介いたしますので、上の動画も含めて興味のある方はご覧いただければと思います。

ちなみにオリジナルの"Looking Glass"でドラムを演奏しているのは、Miles Davisのバンドでも活躍したTony Williamsです。

イントロ部分でSynthaxeがよく聴けます。

1分から3分まで続くギターソロの直後に、Synthaxeによるソロがさらに収録されております。

このように、商業主義の音楽業界とは全く繋がらず、自分自身の音楽を納得いくまで突き詰める、完璧主義のその姿勢は、やはりAllan Holdsworthが「ミュージシャンズ・ミュージシャン」と言われる所以であり、多くのミュージシャンから尊敬されているのだと思います。

Allan Holdsworthと「瞬間の美学」

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また、彼は極度にライブ作品を収録することを嫌ったということで知られています。2002年のライブ作 "All night wrong" のCDのライナーノーツに書いてあるインタビューでは

「ライヴ・レコーディングとは、その時その場にいた人たちだけが聴くべきものだと思っているんだ。それはある特定の時間、場所、空間にいるから体験できることで、それを記録に残すことは個人的にはあまり好きじゃない。」

と答えています。

X JAPANのリーダーであるYOSHIKIは、90年代から「瞬間の美学」をキーワードに、体に極端に負荷をかけるような全力のドラミング・パフォーマンスを披露していました。その一瞬、その一瞬に全てを賭けるということですね。彼はそのせいで失神もしていますし、体もボロボロです…

個人的には、YOSHIKIはドラミングそのもののみならず、パフォーマンスまで込みの「瞬間の美学」であると思うのですが、これを踏まえれば、Allan Holdsworthこそ、真の意味で音楽、つまりプレイそのものにおける「瞬間の美学」の求道者ではないかと思うわけです

Allan Holdsworthは、一般的な方法でギターを練習を「しない」ことでも知られています。なぜなら、練習をしすぎることは「同じフレーズをステージでも弾くようになってしまうから」(*2)ということらしいです。

普通、ギターを上達したり曲をコピーしたりするときは、ひたすら練習をするしかないはずです。特にDream Theaterのギタリスト、John Petrucciは「基礎練の鬼」とも言われていますよね(笑)。僕自身も腐るほど彼のフレーズを練習しますし、彼の教則本を見てみると、それこそ鬼のような精度が求められる基礎練フレーズが数多く掲載されています。

つまり、Allan Holdsworthという人物は、このような「一般的」なタイプのギタリストとはそもそもベクトルが異なる特殊なギタリストであることが伺えると思います。

(一応、誤解のなきように言っておきますと、Dream Theaterをコピーするので痛いほど分かるのですが、John Petrucciは紛れもなく世界最高峰の超絶ギタリストの一人であって、その正確性やフレージング力は圧倒的です。ここでいう「一般的」というのは、あくまで練習スタイルのみである点にはご留意願います)

さらに、彼は譜面に自分にしかわからない記号をつけてコードや使用スケールをメモしていることでも知られています。すなわち、彼の本当のプレイスタイルや理論は誰にもわからない、ともいえます。

もちろん、彼の教則ビデオや教則本などから、ある程度はすでにわかっているわけだし、「ホールズワース系」というギタリストも多くいるので、全てがベールに包まれたまま永遠の謎になったわけではありません。

しかし、生涯完全にその手の内を完全には明かさなかったと言われる点は、それだけで簡単には人を寄せ付けないようなオーラがありますし、だからこそ、より彼の音楽を知りたい・理解したいと思えるんだと思うんですね。

徹底して作られた自身のスタジオワークか、ライブそのもので観て聴くことのできる「瞬間の美学」にこだわり、取材を受けても決して多くは語らず、謎を残したままこの世を去ってしまった、その点がより彼の魅力を引き立てているのではないかと思っています。

僕なりのAllan Holdsworth論

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ここでは、ギターも弾く筆者自身のAllan Holdsworth論について、思うがままに書かせていただきます。

Allan Holdsworthという名前については、これまで書いてきた記事にも幾度となく出てきております。

もちろん、僕が世界で最も尊敬するミュージシャン、世界で最も好きなギタリストがAllan Holdworthであるということは確かですし、個人的な好みというバイアスがかかっていることは否定はできません。

しかし、フュージョン好きかつギターも弾くとなると、Allan Holdsworthという人物を通過しないことは不可能なのではないでしょうか

筆者自身はギターではDream Theater周辺のプログレ系、メタル系を弾くことが多いのですが、その路線で音楽を聴いていったとしても、やはりAllan Holdsworthに出会わないわけがないと思うのです

Dream Theaterが好きであれば、元メンバーのDerek Sherinian(key)の主宰したバンド、Planet X "Quantum" (2007)では、Allan Holdsworthのギターソロを聴くことができますし、Dream Theaterの影響元を辿って、古き良き時代のプログレッシブ・ロックを当たって見れば、やはりそこにはAllna Holdsworthの在籍したU.K.Tempestといったバンドがあるわけです。

最近でいえば、2018年1月に急逝された、Babymetalの「神バンド」のギタリストであった「小神様」こと藤岡幹大さんは生粋のAllan Holdworth影響下のギタリストとしても有名です。藤岡さんの死去に際してBabymetalが発表したコメントにもAllan Holdsworthの名前が出てきます。

やはり、ジャズ・フュージョン・プログレ・メタル系のギターを弾き、ある程度音楽を興味を持って聴くことがあれば、そこには必ずAllan Holdsworthという音楽があるんだと思います。

筆者に言わせれば、Allan Holdsworthの音楽はジャズでもフュージョンでもプログレでもなく、もはや「Allan Holdsworthというひとつの音楽ジャンル」と言ってもいいのではないかと思うわけです。

彼に洗脳されたみたいな状態と言われればそれまでですが、Allan Holdsworthの作品のみならず、これまでほぼ全てのジャンルを幅広く聴いてきた自分が、現時点で出せる結論がこれということになります。

日本のAllan Holdsworthフリーク

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ここでは、Allan Holdsworthに絶大な影響を受けられている「フリーク」と言っても良いギタリストをお二方ご紹介させていただきます。

まず、シンコーミュージックから出版されているAllan Holdsworth特集のムックでも記事を寄せている、丸本修士さんです。

本誌の記事を読めばわかりますが、Allan Holdsworth来日の際のギターテクニシャンも務められ、個人的にもお付き合いがあったということで、ご本人も非常にギターが巧く、動画を拝見しても本家と区別がつきません(笑)

興味のある方はぜひご覧ください。

ちなみに、前出のライブ作品 "All Night Wrong" では丸本さんの名前もクレジットされております。

音楽教室を主宰されているようですので、ご興味のある方はぜひ。

そして、SNSでも動画をあげていらっしゃいます、関芳徳さん。何と言ってもサウンドとフレーズの再現度が高く、驚異のシンクロ率です。

現在はオンラインのレッスンもやられているようですので、興味のある方はぜひご確認ください。

お二方ともしっかりヘッドレスのギターを使用され、サウンド・メイキングの質も極めて高く、まさにAllan Holdsworthの生き写しのようです。

日本の「ホールズワース系」ギタリスト

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前回の記事をお読みいただいた方は覚えておられるかもしれませんが、前回はAllan Holdsworthの影響下にある「ホールズワース系」のギタリストも多くご紹介いたしましたね。

こちらです!

まだお読みいただいていない方、ぜひご一読いただければと思います。

まずは前回もご紹介いたしました國田大輔さん。

こちらをピックアップさせていただきました。

前回の記事では、特に「ホールズワース系」とは書きませんでいたが、今回このようなコーナーを設けるに当たって、改めて聴き直しますとやはりラインアウトするような部分やコードワークでAllan Holdsworthを想起させるため、改めて取り上げてみました。

もしかしたら全然彼の影響を受けていないかもしれませんが…(笑)

そして先日、ニューアルバムをリリースされたばかりですので、ぜひチェックしていただきたいと思います。


そして、現在の日本の若手ギタリストの中で最も注目されている超絶テクニシャンの一人で、2018年に急逝されたBabymetal「神バンド」のギタリスト、藤岡幹大さんの後任として、神バンドのメンバーから構成されるバンドである「仮BAND」のギタリストにも参加された岡聡志さんをご紹介いたします!

ご本人もAllan Holdsworthからの影響を公言しておられるようですが、これを知らずとも、そのプレイから一聴して影響が感じられます。

次元が違いますね(笑)

Allan Holdsworthのプレイにヤスリをかけまくって超絶滑らかにして、その上にモダンなテクニックを盛り込んだような、ものすごいプレイです。

先日リリースされた前出の「仮BAND」の新作のMVでも、岡さんのプレイを見ることができます。

フレーズが本当にクールで、とにかく滑らかで巧すぎるんです。

ちなみに、先ほど國田さんでご紹介した曲を、岡さんも参加されているライブ映像もありますので、ぜひご覧ください。

岡さんはG.O.D. (Guitarists On Demand)という新世代のギタリスト達が集まるプロジェクトのメンバーであり、そのアルバムなどに楽曲が収録されております。

また、ギターのレッスンも行っているようですので、興味のある方は覗いてみていただければと思います!(参加してみたいですね笑)

ただ、早くフルのソロアルバムが聴きたくて仕方がありません

岡さん、よろしくお願いいたします!


最後に!

Allan Holdsworth影響下のギタリストで忘れてはならないのがこの人。

藤岡幹大先生!

この記事にも何回も登場していますし、前回も特集もご紹介しました。

ご存知のように、Babymetalの「神バンド」のギタリストとして大活躍されていたものの、2018年1月に36歳の若さで急逝されました。

極めて精度の高い速弾きやピッチという技巧面で取り上げられることの多い藤岡さんですが、音楽的にはフュージョン系がバックにあり、特にAllan Holdsworthを敬愛しておりました。

前出の藤岡さんが亡くなられた際のBabymetal側のコメントにも書かれてありますので、ぜひ確認してみてください。

上の動画では、本記事の冒頭でも取り上げましたAllan Holdsworthの1983年作 "Road Games" を披露していますね!

岡さんは藤岡さんの直接の弟子に当たるということもあり、2020年2月号のヤングギター誌では、藤岡さんが執筆した教則本のデモンストレーションを岡さんがご担当されています。動画が上がっておりますので、ギタリストの方は要チェックです!!


最後に一言

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Allan Holdsworthのような、「この人自身が音楽ジャンル」と言っても過言ではないくらいのギタリストは、後にも先にも出てこないかもしれません。

その高度な技術面のみならず、音楽に向き合う徹底した姿勢や哲学までが尊敬の対象となる唯一無二のギタリスト…

「孤高の求道者」

「孤高の天才」

「レジェンド」

「ミュージシャンズ・ミュージシャン」

これらの言葉がこんなにも似合うギタリストはAllan Holdsworthだけでしょう

紛れもなく真の天才であり、世界一大好きなギタリストです。


(*1) シンコーミュージック・エンタテイメント(2017)
『レジェンダリー・ギタリスト 特集●アラン・ホールズワース [増補改訂版]』p.17

(*2)同 p. 62


R.I.P

Allan Holdsworth (8/6/1946-4/16/2017)

The man who changed guitar forever...

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