犬への敬意が止まらない

犬は、人との関係を築くのが、人間よりもうまい。

犬が私に対してどういう感情を持っているのかはわからない。
私が犬に食事と寝床を与えるから、仕方なく一緒に生活してくれているだけかもしれない。
犬は、それでも犬を愛したくなるような、魅力を持っているのだ。

今日は三連休初日、台風だ。
どこにも出かけられないので、ふと思い立った。
私はあまり甘いものが好きではないが、ホットケーキを焼くことにした。
食べたいというより、あのまるいふわふわを、じっくりと、じゅう、と焼く時間が恋しくなった。
焼いたホットケーキに、バターとはちみつをのせ、うす切りにしたバナナを添える。
バターがとけて、ホットケーキの上ではちみつと一緒にとろんと寝そべっている。

雨音のなか、あまい香りが満ちた部屋で、ホットケーキを食べてブラックコーヒーを飲む。

この美味しさというか安心感を、誰かと分かち合いたくて、ちいさく切ったホットケーキにバナナの欠片をのせ、となりでもの欲しそうにこちらを見ていた犬の鼻先に持っていった。

犬はすんすんすん、とにおいを嗅いだ途端、表情がぱあっと明るくなってお尻ごと尻尾を振っている。
両手でばたばた連続「お手」をしてくる。
いいよ、と私が言うと、はふっ、と0.3秒くらいで食べた。

もう一生この犬と一緒に、のんびり美味しい物を食べながら暮らしたいと思った。

犬は、毎日あまり変わらない。
少なくともうちの犬と私の関係は、人間関係のように常に変わり続けていないと感じる。
極端な話、これがもし恋人同士だったなら、飽きやマンネリになるのかもしれない。
でも私は、穏やかで、誠実で、優しくて、コミカルで、ちょっと馬鹿なところもある、犬が毎日大好きだ。

私も犬のように、誰かに全力で信頼されたいな、と思う。
そのために、毎日穏やかに、誠実に、優しく過ごそう。

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