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【400字小説】おとぎ話

iPod Classicを手に入れたい。レトロな気分に惹かれたの。時代遅れなんかじゃないよ。最先端とかに興味がない。躁鬱病で困ってて、それどころじゃない。アガっただけサガるから、躁の傾向には注意しているつもり。

でも、こうしてiPod Classicを購入したい欲に支配されてる、3日くらい、躁。苦しいの、悔しいの。負けるのか、物欲に。

多分、3週間前にライブにしたのがオオモト。逃げ出したいって思うほど緊張したんだけど、ライブ後、珍しくお客さんのひとりふたりから良かったですって、身も知らずな方々に褒められて素直に嬉しかったの。《はじめまして》がトリガーだったな。

おとぎ話みたいに幸せな結末は待っていない。話の筋も読めるわけない人生。きっとわたしはあと2日でiPod Classicを買ってしまうだろう。それくらいの未来しか見えない生き方。だけど「むかしむかし、あるところに……」っていつか振り返りたくはない。ただ昔っぽいものがほしいだけ。

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