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#毎日note

必然性を作り出すのは難しい

必然性を作り出すのは難しい

 一般的には、ある課題・問題を解決する方法は無数にあります。

 未解決の問題・課題を解決できた場合、最初に課題・問題を解決できた方法が唯一の方法です。

このため、ごく短期間ではありますが、その方法には必然性があるといえます。

しかし、時間が経てば、他の解決方法も現れてきますので、その方法の必然性はなくなります。

これらの複数の解決方法のうち、どれがもっとも使われるかは、社会から、性能やコス

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請求項の表現(良くないと思われる表現例)

請求項の表現(良くないと思われる表現例)

 たまに、請求項に

物質Aに物質Bを加えて物質Cを得る

という趣旨の内容が記載されていることがあります。

この物質Aと物質Bに、主従関係がある場合はこれでも良いと思います。具体的には、量的には物質Bが物質Aの10[ppm]のような場合です。

しかし、物質Aと物質Bに主従関係が無い・少ない場合(物質Aの量:物質Bの量=10:1など)には、「物質Aに物質Bを加えて物質Cを得る」という書き方は良

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特許出願しても出願審査請求をしないこともある

特許出願しても出願審査請求をしないこともある

 先日、「特許出願をすべきだが、出願審査請求はするべきではない」という結論は考えにくい、との話に接しました。

特許出願をして、出願審査請求をしないのは矛盾しているらしいです。

細かな経緯までは確認しませんでしたが、
「特許出願をすべきだが、出願審査請求はするべきではない」という結論はありうると思います。

典型的な例が、いわゆる「防衛出願」です。

ご存じの方も多いと思いますが、防衛出願という

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特許出願の受領書にアクセスコードが記載されなくなるようです

特許出願の受領書にアクセスコードが記載されなくなるようです

 令和6年5月1日より、経済安全保障推進法に基づいて、特許出願非公開制度が始まります。

この影響で、アクセスコードが発行されなくなり、特許出願の受領書にアクセスコードが記載されなくなるようです。

※最長3か月間、アクセスコードが発行されないようです。

優先権を伴う出願を行う場合、少し手間が増えるかもしれません。

●情報元
 https://www.jpo.go.jp/system/pate

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請求の認諾

請求の認諾

 民事訴訟における請求の認諾とは、被告が、原告の請求が正しいことを認めて、訴訟を終わらせることです(民訴266条、267条)。

 請求の認諾は、原告の主張を認める点で、自白や権利自白と共通します。
しかし、請求の認諾は原告の請求そのもの(訴訟物)を認める点で、原告が主張する事実を認める自白や原告が主張する権利や法律関係を認める権利自白と異なります。

 請求の認諾は、口頭弁論、弁論準備手続または

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特許出願をしない理由と、特許出願をしない場合の処置

特許出願をしない理由と、特許出願をしない場合の処置

1.特許出願等を「しない」理由

 特許出願等を「しない」理由ですが、大きく分けて、

①立証困難、
②競合他社が簡単に思いつかない、
③技術等の旬が極めて短い、
④代替手段がたくさんあり、コスト面で権利確保の必要性に乏しい、

の4通りの判断をした場合が有ると思います。

 ②で出願しないという判断をしたという話も聞きます。しかし、その後の話を聞くと、デッドコピーされたというケースもあったりしま

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特許性、必然性、顕現性が問題になるタイミング

特許性、必然性、顕現性が問題になるタイミング

特許性、必然性、顕現性は、発明や特許が成立等する際の時間変化とともに、現れてきます。

最初に現れるのが特許性です。発明が従来にない新しいものであり(新規性がある)、発明が従来と比較して一定以上優れている(進歩性がある)、というものです。

発明やアイデアが溜まってくると、必然性が問題になってきます。その発明以外に、その発明と同じことができる場合は、その発明の価値は低くなります。「筋のいい発明か」

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発明を出願せずに企業内等の秘匿技術とするケース

発明を出願せずに企業内等の秘匿技術とするケース

 発明した場合、常に特許出願すべきとは限りません。

 例えば、
①発明の実施品・発明を実施するサービスから発明の内容を把握できない場合、
②その発明を、競合他社が独自に開発することが困難と判断した場合、
③他社による侵害発見が困難である場合、
④犯罪防止技術のように、公開すると発明の価値を著しく損なう場合、
には、
いわゆるノウハウとして、企業内等での秘匿技術にすることが選択されることがあります

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明細書で同等と思われる構成が複数ある場合の記載

明細書で同等と思われる構成が複数ある場合の記載

 1個の装置などに、複数個の同等の構成が含まれる場合、明細書や図面で「同じ参照符号」「同じ参照番号」を使いまわすと、どこを指しているのかが分からなくなります。

例えば、多くの自転車にはタイヤが2個あると思います。

※少なくとも、私の自転車には、タイヤが2個あります。

この自転車の前輪と後輪の両方を「タイヤ10」と記載すると、前輪を意味するのか、後輪を意味するのかが分からなくなります。

自転

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出願審査請求がなされたことの確認方法(J-PlatPat)

出願審査請求がなされたことの確認方法(J-PlatPat)

 特許庁に出願審査請求がなされたことの確認方法について確認してみました。

 出願審査請求がなされた後、特許庁の受理処理が完了すると、その翌日にJ-PlatPatの「経過情報」内「経過記録」タブ「審査記録」のエリアに「出願審査請求書」の書類名が表示され、それとほぼ同時に「出願情報」タブに”審査請求記事 審査請求数(1)”と表示されるようです。

※特許庁の受理処理にかかる期間の詳細は不明です。

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パリ条約では、発明Aについての出願X、発明Bについての出願Yをした後、出願X、Yを基礎としたパリ優先権を伴った発明A、Bについての出願Zを行うことができます

パリ条約では、発明Aについての出願X、発明Bについての出願Yをした後、出願X、Yを基礎としたパリ優先権を伴った発明A、Bについての出願Zを行うことができます

 発明Aについての出願Xをし、発明Bについての出願Yをします。

それらの後、出願X、Yを基礎としたパリ優先権を伴って、発明A、Bについての出願Zを行うことができます。

これが、いわゆる、複合優先です。複合優先の出願Zは、最先の出願日から12月以内に行う必要があります。

上記の例の場合では、出願Zは、出願X,Yの早い方の出願日から12月以内に行う必要があります。
#弁理士 #弁理士試験 #弁

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訴訟での和解金・解決金は特別損失になる

訴訟での和解金・解決金は特別損失になる

 特許権侵害訴訟などで和解して、和解金・解決金を支払った場合、その和解金・解決金は、特別損失になるようです。

 前に何かで聞いた覚えがあるのですが、下記「和解による訴訟の解決及び特別損失の計上に関するお知らせ」で思い出しました。

特別損失に計上されると、かなりダメージが大きいです。。。
#弁理士 #弁理士試験 #弁理士試験の受験勉強 #付記試験 #特定侵害訴訟代理業務試験 #民法 #民事訴訟

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