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弁理士

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2020年9月の記事一覧

特許法 怖い特許

特許法 怖い特許

 実際に事業化した後、他社に対して有利な位置を確保できる特許は、大して珍しくもない、ありふれた技術のように見える請求項の特許(権利存続中です)。

 結構勘違いされることが多いですが、特許が最大限に威力を発揮するのは、
(A)自社製品をカバーする技術難易度が極めて高い特許、

ではなく、

(B)出願日の次の日にはだれでも思いつきそうな、大して珍しくもない、ありふれた特許

です。
 
#弁理士

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特許法 ユーザの利便性に全振り

特許法 ユーザの利便性に全振り

 最近だと、zoomの方針もユーザの利便性に全振りですね。
言い換えると、セキュリティとか、コンプライアンスとかは捨てて、UXに全力を投入しているように見えます。これが、シェア拡大の要因かと思います。

 Amazonの特許に関しても同じ部分があります。
 ワンクリック特許が一番有名と思いますが、ユーザの都合が良いように設計する。
ここで、ユーザの都合が良いということは、買ってもらいやすいというこ

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商標法3条1項柱書 商標「〇〇特許事務所」

商標法3条1項柱書 商標「〇〇特許事務所」

 商標法3条1項柱書では、自己の業務に係る商品等に使用しない商標は、登録を受けられない旨が規定されています。

 この「自己の業務に係る商品等に使用しない商標」には、法規制などで使用できない商標も含まれます。
 例えば、個人(弁理士ではない)が、商標「〇〇特許事務所」を出願した場合、商標法3条1項柱書で拒絶理由が来ます。これは、弁理士、又は、特許業務法人でなければ特許事務所を経営することはできない

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商標法 そこそこ知られた「歌手」名は商標登録できない

商標法 そこそこ知られた「歌手」名は商標登録できない

 そこそこ知られた「歌手」(3条2項の適用なし)だと、3条1項3号が適用されるため、自己の芸名等で商標登録を受けることができない模様です。
 根拠は以下の審査基準ですが、審査基準によると、3条1項3号に該当します。

 本人の同意書を提出すれば、4条1項8号の適用はありませんが、やはり3条1項3号の適用を免れることはできません。そうすると、3条2項の適用を受けるしかないですね。

 この審査基準を

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特許法 特許法で最も大切なのは発明する「発明者」

特許法 特許法で最も大切なのは発明する「発明者」

 色々と意見が有るようですが、私は、知財業界で一番大切なのは「発明者」であると考えています。

 また、発明者に適切なサポートを提供するのが、事務所である必要はありません。発明者がサポート不要になるのが最も望ましい姿と考えます。
(事務所へ支払う費用も発明者に回せると、より特許法1条の趣旨に沿った結果となる)

 したがって、私も弁理士ですが、自分自身も発明者でありたいと思っていますし、「単に企業

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(~'22/07/04)特許法 特許の3キーワード「特許性、顕現性、必然性」☆

(~'22/07/04)特許法 特許の3キーワード「特許性、顕現性、必然性」☆

(この記事は修正「前」の記事です。修正後の記事はこちらです)
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 特許出願する前の発明について検討すべきことは、主に3個です。

それが、「特許性、顕現性、必然性」です。

1.特許性 これは、特許権取得可能という意味です。基本的に特許権取得見込みの「ある」出願を行うべきですから、これは当然です。

2.顕現性 これは、侵害確認容易性と表現することもありま

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PCTを利用した特許性の高い出願

PCTを利用した特許性の高い出願

 PCT関係の規則を見ていて思ったのですが、お金があるのなら、

(1)PCT出願A → ISR(優先日から9月) → 出願A基礎のパリ優PCT出願B → 移行

(2)日本の基礎出願A → 出願A早期審査 → 出願A基礎の国優PCT出願B → 移行

というフローのどちらかがよさそうに思います。

なお、出願Bは、出願AのISRの内容、又は、早期審査結果を考慮した特許性高い出願として、ISRで肯

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特許法184条の6 国際出願に係る願書、明細書等の効力等

特許法184条の6 国際出願に係る願書、明細書等の効力等

 この条文は、国際出願に係る明細書等を、どのような形で日本国出願の明細書等にするかが規定されています。

・国際特許出願の願書は、日本の特許出願の願書とみなされます(特許法184条の6第1項)。

・日本語特許出願(日本語でされた国際特許出願)の明細書等は、そのまま日本の特許出願の明細書等とみなされます。外国語特許出願の明細書等の翻訳文は、日本の特許出願の明細書等とみなされます(特許法184条の6

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特許法 強い特許

特許法 強い特許

 強い特許(みんなが使わざるをえない特許)とは、簡単にいうと、「誰もが明日考え付くもの」を今日出願して特許にしたもの。この特許を期間満了まで維持するのが一番強い。後で考えると、「なぜ当時は考えつかなかったんだろう?」と思わせる特許です。

 強い特許には、技術レベルの高さはさほど必要ない。実施できる人が多い方が特許の威力(影響力)は大きくなるので、できるだけ、技術レベルは低い方が良い。言い換えれば

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特許法184条の5 書面の提出及び補正命令

特許法184条の5 書面の提出及び補正命令

 手続き関係のところは「実務上は重要」ですが、一般的な事務所、企業の方は、頼もしい事務の方にお願いすると思います。このため、大まかに説明します。

・先ず、国内書面提出期間内に国内書面を提出しますが(184条の5第1項)、書面提出には、お金(手数料)がかかります。

・日本語特許出願の場合、国内書面を提出しないと、特許庁から補正命令が来ます(184条の5第2項)。何もしないと当然、特許庁から補正命

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冷凍牛肉は美味しくないので、見切品の牛肉を購入する

冷凍牛肉は美味しくないので、見切品の牛肉を購入する

【課題】
 好ましいタンパク源として牛肉が挙げられるが、牛肉は高価という問題がある。この問題を解消するため、冷凍牛肉により価格を引き下げる試みも行われている。
しかし、冷凍牛肉は多くの場合において、美味しくないという問題があった(特に自宅用冷蔵庫で解凍した場合)。

【課題解決手段】
 スーパーで見切品牛肉(冷凍ではない)を購入し、その日のうちに食する。

特許法 弁理士は"NINJA”

特許法 弁理士は"NINJA”

 弁理士は"NINJA”(日本語の忍者でもよい)。
 他社が発明実施する際に、必ず通るであろう経路に罠を仕掛ける。そして、通行料(罠を作動させないための料金)を取る。

 最近、基本的な物の特許だけが注目されているようにも思える。確かに、基本的な物の特許が取れるのが一番良いともいえる。しかし、基本的な物の特許は、研究開発費用の面から考えても難しい。そこで、「基本的な物を実施する際に必要な物」に対し

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特許法184条の4 外国語でされた国際特許出願の翻訳文

特許法184条の4 外国語でされた国際特許出願の翻訳文

 外国語でなされた国際特許出願が、外国語特許出願です。外国語特許出願の出願人は、優先日から2年6月の国内書面提出期間内に国内書面と、明細書等の翻訳文とを特許庁長官に提出する必要があります(出願の審査は日本語で行われることになっているから)。

 ただし、願書は様式が統一されているので、願書の翻訳文は不要です。また、図面の中の説明の翻訳文を提出しないと、図面の中の説明が無いものとして取り扱われます。

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